Melbourne via Bangkok 2011/02/05

旅は“家への帰り道”。旅に行った場所も自分にとってのホームになって、そこで出会った人が自分にとってのホームになったりもするし、行くことによって自分が帰るべき場所が分かる。

NIKIIE (シンガーソングライター)

1987年茨城県生まれ。4歳からピアノ教室に通い、高校時代に作詞・作曲、バンドを結成。17歳からはソロ活動を始める。上京し、精力的にライヴを重ねる中、現在のレコード会社の目に止まったのは2010年の春。12月リリースのデビュー曲『春夏秋冬』は日本全国のラジオ局でパワープレイされ、ANA「誘うドラマ」のキャンペーンソングに。来月には代々木ゼミナールのCMソングでもある2ndシングル『HIDE & SEEK』がリリースされる。今年の音楽業界で最も注目されるミュージシャンの1人。
 

友人が夢が叶わなくて泣いている姿を見て「この子は実は諦めたくないんじゃないのかな?私も諦めたくないんじゃないかな?」って思って書いたのが『春夏秋冬』。(NIKIIE)

そもそもNIKIIEってどういう意味で付けた名前なの?

元は本名で活動してたんですけど、本名だからこそ自分に限界を作り出しちゃって、自分には「これはアリ、これはナシ」と決めてたので、「それは勿体ない!」と思って、自分の第“二期”って意味で、ちょっとおしゃれに“NIKIIE”と名付けました(笑)。

そうなんだ。今年、年女とのことで23歳ですが、音楽との出会いはいつ頃?

3歳の時にお兄ちゃんを迎えに行った保育園で先生がピアノを弾いているのを見て、「私も弾きたい」と思ったのが音楽との出会いで、1年間両親にお願いして、4歳でピアノ教室に通い始めました。それでバイエルとか普通にクラシックをやってたんですけど、私は音に感情が出るらしく、ピアノの先生が「今日は嫌なことがあったんだな」とか「今日は楽しそう」とか感じ取って、それに合わせて楽譜を持ってきてくれたんです。それでポップスを弾くことが多くなったんですよね。

へえー、何歳位の時からそういうのを弾き始めたの?

小学3~ 4年ですね。バンドを組んでライブハウスに出たのは高校2年からです。

ライブハウスで歌っててもなかなかチャンスって来ないと思うんだけど、デビューのきっかけは?

ソロになってからもずっとライブハウスで歌い続けてたんですけども、上京してプロになろうという希望があった訳じゃなくて、「今ライブハウスでどんな曲が演奏されてるんだろう?」「どんなバンドが居るんだろう?」と凄く気になったのと、新しい自分を発見したかったのとで東京に出て、そこからずっと細々と音楽活動をしてたんですけど、一昨年の冬に自分に限界を感じて、音楽を止めようと思ったんです。その頃、同じ様に役者を目指して上京している友人も居て、その子に「私もう駄目かも。茨城県に帰ろうかな」と相談した時、その子も地元に帰ろうかと悩んで泣いている姿を見た時に「この子は実は諦めたくないんじゃないのかな?…てことは、私も諦めたくないんじゃないかな?」と思って。

友達を見て感じたんだ。

そうです、鏡みたいな感じで。そういう気持ちに気付けた事で凄く胸が一杯になって、家に帰ってピアノに向かって書いたのがデビュー曲『春夏秋冬』なんですけど、その時ライブ活動をお休みしてたんですね。でも、この曲を書いて「もう一回音楽やりたい!」と思えたので、ライブハウスに行って「やらせて下さい」とお願いして、初めてこの曲をライブでやった時に、たまたまレコード会社の方が見に来て下さっていて、デビューに。でも、その時に立ち止まることの大切さを学びましたね。

若いのに(笑)。まだこれからも何度も来ると思うけど、1つだけ言えるのは、初めの夢は絶対に変わらないから、それをひたすら続けていくことが何かに繋がっていくんじゃないかな。因みに、これまでどんな音楽を聴いてきたの?昔のマスターピースみたいなものも聴いてきた感じ?

自分で曲を書き始めてから、凄く沢山聴くようになりました。そういう中ではキャロル・キングの『Home Again』が凄く好きなんですよね。ホッとするし、彼女の声が凄く響いてくる曲で。


オーストラリアに着いてみたら帰ってきた感じがしたんですよね。「居場所はここにもあるんだ!」凄くホッと出来る場所だったんです(NIKIIE)

NIKIIEにとっての初めての海外は?

中学校3年生の夏休みに行った、オーストラリアのシドニーです。当時住んでた茨城で姉妹校の交換留学生のプロジェクトがあって、1週間だけのホームステイをしに行きました。中学時代の私は、凄く暗くて引き篭もってたんですけど、英語を勉強し出した時に初めて「英語なら自分の気持ちを伝えられる」と感じて、気持ちの捌け口が出来て、海外に行ってみたいと思って参加したんです。

英語がきっかけだったんだ。いいね、シンプルで。シドニーの第一印象はどうでした?

なんか、帰ってきた感じがしたんですよね。「私の居場所はどこかにあるんじゃないか?」と地元でずっと探してたけど、友達の間にも無いし、家にも感じられなかったし…って気持ちのままオーストラリアに行ったら、「居場所はここにもあるんだ!私が変だった訳じゃないんだ!」と感じられて、凄くホッと出来る場所だったんです。向こうの女の子と笑うツボとかが一緒で、お腹抱えて笑ったりして。

多分、旅に出ると自分自身のマインドが変わるじゃない。非日常とも言うけど。気持ちがオープンになってるから、自然に色んな事が入ってくるんだろうね。でもそれが英語を使って出来ると、充実感とか達成感があるよね。それが中3の時で、高校でまたオーストラリアに?

はい。今度はメルボルンに。もう1回オーストラリアに行きたいなと思って、高校を選ぶ時に、オーストラリアとの交換留学プログラムがある学校を知って、決めたんです。

メルボルンとシドニーは随分違うでしょ。シドニーは都会だし、メルボルンは日本で言うと京都みたいな、ちょっと古い街というか、ヨーロッパ的な味わいがあると思うんですが、どっち好きでした?

う~ん、どっちだろう(笑)。でも、どっちも良い所があるんですけど、色んな事を知れたのはメルボルンでしたね。同世代が感じてることもそうだし、どういう学校の感じなのかも。2回目に行ったメルボルンが2週間滞在出来たのも大きかったですけども、凄く印象深かったです。高校1年の冬に行ったので、向こうは夏だったんですけど、湿気も無くて快適でしたし。


オーストラリアは各家庭で自分のホームがあって、凄くそれを大切にしてる。豊かな国だなあって思いました。(NIKIIE)

メルボルンのホームステイ先はどんな感じだったの?

ホストファミリーは凄くガッツのある、アウトドアな感じのファミリーでした(笑)。最初からカルチャーショックだったのが、行った夜に「直ぐダンスパーティー行くわよ」と社交ダンスのパーティーに連れて行かれて、チャチャとかタンゴとか踊らされて(笑)。元々、結構毎晩のように行ってるみたいで、しょっちゅう行っては踊ってました。

そんな中でまた同世代の友達とか一杯作っていけたりもして良いよね。一番思い出深いメルボルンの魅力を一言で言うと、どんな街?

内は内、外は外でちゃんと自分をもってるという感じがしました。オーストラリアは移民の国なので母国語も大事にしていて、中国人のファミリーではお家に帰ったら中国語しか話さないとか、各家庭で自分のホームがあって、凄くそれを大切にしてるし、否定しないので、豊かな国だなあって思いました。


メルボルンで自分の曲を勇気を出して弾いてみたら、おじいちゃんおばあちゃんが集まって来てくれて、弾くのを止めようとすると「ずっと弾いてて」と言ってくれて、凄くそれが嬉しくて。(NIKIIE)

中学、高校の時のオーストラリアの体験は音楽的にも大きかった?

とっても大きかったです。音楽に関してはメルボルンに行った時、丁度ピアノ曲を作ってた時期だったんですよ。でも誰にも聴かせられなくて凄く自己満足な感じだったんですけど、課外授業で老人ホームにコミュニケーションを取ろうという授業で行ったんですね。他にも保育園にも行ったんですけど。その老人ホームでピアノが端に置かれてあったので、「弾いて良いですか?」と訊いたら「どうぞどうぞ」と弾かせてくれて、自分の曲を勇気を出して弾いてみたら、おじいちゃんおばあちゃんが集まって来てくれて。「誰の曲なの?」と訊かれたんだけど「分からない」とか誤魔化しながら弾いてて、弾くのを止めようとすると「ずっと弾いてて」と言ってくれて、凄くそれが嬉しくて。それまで自分の曲は自分の中だけのものだったんだけど、聴いて貰うことによって共有出来た感じがあって、帰国してから急いで歌詞を付けたんですけど、そういう勇気を持たせてくれた体験だったんですよね。

それは、それまでNIKIIEが書いてた、日記のようなものだったのが手紙のようなものになる瞬間じゃない。その違いは大きいよね。人にメッセージを伝えるっていうのは。後でちゃんと「これは自分の曲です」って言ったんでしょ?

言えなかったんです。言えば良かったんですけど、その時はもう恥ずかしくて。

よし今年もう1回行ってこい(笑)! 「あれは私の書いた曲でした」と。それで「今こんな風に日本で頑張ってます!」ってCD持って行かなきゃ! さて、まだまだ人生長いけれども、NIKIIEが行ってみたい場所はある?

フィンランド!街や人を見たいです。北欧が好きなので、行ってみたいなって思ってるんです。


普段言えない事が本当大半を占めてるけど、伝えたいと思ってるだけじゃ変わらないから伝えられるようになりたいと思いながら、いつも曲を書いてます。(NIKIIE)

昨年出たデビュー曲「春夏秋冬」が、今行われているANA「誘うドラマ」キャンぺーンソングになってますが、これはサイトで自分で名前を入力してドラマを作れるんですよね。僕もやってみて、凄くテクノロジーの凄さを感じながら感動したんだけど、NIKIIEも実際やってみた?

はい。もう私は感動して泣いちゃったりしたんですけど。

このドラマってNIKIIEが書いた「春夏秋冬」に対する気持ちと、ちゃんとリンクしてる感じだけど、普段なかなか言えない大切な人への正直な気持ちを音楽に託そうって想いはやっぱりある?

あります。普段言えない事が本当大半を占めてるけど、伝えたいと思ってるだけじゃ変わらないなと思って。だから伝えられるようになりたいと思いながら、いつも書いてます。

さて3月9日には2枚目『HIDE & SEEK』がリリースされますが。タイトルは、隠れて探す?

これは、かくれんぼって意味で、さよならの歌なんです。でも、ただ単純にさよならを描いたんじゃなくて、別れを選んだ後にもう一回「振り向きたいな」と思うこともあると思うんですけど、その人が大切だからこそ、そこで敢えて自分から相手の背中を押していく、そういう選択をして「お互いが前を向いて進んでいこう」って曲なんです。

NIKIIEのライブを心待ちにするお客さんもいると思うんですが?

4月に東京・名古屋・大阪でワンマンツアーが決まってます。東京は4月10日にShibuya DUOでやります!

頑張ってね。さて最後に、NIKIIEにとっての旅とは?

“家への帰り道”です。旅に行くと、行った場所も自分にとってのホームになるんじゃないのかなって。そこで出会った人が自分にとってのホームになったりもするし、行くことによって、自分が帰るべき場所が分かるし、凄く全部が繋がっている感じがします。

 

PLAYLIST

  1. LEARNALILGIVINANLOVIN / GOTYE
  2. HOME AGAIN / CAROLE KING
  3. RUNNING ON / KIM CHURCHILL
  4. SCARS / NATALIE IMBRUGLIA
  5. HARVEST HOME / 葉加瀬太郎
  6. 春夏秋冬 / NIKIIE
  7. HIDE & SEEK / NIKIIE

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