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J-WAVE FORUM 2017『SNS世代が知っておくべき“お金”の話』実施開催レポート

2017年2月18日の午後、六本木ヒルズ森タワー49Fを会場として、これから時代の主役”SNS世代”のために、”これからのお金の話”を特別講座として開催。

MCにはジャーナリストで「JAM THE WORLD」 火曜日ナビゲーターでもある【堀 潤さん】、ゲストには現役大学生社長の企業家の【椎木 里佳さん】、そして税の専門家である税理士さんお2人をお招きしました。当日は約120名の参加者で会場は満席になり、身近なお金に関する知識や企業、税制、についてのトークセッションを実施しました。

SNS世代が持つお金の感覚とは

堀:今日はJ-WAVEリスナーの大学生・専門学校生によって結成されたコミュニティ・サークル「J-WAVE WACODES」の実態調査による事前アンケートの結果を中心にデータから色々読み解いていきたいと思います。

堀:まず「あなたは、毎月どのくらいのお金を自由に使えますか?」という質問です。
一番多いのは3万円台から5万円台。そして2万円から3万円台。この数字ご覧になって税理士のお二人はどんな印象を持たれますか?

土屋:そうですね。皆さんアルバイトして結構稼いでいるなという印象があるのですけど、意外と少ないですね。

堀:大体学生の場合は、親の扶養の対象になっていたりすると思うのです。どのくらい稼ぐと親御さんの扶養から外れていくのか、前提となる情報を教えて頂けますか。

芳賀:親が仕事をしていてその扶養に入っている学生さんということを前提とすると、アルバイト先からもらう給料の合計が、年間で103万円を超えると親の扶養から外れるということになります。12ケ月で割ると月9万円弱になります。

土屋: 年間103万円を超えてしまえば親の方で年末調整をやりなおし、確定申告をしてその分の税金を払わなければいけなくなるので、103万円を少しだけ超えるというときは、税金トータルで考えると不利になることもあります。

堀:もう一つ質問をWACODESの皆さんにしてみました。自由に使えるお金は、主にどんな事に使っていますかという質問です。やっぱりなんだかんだいって交際費や友人とのお茶、食事、次いで多いのが娯楽費、映画旅行など。携帯電話代ってもっといっているのかなと思っていましたが、割と抑えられていますね。どうですか椎木さん。同世代としては。

椎木:交際費は多くなりますよね。でもこれ男女によって結構違う気がするのですよ。女の子は多分交際費以外にも、洋服とかコスメ代とかがかかってくるので。

堀:実際に社会人は、どのくらい交際費が使えるのか。そもそも交際費ってどのようなものなのかも含めて教えて頂きたいのですけど。

芳賀:交際費は、法人税法上では、「法人が、その得意先、仕入先その他事業に関係のある者等に対する接待、供応、慰安、贈答その他これらに類する行為のために支出する費用」と定義されていて損金(税法上の経費)にできる額が定められていますが、社会人だとどのくらい使えるかという質問は税法上のことではなく、会社の予算のことだと思うのです。ただ、これは会社によるのですよね。業種や職種によって、交際費で使える金額が違ってくると思いますので、一概には言えないかと思います。

堀:僕も今、確定申告の時期で。普段の洋服とテレビの衣装、取材に行くときもあまり変な格好していけないので、洋服を買うのですよ。こういう物はどういう扱いになるのですか?

土屋:所得における必要経費は、収入獲得に貢献するような費用、すなわち売り上げを生み出すために必要な費用のみ認められます。堀さんは衣装がないとステージに立てませんから衣装は経費と言えると思います。ただ個人の業務においては一つの支出が家事上と業務上の両方にかかわりがある費用となるものがあります。この場合は業務遂行上直接必要であったことが明らかに区分できる場合のその区分できる金額に限られています。またサラリーマンの方の場合は、給与所得控除というのがあり、勤務に必要な衣服等の概算控除の意味合いがありますので、原則的には勤務に伴って負担する衣服等の費用は、別途控除することはできないというのが原則的な考え方です。

飲食店で年商1億円VSサラリーマンで年収400万円どちらがいいの?

堀:なるほど。では次のアンケートを見ていきましょう。「飲食店で年商1億円VSサラリーマンで年収400万円、どちらを結婚相手として選びますか」という質問です。結果は、年商1億円の飲食店経営者を選ぶという人が48%、サラリーマンで年収400万円を選ぶ人が52%、意外に拮抗しているのですよね。
年商一億の飲食店の経営者と言っても、安定しているかと言われるとその売上がいつまで続くかわからないし経費もかかっていますよね。そもそも開店するときには、多額の事業資金を借りる必要もあるので、どちらがいいか難しいですね。

椎木:でも、もうサラリーマンの方も結構安泰じゃないじゃないですか。超大企業でも。つぶれちゃって、あれっ?って、あるじゃないですか。そんな神話みたいなの、今の大学生が信じているっていうのが、なんかちょっと不思議ですよね。

堀:特にリーマンショック以降景気が悪化していき、物価の上昇分を加味して、給料の上がり下がりを計算した実質賃金はずーっと下がっているのですよね。この20年で私たち日本人は年間200万円くらい所得を失ってきたと言われているのですよ。だから段々お金が手にないって実感しみついていると思う。このアンケートに対しては、税理士さんはどういう印象を持ちますか?

芳賀:そもそも1億円の売上の飲食店っていうのが、どんな飲食店をイメージしているか、正しい理解が必要だと思います。例えばラーメン屋さんだと一杯1000円のラーメンを1日300人に売れてはじめて1日あたり30万円、365日を乗じて年間で1億円の売上になります。客席が10人くらいのお店で1日に5回転だとすると、1000円×10席×5回転となり、1日5万円の売上となります。これだと年間2000万円弱の売上にしかなりません。ですので、飲食店で1億円というのはある程度大きな規模のお店かあるいは商店街にあるようなお店では2〜3店舗経営しているというイメージです。また飲食店は、材料費で30%、人件費で35%、家賃とか光熱費などの諸経費で35%くらいの原価・経費がかかります。政策金融公庫の資料によると、小規模な飲食店では営業利益が業界平均では赤字になってしまっているのが実態です。堀さんの言うように初期投資の際に借入をしている場合も多く、年収400万円のサラリーマンと比較してどちらがいいかはなんとも言えません。ただ、年商1億円の飲食店の経営者の方は、3500万円の人件費を払っているということになるわけで、地域の雇用を生んでいるという側面もあります。その意味では、社会的な存在価値はサラリーマンよりはあるといってもいいのではないでしょうか?

堀:年商一億とはいっても、蓋を開けてみればそこから出ていく経費があり、計画性のある事業計画ができなくてはなかなかそんなにバラ色ではない。一方で会社員としての働き方、非正規正規問わず、やはりそんなに安定していますかと言われると状況によりますけど低位安定なのかも知れないし、難しいところですね。

堀:さて次には「将来いくらくらい年収があればそもそも皆さん安心だと思うのですか?」と聞いて見ました。一番多かったのは1000万円から1500万円の年収です。大体日本では会社員サラリーマン所得者の平均年収って400万円前後ですから、理想を言えるなら1000万円から1500万円ということです。 年収1000万円もらっている方って世の中にどのくらいいるのですかね?

椎木:結構一部じゃないですか、正直。

堀:芳賀さん、今、日本で1000万円以上の年収の方ってどれくらいでしたっけ。

芳賀:はい、民間の会社で給料を貰っている方の中で年収が1000万円を超える方は、全体の4.4%です。世の中の20人に1人くらいということになります。あともう一点、せっかく税金の話をしているので、知っておいて頂きたいのですが、年収が1000万円を超えている人は、給与収入に係る所得税の負担割合でみると、全体の半分を負担しています。つまり、国の所得税の半分を、世の中のたった4.4%の人が負担しているということになるのです。

堀:年収は額面のことを言っているはずですが、色々給料からは引かれますよね。手取りだと給料はどうなるのですか?

芳賀:月収50万円の場合を例にとると、社会保険や所得税、住民税が引かれて、額面の77%くらいの手取りになります。この天引きされる税金や社会保険の中で、まず所得税について説明すると、所得税は累進税率という制度です。所得が高くなればなるほど税率が高くなります。月収50万円の場合は天引きされる所得税は月2万円くらいですが、月収が100万円ですとこれが10万円くらいにあがります。所得が2倍になると、所得税は2倍にはならずに、さらに倍率も多くなって、5倍くらい天引きされることになります。これが累進税率という制度です。

堀:日本は諸外国と比べると税金が高いというイメージを持っている人が多いなと実感があるのです。

芳賀:高いというイメージもあるのですが、なかなかこれ以上高額所得者からも取りようがないというか。政府としては消費税をどうしても上げざるを得ないというような説明に、今はなっているかと思います。

消費税について

堀:そうですね、消費税とかあと年金のことについてもちょっと触れて行きたいなと思うのですが。なかなか年金の話になると少子高齢化で、僕らの世代とかもう貰えないのではないかとか、少ない世代で多くのお年寄りを支えていくのは無理だろうという風に言われています。土屋さん、二年後から消費税の税率上げると議論していましたけど、最終的には10%と決まっています。

土屋:そうですね。財源が足りないので10%にせざるをえないということなのだと思います。年金・介護・医療・子育てなどの社会保障費については毎年1兆数千億円ずつ増えていくわけです。その財源というのは保険料もありますけど、大分税金も投入している状態なのです。税金を投入しないと賄えないので医療費も自己負担額を増やさなければいけないし、年金もちょっとカットしないといけないという話になってくると思いますね。なので消費税を8%から10%にすることは決まっている訳ですけど、消費税1%で2兆円くらいの税収で、5%上げると10兆円となります。10兆円なのですけど先ほど言いましたように毎年1兆数千億円の社会保障費の増加がありますので、10年は保たない。そのときにどうするのか。方法は2つですね。税金をどんどん上げていくのか。ないしは社会保障費を削っていくのか。どっちがいいのかという議論をしないといけないということなのだと思います。

椎木:ううー難しいですよね。どっちを言ってもなんか色々言われそうだし。どっちを言っても炎上しそうな感じはするのですけど。

堀:いいですね「どっちを言っても炎上しそう」って。SNSっぽい響きで。

堀:その消費税についても軽減税率の導入をするべきか否か議論がありました。日用品普段から買う物、コメとか子供たちの粉ミルクとかもそうですが。日常に使うものに関しては税率を下げ、嗜好品に近いような物につれて税率を高くする。

土屋:消費税の良いところはすべての国民から均等に税収をあげられるので、課税ベースが非常に広くて税収が上がりやすい。ところが生活保護を受けている方も、消費税の負担をしなきゃならない、これが消費税の悪いところです。消費税の逆進性っていうのですね。お金がない人についてもお金持ちと同じような税負担をしなければいけないという矛盾があります。この矛盾を解消する方法として、食料品を軽減税率にするという方法が考えられていますが、軽減税率を導入すると、実はお金持ちも低所得者と同様に恩恵を受けてしまいます。松阪牛などの高級なお肉も軽減の対象なるため、低所得者救済の制度としては非効率で代替財源を多く必要とします。軽減税率はデメリットが非常に多いため税理士会では反対をしています。一方、従来から行われている簡易な給付や単一税率を効率的に逆進性を緩和できますので、推奨しています。

堀:軽減税率は複雑なのですね。なんでそんな事にするのですか。難しい。一応税金って。税の三原則。公平、中立、簡素ですよね。シンプルさに欠ける。

土屋:そうですよね。軽減税率は逆進性対策としてはかなり問題がある制度です。

堀:なるほどね。元々消費税率のスタートがなぜ3%だったって、知っています?消費税は基本的にだれが集めるのって言ったら、国が直接集める方法ではないのですよ。お店が代わりに集めるのですよね。だから小売業の人たちは猛反発したのですよね。で、必ず「何で高くなったのよ」ってお客さんからも言われるし、消費が低迷しちゃうと。やだやだって。やりましょうって言っても通らなかった中でいよいよって時に小売業の人たちは、「俺たちは1%なら飲んでやる」と。ところが大蔵省の人たちは「スタート5%でないとこりゃ追いつかない」で、とある大物政治家が「よし、お互い2%ずつ譲れ、と言って。3%でスタートどうだ!」という流れで決定したという話を取材しました。当時から将来の人口動態を考えると税率は25%程度まで引き上げないと賄えないじゃないかっていう計算もしていたそうです。でも政治家の皆さんにとっても自分の基盤を揺るがしかねないですからね。

土屋:そうですね。選挙の前にこれやられたら椎木さんが言うように炎上してしまう。選挙で大敗することになりますから。なかなか選挙前には言えないようなことなのかもしれませんね。

起業に向くのはどんな人?

堀:で、起業すると、自分でお金を管理する立場となり、様々な社会に対しての付加価値をどう上げていくか、で、国がどう成長するかということにもすごく深く自分がかかわってくると思うのですけども、さて税理士さんから見るとどういう方が、お付き合いされていて起業に向くのでしょうか。

芳賀:椎木さんみたいな方です。あのなんというのでしょうか、普通は意思決定をするときは悩みますよね。AやろうかBやろうか。悩んだ時にもうちょっと考えようっていう風になるのが普通だと思うのです。ただ事業は走り出していくと迷っている時間はなくて、次々に決断をして行かないと前に進みませんので、そういったところで決断力のある人、これが一番起業に向いている方だと思います。椎木さんは若いのに、どんどん事業を進められていて素晴らしいと思います。今、悩んでいる人がいたら起業してしまった方がいいと思います。起業してしまえば、またそこに情報が集まってきますし、政府も起業する方に対しては補助金や各種の支援施策を用意しています。

堀:普段働いているところに軸を置きつつも、一方で自分で起業してみたりとか、何か新しいお金の稼ぎ方を同時にしてみたりする、そういう生き方がもっと認められるようになればいいと思うのですよ。最近は副業とかも政府で進めるようにしていますよね。その際に、何か会計とか税金の知識も必要になると思いますが、何からはじめればいいのか、いい勉強方法とかはありますか?

芳賀:はい、今年の4月から日商簿記試験の4級が変わり、日商簿記初級という制度に変わります。ネット試験ですので、毎日どこかの会場で受験ができ、その場で結果がわかるような試験になるようです。ビジネスをはじめる方でもそうでない方でも、簿記の知識は会社人生でとても役に立ちますし、できたばかりの試験なので話題性もあります。興味がある方はぜひ簿記初級から目指してみてはどうでしょうか?

最近の税制について

堀:あと、話は変わりますが、いくつか会場から質問をもらっていますので、お答え頂ければと思います。税について最近の情報が知りたいということで、セルフメディケーション税制という、そういう身近な私たちの暮らしに近いところのような税制も始まっているそうですね。

土屋:はい、元々は医療費控除っていうのがありまして、年間10万円を超えるような医療費が発生すると、10万円を超える部分を所得の計算上控除するという制度です。今年から風邪薬、湿布、水虫の薬、胃腸薬などのうちセルフメディケーション特例の対象となる薬品にはマークが付いていまして、これらの薬の場合には控除額は10万円が限度ですが、1万2千円を超える部分の金額を所得から控除できるという新しい税の医療費控除との選択ができるようになっています。

堀:他にこういう質問も来ています。「支払うべきものは支払っていますが、税金で損はしたくありません。何かいい方法はありますか。」これはどうでしょうか?

土屋:無税で資産を形成するような制度があります。日本版401K確定拠出型年金というのが元々あったのですけども、特定の人しか受けることが出来ませんでした。今年の1月から全ての方が対象になり、専業主婦の方でも受けられるようになっています。この制度をiDeCo(イデコ)といい、この制度を通して株に投資をすると、投資した金額が所得から控除でき、税金が安くなります。

堀:自分の年金を運用していくってことになる?自分の年金資産を作るうえで運用することになるってことですよね。

土屋:そうですね。確定拠出型年金は自分が保険料として払った物をどんどん貯めていくような制度なのです。貯めていく先が例えば株だったり、生命保険会社がやっている年金だったり預金だったり自由に選択ができるわけです。

堀:やっぱり自分の生活は、自分でシビアですけれども、守らなきゃいけないし、年金、医療に関しての物についても、こういう新しい仕組みを国が用意するってことはつまりメッセージとしては、皆さんでやって下さいと。もう今、国大変ですという事なのでしょう。だから知らないと損しますよね。東京税理士会でも色々な取り組みをされているそうですね。

土屋:はい、併設している納税者支援センターでは、無料で電話ないしは面接での税金に関する相談が受けられます。また成年後見支援センターでは、認知症になった方の財産の保全の為の成年後見制度に関して相談を受け付けています。税理士も第三者として成年後見人になることが出来ます。

税理士になるには

堀:最後になりますが、会場の来場者の方に一言ずつ頂けますか?

土屋:いろんなお話をさせて頂いた中で、税理士に興味を持って頂いた方もいらっしゃるのではないかと思いますが、税理士試験というのは会計科目2科目と税法の科目3科目を取ってはじめて税理士というライセンスがもらえるのですけども、5科目全部一度に取る必要はなくて、1科目ずつ一年ずつ取って頂いても資格を取ることが出来ます。
また普通の資格はライセンスがないと職業に付けなかったりすることがあるのですけれども、税理士の場合は勉強の途中でも会計の事務所に勤めたり、会社の経理をやったりすることが出来ます。是非税理士試験を目指して頂いて、何年か先に税理士会でお会いできればと嬉しいと思っています。

芳賀:僕も普通にサラリーマンをしていたのですが、30才を超えてから税理士試験を目指して、5科目合格することができました。若い時からチャレンジするという事じゃなくても、年を取ってから、そういや税理士ってあったなということでチャレンジすることもできます。またサラリーマンという選択をする人が多いとは思いますが、これからの時代は起業するっていう選択肢もありえる訳ですので、サラリーマンであっても、いつでも起業が出来るように意識しながら情報を入手して勉強を続けて頂ければと思います。

堀:はい、そして椎木さん。最後に一言お願いします。

椎木:税理士さんっていうと若干難しくて固いお仕事のイメージがあったのですけど、でもお会いしてみると結構そうでもない方達が多くて面白いし、「これもっとこういう風にできますよ」みたいなフレキシブルな方もいっぱいいる。なんか私は税理士さんすごい好きです。

堀:ということで。今日は皆さんいかがだったでしょうか。長い時間お付き合いいただきましてありがとうございました。新しい付加価値を付ける生活を始めてみてはいかがでしょうか、というご提案でした。みなさんありがとうございました。