GUESS WHERE
プレゼントが当たる毎月更新クイズ!

12 10/19 UPDATE


 長続きする文化、もっと大げさに言えば文明というのは、“守るべきもの”と“変えなくてはならないもの”その2つが絶妙にバランスしている所に存在しているような気がします。老舗と言われるブランドの大抵は、伝統と革新を融合させることによって生き延びています。今回取材した谷中という町に根付く文化も、古いものと新しいものがミクスチャーされることで培われていると感じました。そして、そのシンボルのひとつともいえる谷中の人気カフェ「カヤバ珈琲」の店長村上慎吾さんにお話を伺いました。

こちらカヤバ珈琲は、すごく歴史を感じさせる外装、内装なんですけど、 昔からやっていたお店がいったん閉店、そして町のみんなの力で復活したと聞いています。そのストーリーを教えていただけますか?

こちらカヤバ珈琲。すごく歴史を感じさせます。
カヤバ珈琲は昭和13年に創業したんです。当時、榧場伊之助さんという方が創業したのでカヤバ珈琲というんですが、街のシンボルとして70年ものあいだ親しまれていたんですね。お店のほうはずっと奥さまがまかされて切り盛りされていたんですか、ご高齢になられまして、平成18年にお亡くなりになりました。それで、残念ながら一旦閉店してしまいました。ただ常連さんも多くて愛されたお店ですので、もう一度オープンさせようという気運が高まりまして、現在のオーナーであるSCAI THE BATHHOUSEの白石さんという方と、NPOたいとう歴史都市研究会を中心に再建したんですね。まったく新しく建て直すのではなくて、当時の建築の良さを生かしたり外装や内装にして、3年前にリニューアル・オープンしました。

具体的にはどういうところがカヤバ珈琲が愛されていた理由だったと思いますか?

榧場さんに会って会話をするだとか、レトロな雰囲気が好きだとか、ここだけにしかないオリジナルなメニューが好きだとか、その理由はいろいろあると思います。リニューアルにあたっては、“いい部分はそのまま残す”というのがコンセプトでありまして、当時のメニューも再現しています。

そのメニューっていうのは?

ルシアンっていう飲み物がありまして、コーヒーとココアを半分ずつで割った温かい飲み物です。これは榧場さんが考案したオリジナルだそうです。あと、玉子サンドなんですが、普通はゆで卵を作ってマヨネーズで和えて…という感じだと思いますが、うちでは厚焼き玉子をサンドウィッチで挟んでいます。このふたつは当時からの名物メニューですね。

カヤバ珈琲オリジナルなメニュー、ルシアン。
コーヒーとココアを半分ずつで割った温かい飲み物です。

「これは、美味しい〜」とハリーさん!

昭和13年に創業と言うと、日中戦争中、その3年後には太平洋戦争に入ろうとしている時期ですね?そんな時期に珈琲店というのは、すごいハイカラだったんでしょうね?創業のいきさつをご存知ですか?

申し訳ありません。私は創業当時のことはわからないんです。でも柱とかカウンター下の建物として価値があるものは、創業当時そのまま残しています。

ですよね。復活は平成21年。復活に関わったNPOたいとう歴史都市研究会って、 どのような活動をされているNPOなんですか?

たいとう名前がついているので、台東区を中心に活動されていまして、このエリアは戦火を免れたようで、古い建物がたくさん残っています。その中でも価値のあるものをずっと残していこうという活動されているNPOです。家主がお亡くなりになって受け継ぐ方のいない一軒家とか店主がお亡くなりになって、引き継ぐ人のいないお店の あとを継いでくれる人の仲介をするような仕事をされています。直接彼らがその建物を引き継ぐのではなくて、あくまでも間を取り持つような形ですね。そうやって昔のいいものを残していこうと考えている人たちです。ここも、建物を大切にしながら飲食店をやってみたい若者を募集してスタッフが集まったんですね。

村上さんもその中の一人ですか?

はい。新しいオーナーの白石さんをたまたま知っていたということと、たいとう歴史都市研究会の方といろいろお話しをさせて頂いた中で、建物を大切にしながら飲食店としてやっていける人間ということを認めて頂いて、入ってきた人間なんです。

リニューアル・オープンするのにはご苦労があったんじゃないですか?

昔のいいものを残さなくてはいけないので、やっていいことといけないことがありまして、普通の飲食店の立ち上げに比べて制約が多いのでかなり苦労しました。ただ、そのままを残すのではなく、今っぽいおしゃれな感じをプラスしました。レトロな部分と今っぽい部分のバランスには気を使いました。

柱とかカウンター下の建物として価値があるものは、
創業当時そのまま残してあります。

店内にはコーヒーの良い香り。

コーヒーも1つずつ、丁寧に淹れてくれます。

ゆっくり丁寧な時間がここには流れています。

あ、今、僕のオーダーしたミルクセーキが出てきました。

ミルクセーキを今出している喫茶店は少ないですよね。

懐かしい味ですね。子供の頃よく祖母が作ってくれたんです。うーん、たまんないですね。おいしいです。卵と牛乳の甘さのブレンド具合が絶妙ですね。こちらは何ですか

そちらは谷中ジンジャーと言いまして、谷中生姜を使ったジンジャーエールです。私がこちらでお店をやるとなった時に、谷中といえば谷中生姜と連想しまして、リニューアルしてからのオリジナルメニューとして追加させて頂きました。最近はこの辺りで生姜は作っていないので、谷中生姜という種類の生姜を使っているということです。

ちょっと飲んでみます。うーーん。生姜ならではの辛みはありますけど、爽やかですね。

谷中生姜は葉生姜で小ぶりなので、味も若いんですが、美味しいですよね。

ハリーさんがオーダーしたミルクセーキ。
今このミルクセーキを出している喫茶店は少ないのです。

ハリーさん、カヤバ珈琲の空間にすっかり癒されています。

連日行列ができる人気のようですね?

うちはものすごい幅広い方がいらっしゃるところが特徴です。普通は若い人がメインとか年配の方がメインとかあると思うんですが、うちは若い人もおじいちゃんもおばあちゃんもいらっしゃいますし、外国人の方も多いです。楽しみ方もいろいろで珈琲を飲むっていうだけでなく、2階の畳でリラックスしたいとか様々ですね。

町にとってカフェというのは、無くてはならないもののひとつだと思いますが、 どのような存在でありたい、と思っていますか?

本当に古くからこの街に根付いたお店なので、まずは近所の方に愛されたいと思います。一方で観光の方も沢山いらっしゃるので休憩所としてだけなく、観光案内所みたに情報発信できたらと思っています。食べたり飲んだりということだけでなくて、会話を楽しんで頂きたいです。その中で、様々な情報発信をしたり、古いものの良さを知ってもらう場所でもありたいと思っています。

2階は畳のお部屋になっています。

ハリーくん、あまりの居心地の良さにリラックス中〜

谷中という街の良さ、好きなところを教えていただけますか?

この地域は歴史のある町なんですが、新しいものにも出会える町なんですね。谷中のギャラリーには古い美術を扱っているところもあるし、最新のアートを紹介しているところもあります。古いものと新しいものが同居している町です。うちの存在もそうでありたいですし、ぜひ、谷中に来たらカヤバ珈琲に寄って頂きたいです。

村上さん、お忙しい中、お話しありがとうございました。

古きと新しきが共存する町、谷中。古きと新しきが共存するカフェ「カヤバ珈琲」。私たちは何を残し、何を変えるべきか、そんなことを考えさせられる今回の取材でした。

今回お話を伺った 「カヤバ珈琲」の店長村上慎吾さん。

谷中にきたら立ち寄ってみたい名店です。

information

カヤバ珈琲
住所:〒110-0001 東京都台東区谷中6-1-29
営業時間:月〜土 8:00-23:00 
     日 8:00-18:00
     【定休日】 なし(年中無休)
お問い合わせ先:03-3823-3545
http://kayaba-coffee.com/