2018.11.24 ON AIR
【矢野顕子】クラムボンの原田郁子さん、音楽評論家の宗像明将さん登場

今週のレジェンドミュージシャンは唯一無二の歌声、そして表現力豊かなピアノで人々を魅了する 女性シンガーソングライター『矢野顕子』。ゲストにはクラムボン 原田郁子さん、音楽評論家の宗像明将さんをお迎えしました。

■矢野顕子との出会い

原田:中学の2年生の頃にTHE BOOMの大ファンの同級生が居て、縦長の短冊のCDシングルで「釣りに行こう」という曲を貸してもらって、それが人生で初めて矢野顕子さんを聴いた曲だったんです。サビのところで“釣りに行こう”って歌うんですけど、声が高すぎて聞き取れなかったんです。“え!?”っていう状態ですね(笑)多分、自分が聴いてきた歌っていうものを超えた。なんか違和感もありましたし“なんでこんな高い声なんだろう?”って、はてながいっぱいで、最初は好きか嫌いかで言うとちょっと苦手な声だったんです。もう今日初めて正直に言ってしまいますが(笑)なんですけど最初に一口食べて思ったのと違った味がした時に、ビックリするじゃないですか。でもそれが美味しかったらだんだんクセになるみたいな。これは何なんだろう?という疑問形からちょっとずつ気になっていくという入り方だったと思います。
ちょうどその後『SUPER FOLK SONG〜ピアノが愛した女〜』っていうドキュメンタリー映画が上映されて “ピアノが愛した女”とはどんな人なのか?ってやっぱ気になる訳ですよ(笑)それで映画を観に行って“これは凄い!”と。すごく楽しそうに歌ってた「釣りに行こう」の時の矢野さんとまた全然違った。制作のときの非常に厳しい顔で、自分に納得がいかなくて時にはイライラしたりっていう、楽しそうに歌う矢野さんとは180度違うということにまた衝撃を受けました。

宗像:「矢野顕子」というアーティストを初めてちゃんと聴いたのは1986年の『峠の我が家』っていうアルバムを聴いたのが最初ですね。当時中学生で、新しい音楽を聴くにはどうしたら良いかというとFMを一日中聴くんですね。それをカセットテープに全部録ってるみたいな少年だったんです。そんな中で矢野さんの音楽が流れてアナログレコードをレンタルで借りてきたんだと思いますね。それが『峠の我が家』だったんです。14歳ぐらいですね。なんか自分が聴いてきた音楽とは全然違うなっていう印象でした。東京とニューヨークでレコーディングされてるんですけど、今聴くとやっぱりニューヨークで録った音なんですよね。自分にとってはそれが新鮮だった。当時は矢野さんの歌というよりも鳴ってるサウンドが、それまでの日本の歌謡曲と印象が違ったんですね。例えば『海と少年』っていう曲のブラスセクションの音とかを聴いて、なんか今までの聴いてるものと全然違う、なんでこんな音が鳴ってるんだろう?みたいな気持ちになったのが最初の衝撃ですよね。

■矢野顕子の凄さ

原田:今でも精力的に音楽活動を続けていて、しかも新しいことに挑戦しつづけていて、ご本人がとっても楽しそう。そこに尽きるんじゃないでしょうかね。年代を越えて色んな国の方だったりジャンルの方と出会って、そこにしか起きないものを創り出すというエネルギーを感じるんですよね。“凄い”ということで言うと、もう端から端まで凄いです。あんな風には弾けないですよね。弾き語りということであれば、まずはひとりであそこまで自分を鍛錬して持って行っているレベルですね。そこにもう日々のピアノとの付き合い方っていうのかな、毎日毎日もちろん楽しんで弾いてらっしゃるんですけど、それだけじゃないスポーツ選手のような鍛錬を凄く感じます。そこがやっぱりニューヨークのミュージシャン達と一緒に会話できるほどのレベルということじゃないでしょうか。

■コラボの魅力

宗像:いちばん最初に思い出すのは1987年の『グラノーラ』っていうアルバムに入ってる佐野元春さんとの『自転車でおいで』っていう曲ですね。佐野元春さんがご自身のアルバムで歌ってるのとはかなり違う。ベタな言い方をしてしまうと歌い方がボソボソ歌ってるんですね。佐野元春さんは元々ニューヨークのビートニクスの詩人たちにもの凄く影響をされてるんですけど、それっぽいなってのが凄くあるんですね。なんとなく僕の中では矢野顕子さんとコラボレーションして対峙するっていうのは、多分その人の本質が出てしまうんだろうなって思うところがあって、結構大変なんだろうなって思いますよね。

原田:いやぁ、やっぱり厳しさはあると思います。まずは音楽的なレベルの高さ。でも例えば凄く素直な方とお会いした時に、だんだん自分も気持ちが解けていくみたいに、相手がこうであれば、その相手もこうなるっていう連鎖ってあると思うんですけど、矢野顕子さんが本気であればあるほど、一緒にコラボレーションする方も本気になるだろうし、その時にしかできない、そこはジャズのミュージシャンの感覚に近いのかなと思うんですけど、自分のリードアルバムもあるけれども、もっと自由に行き来してたり、そこにボーダーは無い。人と出会った瞬間に会話が始まって、それが音楽になるっていう感覚をずっとやられてるような気がします。


■この収録は大手町にあります次世代オフィス「3×3 Lab Future」で行なわれました。

PLAYLIST

釣りに行こう / THE BOOM & 矢野顕子

海と少年 / 矢野顕子

そこのアイロンに告ぐ with上原ひろみ / 矢野顕子

春咲小紅 / 矢野顕子

Steppin' Into Asia / 坂本龍一

気球にのって / yanokami


※放送後1週間はRadiko タイムフリーでお聴きいただけます。


■クラムボンの詳しい情報はオフィシャルサイト

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次回は『矢野顕子』 Part2。ゲストは引き続きクラムボンの原田郁子さん、音楽評論家の宗像明将さん。お聴き逃しなく!