Bangkok 2010/09/18

タイ人は凄く子供好きな人が多いので、世の中で子供を育てようという風潮があるんです。

阿部哲子 (フリーアナウンサー)

1978年千葉県生まれ。横浜国立大学を卒業後、日本テレビに入社。アナウンサーとして報道、スポーツ、情報など様々な分野で活躍し、2007年に日本テレビを退社。ご主人が赴任していたタイ・バンコクへ移住し、出産も経験、今年帰国。今月末からは演劇集団キャラメルボックスの舞台「シラノ・ド・ベルジュラック」にヒロイン・ロクサーヌ役で出演する。
 

住む時はもっとタイ人とのコミュニケーションをとりたいとか、文化を学びたいとか、そういう気持ちが強かったです。(阿部)

バンコクに住んでいたと伺いましたが、いつ頃行かれたんですか?

2007年10月からですね。主人の勤務先がバンコクになったので、私もちょっと遅れてついていったんです。正確に言えば、当時付き合っていた今の主人がバンコクに転勤になって「じゃ結婚しよう」ということになったんですけど、私もまだ日本テレビの仕事をやりたかったので1年間は別居婚状態だったんです。でも「いつも1人でご飯を食べるのが淋しい」という主人の攻勢に負けて行ってみたら、全然淋しそうじゃなくて(笑)。それから2年半、今年4月までバンコクに居ました。

それ以前にタイ、あるいはバンコクに行かれたことはあったんですか?

大学2年生の時、10年前位ですかね、友達と旅行で行きました。学生旅行だったので、その時受けた印象は「物価が安い、暑い、マッサージが最高」(笑)。でもまさか結婚して家庭を築く街だとは思わなかったし、「また行きたい!」ってそこまでの魅力を当時は感じなかったんですよね(笑)。でも10年後に訪れてみて、ガラリと変わっていたバンコクに驚きました。こんなに魅力的な都市だってことに先ず驚いて、暑いことは変わらないんですけども、想像以上に都市化されていて、外国人を受け入れる懐の広さが凄く魅力的な街でした。

旅行で行くのと住むのとでは、感じ方やご自身の心意気も全く違いますよね?

旅行で行った時は「美味しい物を食べよう」とか「マッサージを受けて気持ち良くなろう」とかエゴイスティックな気持ちで行ったんですけど、住む時はもっとタイ人とのコミュニケーションをとりたいとか、文化を学びたいとか、そういう気持ちが強かったです。

なるほど。バンコクも広い街だと思いますが、どういうエリアにお住まいだったんですか?

スクムウィットという、外国人、特に日本人の多いエリアに住んでいました。日本人のコミュニティがあって、今、登録されてる日本人が5万人居ると言われてるんですけど、日本人会もありますし、日本人と接する機会の方が多くなってしまってましたね。なので、現地のタイ人との関わりはタイ語教室に通ったり、お料理教室に通ったり。

タイ語教室も!? 凄いね!でもタイは英語も通じるでしょ?

ホテルやレストランでは。ただ街中ではタクシーでも通じないですね。

そうなんだ。旅行者として行く場合に覚えておくと良いタイ語を1~2つ教えてください(笑)?

先ず1つは“アローイ”かな。意味は「美味しい」です。屋台の文化も凄く発達してるので、10~20円のものを買って食べて「アローイ!」って言ったら凄く喜んで貰えるし、「ありがとう」は“コップンカー”ですね。「いくらですか?」は“アンニータウライカー?”。“アンニー”が「これは」で、“タウライカー?”が「いくらですか?」です。あっ、男性は「タウライカー?」じゃなくて「タウライカッ?」ですね。

あ、あのタイ語の柔らかさっていうのは、女性の言い方なんだ!初めて知りました。


バンコクの思い出は出産したことですかね。まさか自分が海外で子供を産むなんて。(阿部)

2年半住まわれてたバンコクの一番の思い出は何ですか?

出産したことですかね。まさか自分が海外で子供を産むなんて、想像もしてなかったので。

日本に帰って産むという選択肢はなかったですか?不安じゃなかった?

今思うととっても不安なんですけど、その時は考えなかったんですね。病院の環境も知った上で、「ここなら安心」と思ったのもありましたね。後は主人の近くで、というのもありましたし。

それはやっぱり一番ですよね。でも出産って人生にとっての大イベントじゃないですか。その時こそ、言ってみればその国の人、地域の人との関わりってどんどん増えていくんじゃないですか?

そうですね。タイ人は凄く子供好きな人が多いので、家庭だけじゃなくて、世の中で子供を育てようという風潮があるんです。だからレストランでもホテルでもどこでも子供が歓迎されるので、育てやすい環境でした。

なるほど。出産されたのはタイの、いわゆる現地の病院だったんですか?

そうですね、現地の人も来られますし、外国人も多くて。通訳さんがついてくれるんですけど、さすがに分娩の時は居ないですよ(笑)。

さすがに「うわー!」とか「ギャー!」とかいちいち訳してられませんもんね。そこで言葉が通じないって・・・でもそういう時は何語で喋っても分かるって話だね(笑)。

そうですね(笑)、もう顔で表現して。

ロンドンでもよく言う話で「泥棒が来たら何て言えばいい?」って「何にも考えないで叫べばいい。それだけで十分だ」っていう(笑)。でもそういう経験が出来たのも貴重ですね。男の子?

男の子です。

なんかそんな気がしたんです(笑)。楽しいですか?子育ては。

凄く楽しいです。もう1つの笑顔の為に10の苦労をやりますっていう感じで(笑)。


中華風タイ料理屋「Somboon(ソンブーン)」のプーパッポンカリーがおすすめです。(阿部)

タイに行く旅行者の為にお勧めのスポットを、まずは食べる物だと?

Somboon(ソンブーン)という中華風のタイ料理屋さんがあるんですけど、そこのプーパッポンカリー(蟹のカレー炒め)がおすすめで、絶対食べて欲しいですね。日本のカレーとは全く違うんですけど、渡り蟹を甲羅ごと炒めて、ナンプリックパオという鯛の調味料とレッドカレーペーストで炒めて、ミルクと卵で閉じるんです。

え、ちょっと待って!ミルク?ココナッツミルクじゃなくて?

はい。練乳のような感じですね。でも日本で作るなら普通のミルクでOKです。溶き卵でフワッと閉じた、ちょっと天津丼のような。でもそこまで卵も固くなく絶妙なふんわり感を出してて、レッドカレーのスパイシーさもあり、全体的に甘みのあるマイルドなカレーなんです。さらに、そのソンブーンのは、ちょっとピーナッツ味もするんですね。

きっとピーナッツオイルを使ってるんだろうね。

そうかもしれないです。それがその店の美味しさの秘密というか。ご飯何杯でもいけますよ。是非皆さん行ってみて下さい。あとは、ジャスミンという中華料理屋さんもおすすめで、タイはフカヒレとか北京ダックが凄く安くて美味しいんですけど、中でもジャスミンは北京ダックが丸々一匹で700バーツ≒2000円なんです。

本当ですか?北京ダックは僕大好物なんですよ。前に北京で行った専門店は、安くて美味しくて、大変幸せに包まれたことがあるんです(笑)。それがここでも出来る訳ですね!

出来ます。もう北京ダックが葉加瀬さんを包むような感じです(笑)。勿論味も良いし、お肉を使って色んな料理もしてもらえるし。そこのフカヒレもとっても美味しいですよ。さらにもう一つおすすめのお店を挙げるとすると、ワット・ポー・マッサージというタイ古式マッサージなんですけど、ワット・ポーというお寺がタイ古式マッサージの総本山なんですね。

ポー寺院って行ったことありますけど、あそこが総本山なんですか!?

そうなんです。実は私もタイ古式マッサージの資格もタイで取ったんです。このマッサージは痛いことはしないんですね。筋肉に沿って人間の気を高めていくのがタイ古式マッサージなんです。


旅行で行くなら海より山の方が好きだったんですけど、モルディブで考えが変わりました。(阿部)

バンコク以外で印象深かった海外というと?

モルディブです。2008年6月に友達の夫婦と一緒に4人で行ったんですけど、とにかく着いた港から海がきれいでビックリしました。

マレ空港からクルーザーでチェックインでしょ?あそこは空港出ていきなり海ですもんね。

もともと旅行で行くなら海より山の方が好きだったんですけど、モルディブで考えが変わりました。

僕も世界中のビーチリゾートのナンバー1は今のところモルディブですね。あと、ブータンにも行ったんだって?

はい。興味があると主人に誘われて。あと国民総幸福量(※精神的な豊かさ・幸福度の増加を目指すブータンの政策)を世界で唯一採用している国なので、どういう国なのか見てみたいという好奇心で行きました。山、谷、川、空、土しかない国で、まるで江戸時代にタイムスリップしたような感覚でしたね。丁度顔も日本人と差が無くって、そういう意味では着ている洋服も和服の丈をちょっと短くしたような感じなので。

何日くらい行かれたんですか?

5泊しました。でも冬に行ったので、とにかく寒くて。で、インフラが余り整備されていないので、私達が泊まったホテルも真冬に5分しかお湯が出なくて。それでもう、色気も何もないんですけど、主人とシャワーのお湯の取り合いで、とにかく5分で2人の体を洗おう、湯たんぽのお湯を確保しようって、生きる為に必死の旅でしたね(笑)。

でもそういうのって楽しいんだよね。

楽しかったです!あと、山も美しかったし、どこに行っても神々しいですね。何も無い所に神様が居るかもしれないっていう神々しさがありました。


旅は、帰れる家がある有難さを感じる場所。(阿部)

今月末からは六本木の俳優座劇場で舞台にご出演されますね。

はい。「シラノ・ド・ベルジュラック」のロクサーヌの役をやらせて頂くことになりました。アナウンサー時代にキャラメルボックスさんと2度程ご一緒させて頂いたんですけど、本業があっての舞台だったので、完全に舞台に集中させて貰うのは今回が初めてです。演劇を観るのは大好きなんですけど、観るのとやるのは全然違いますから、今はもう怖くて怖くて。

(笑)。「シラノ・ド・ベルジュラック」は傑作というか、もう本当スタンダードになってますけども、初めて初演されたのは1897年で、作品の舞台は1640年のパリということで、その当時のパリを考えて演じるというのはなかなか難しいと思うんですけども。

難しいですね。言葉遣いからして昔風ですし、慣れない台詞というのが一番難しいかなと。でも楽しいです。ちなみに、パリには行ったことあるんですけど、私にはちょっと敷居が高かったです(笑)。ふいに休みが6日間位貰えて、1人で訪れてしまったので。でも美的感覚とか、色遣いとか、空気の感じも思い出してやりたいなと思います。

そうですね。さて最後に、阿部さんにとっての旅とは一体何ですか?

帰れる家がある有難さを感じる場所、です。

 

PLAYLIST

  1. UMBRELLA / BRIOHNY
  2. AFTERNOON IN THAILAND / 小野リサ
  3. TO ZION / LAURYN HILL
  4. RELAX(TAKE IT EASY) / MIKA
  5. ひまわり / 葉加瀬太郎
  6. SWIM / PAPA’S CULTURE

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