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小松亮太 - (バンドネオン奏者) -
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アルゼンチンはお客さんが演奏者を甘やかしている部分があるんです。(小松) この番組には2000年8月以来で、もう5年半経ちましたがその間、随分色んな所を旅されてますでしょう? 国内も海外も随分行きました。 特に2005年は海外の活動がすごかったですよね。 そうですね。2004年の終りと2005年の始まりにドイツのカジノがある有名なバーデン・バーデンという所に行きまして、そこのオーケストラと一緒に演奏した事が僕のヨーロッパ・デビューだったんです。ドイツとタンゴ、あまり関係なさそうだけど、実はバンドネオンはドイツが発祥の地なんです。 バンドネオンという楽器はアルゼンチン・タンゴはなかなか聴けなくて、バンドネオン=タンゴだからアルゼンチンの民族楽器と思っちゃうけど、実はドイツだと。 その辺を僕としてはインスパイアしていきたいと思っているんですが、よく言われることですけど、ドイツと日本のお客さんってよく似ているんですね。ラテンと全然違って、ある意味でシビアなんですよね。僕3回演奏したんですが、失敗があって。僕ではなく指揮者なんですが(笑)。 指揮者の方が悪いと(笑)。 そうです(笑)。それで1曲いい演奏ではなくなった日があったんですが、そういう時は素直にお客さんの反応がまあまあ位の拍手で終わってしまって、本当にいい演奏だとお客さんは立ち上がって「ブラボー!」と立ち上がって拍手をするんです。 なるほど。これがラテンだとどうですか? ラテンだと、悪い演奏でもいい演奏でも「ブラボー!」と言われるから、どっちなんだかよく分からない。だから、きちんとした演奏をする人が迷惑するのがラテンなんです。全てひとくくりにしてはいけないけど、特にアルゼンチンがそういう状況です。でも南米ツアーに行った時に感じたんですが、ブラジルは違って音楽が生活に密着していて現在進行形でした。 それは言える。ポップスにしても全然違いますもんね。 そうですね。とにかく動いている。年配の人も現役でやっているし、中堅の人も進んでいるし、新しい人もどんどん出てくるし。ところがアルゼンチンではタンゴをやっているだけで「ありがとう!」って感じで、お客さんが演奏者を甘やかしている部分があるんです。 なるほど。 1年前の春に南米ツアーに行ったんですが、ペルー、パラグアイ、アルゼンチン、ブラジルの順に行ったんです。最後がブラジルだったので、余計に情けなさというか哀しさを感じてしまいました。ブラジルで演奏を終えて、夜クラブに行くと演奏しているミュージシャン達が「なんでこんなに?」って位にめちゃくちゃ上手いんです。「この人達は超一流ミュージシャンなんですか?」って聞くと「まぁ中ぐらいかな」と言うわけですよ。 なるほど。それだけ層が厚いんだね。 厚すぎ(笑)。アルゼンチンは薄すぎです(笑)。これから手を繋ぐとしたらブラジルだなと感じました。 そうは言ってもタンゴを押し進めて来た小松君には、これからアルゼンチンを救って頂きたいですね。 おこがましいけどそういう気持ちですね。外国人じゃないと救えないかもしれないです。 ああ、それは言えてますね。 |
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ペルーで驚いたのが、ここは南米で1番食べ物が美味しい国だということ。(小松) 去年の南米ツアーは自分のバンドで回ったんですか? そうです。国際交流基金の仕事だったんですが「普通こういう仕事は4〜5人でやるもので、現地の方の待遇を受けてご挨拶する事が大切です。お披露目じゃないんですから」とマネージャーに釘を刺されたんですが、僕が無理を言って「俺は10人じゃないと行かない」と(笑)。 あはは。じゃあ、ティピカだったわけ? もうオルケスタ・ティピカ。「バンドネオンもできれば4台で、バイオリン3人、ビオラ、チェロ、ベース、最低限これ位いないと俺は行かない」と言ったんです。マネージャーが半ベソかいていた時もありましたが(笑)。 それはゴージャスだな(笑)。 なぜそうしたかと言うと、とにかく南米大陸ですからタンゴの本場、または本場に近い所ですよね。そこに4〜5人で行くよりも、タンゴの黄金時代の典型的なそれこそオルケスタ・ティピカのスタイルで我々がどれだけ演奏できるか試していこうという気持ちがあったんです。 逆にそのほうが分かりやすいって事ですね。 そうそう。だから「南米の人に俺達の実力をちゃんと判断してもらえるんじゃないか」と思って無理して行った訳です。それで最初にペルーに行って驚いたのが、ここは南米で1番食べ物が美味しい国だということ。 本当? 本当です。あまり知られていないんですが、大使館の方もそう言っていました。見たこともない木の実や野菜、果物がいくらでも出てきて、全然料理しないでスプーンで食べるだけでもめちゃくちゃ美味しいんです。 素材が豊富なんですね。 それと海と山の幸が両方ある。あと、色んな国、特にベトナムとか東洋系の人が入り込んでいるので、食べて「これニョクマム?これベトナム料理でしょ?」と聞いたら、「これはペルー料理なんですが、ベトナムのアイディアとペルー料理をミックスしたものです」と。普通のイタリアンレストランに行ってもどこもレベルが高いんです。 へー。 その次はパラグアイに行ったんですが、失礼ですが国自体が田舎みたいな所はあるんだけど、生ジュースはおいしいんです。 フレッシュなフルーツジュースって事? そう。普通に「メロンジュース下さい」と言うと、メロンをギューッて絞って出てくるんだけど、これが他の国と味が全然違うんです。 いいですねえ(笑)。 |
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「お願いですから弟子にして下さい!」と。今日で5回目のレッスンをするんです。(小松) 2003年のイマージュ海外ツアーで葉加瀬さんと僕、楽屋が一緒でしたよね? はい。 あの韓国での演奏が終わった後、お客さんから楽屋に手紙が届いていたんですよ。「私は小松さんのファンで、この後みんながダンスしているクラブがあるから良かったら明日来て下さい」と書いてあって、僕は1日遊ぶつもりで滞在を延ばしていたから、奥さんと2人で1時間くらい地下鉄に乗って行ったんです。行ったら向こうが「本当に来てくれたんですか!」と喜んでいろんな人呼んで盛り上がったんです。 そこはタンゴを踊るような所だったの? そう。夜遅くまでやっているクラブなのに、風営法が厳しいから酒なしで、みんなお茶を飲んで踊ってる(笑)。それで去年11月に『バンドネオン・ダイアリー』という新しいアルバムを出したので、手紙をくれた彼に「CDを送りたいけど住所は変わってないでしょうか?」とメールを出したら「ちょうど明日韓国で初めてのタンゴのクインテット(五重奏)のライブを見に行くのでレポートしますね」と返事が来て、次の日にすぐレポートが来て。そこでバンドネオンを弾いていた女の子が日本かアルゼンチンのどっちで勉強しようか迷っているらしいから、一言声を掛けてあげてくれませんか」と言うわけ。 うん。 メールアドレスが書いてあったから、「小松亮太と申します。あなたは日本に来て誰に習うつもりなんですか?」ってメールを出したら「お願いですから弟子にして下さい!」と返ってきたんです(笑)。「あなたはプロになろうとしている人にしか教えないと聞いているのですが、私を弟子にして頂けますか?」って。 会って「試しに一度弾いてみて」という試験はしたんですか? でもそれだけのために日本に来るのは大変だから、メールでビデオファイルを送ってもらって観たら、始めてまだ半年なのにけっこう弾けてるんです。「これは!」と思って「とにかく来なさい」とメールしたら10日後にすぐ来ましたよ。今日で5回目くらいのレッスンをするんです。 偉いね。 いえいえ、昔の自分を見ている気分になっちゃうんですね。教則本はないし先生もいないし、楽器が壊れた時もどうしていいか分からないしね。また彼女が持ってきた楽器がひどい楽器なんですよ。それで練習すると悪い癖がつくから、僕の楽器を貸して練習させているんですけど、バンドネオンはどこで買うといいとかの情報が、韓国は日本以上に遅れているんですね。僕のところに来てくれたんで、基礎の基礎からやらせてイジメぬいているところなんです(笑)。 小松君は昔から次の世代にどんどん教えていく人だというのは聞いているけど、自分もアルゼンチンの巨匠達から教えてもらっていて、時にはホテルの前まで行って教えてもらったりしたことがあるからだと言ってましたよね。そうやって技術が脈々と流れていくって事がすごいですね。 彼女が上手になるまでに5年10年かかるとしても、その間に何か起こるんじゃないかなと思ってます。僕らは日本、韓国、ヨーロッパと色んな国と手を繋いでオーケストラ連合軍を作ってアルゼンチンに行って「俺たち外国人だけどこれ位は出来るよ」って感じで乗り込もうかなというプランはありますね。 あははは。なるほどね。 |
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アルゼンチンで生まれたタンゴだけど、外国人が救っていくのは十分起こり得るんです。(小松) 昨年ドイツにテレビの取材があって、色んなバンドネオンのコレクションをしているというおじさんの家に遊びに行ったんです。そこで元来のバンドネオンを初めて見せて頂いたんですよ。 アルゼンチンに渡る前のバンドネオンですね。 僕らが弾いているバンドネオンはアルゼンチンの人のオーダーを受けているから彼らのアイディアが混ざったバンドネオンなんでしょうね。僕は今まで偉そうに「バンドネオンはこういう楽器でこうじゃなきゃダメですよ」みたいなことを言ってきましたが、認識が変わりましたね。「オレが弾いているバンドネオンが亜流だったんだ」みたいな(笑)。 はははは。 バンドネオンの発祥の地に行ったら「本来こういうサウンドを求めていてこういう形でこういう雰囲気だったんだ」という形を見ちゃって、自分が弾いているのが枝葉のものだったんだって分かりました。四角くて触るとカドが痛いアコーディオンのような形のものとか。笑っちゃう話だけど、アルゼンチン式バンドネオンと似た形なんだけど音色がまるでミゼット・アコーディオンっていうのがあって「何でこんなもの作ったんですか?」って聞いたらそのおじさんが「これはアコーディオンみたいな音が出したい時のために作ったんだけど、『だったらアコーディオンを弾けばいいじゃん』ということになって全然売れなかった」って(笑)。 アコーディオンよりバンドネオンのほうが演奏難しいしね(笑)。 そういう試行錯誤の過程も含めて色々見て、僕が思っていた「バンドネオンはこれが正しいんだ」というのを言うのは自粛しようかなって考えが変わりました。 それだけまだまだ改良の余地があると言ってもいいわけだね。 そうそう。だからアルゼンチンで生まれたタンゴだけど日本人を含めて他の外国人が救っていくっていうのはこれから十分起こり得ると思ったんですよ。というのはドイツのバンドネオン職人はまさかアルゼンチンの人がタンゴに使うとは思わないで作っていた。ところが売れなくて会社がやばくなった時にアルゼンチンの人が「僕達がタンゴで使ってみます」となった。それで今度はそのタンゴが倒れそうになった時に、外国人の僕とかがその楽器を利用して新しい曲を作ったりする。ということは、ドイツからアルゼンチン、アルゼンチンから日本、次は日本から韓国と移っていくことも考えられるし。 音楽と一緒に楽器も進化していくからね 面白いのはドイツのクリンゲンタールという街で「ドイツでバンドネオンを復活させましょう」という新しいことをやり始めている会社があって。工場に遊びに行ったんですがそこではドイツの職人さん達が逆輸入的にアルゼンチンのバンドネオンを再現しようとしていたんです。ややこしいけど(笑)。 分かりますよ(笑)。面白いなあ。 最近韓国の人達がキムチを食べなくて日本の方がキムチの消費量が増えているのと同じで、海を渡ったものが発展してまた元の国に戻ると。僕も何度も経験しているけど韓国人が作ったたぬきうどんとか寿司がめちゃくちゃおいしいという。「なんか違うけどおいしいぞ」というのが自信になりました。5年前の僕だったら「ちゃんとオリジナルのタンゴをリスペクトして…」と言ってたのが「どんどん変えちゃえ!」って気持ちになってきましたね。 |
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『夢幻鉄道』は個人的ですが自分の子供のための曲になったというか(笑)。(小松) 初めて会って対談した時に「アルゼンチンのタンゴを伝えていくのが僕の仕事です」とおっしゃっていて、僕は「君はそのうち曲も書くと思うしブエノスアイレスが・・・とかそういうことじゃなくて、音楽というものでタンゴを引っ張っていくと思う」と言ったのが、新しいアルバムの中の『夢幻鉄道』を聴いた時に全部見えちゃったんですね。 ありがとうございます。 僕、あの曲が涙出る位好きで。 実はあの曲は2003年のイマージュのツアー中に考えてたんですよ。それで書き始めて半分位のメロディができていて、イマージュは合宿状態だったから鳥山雄司さんに「このメロディ以外にもう一個くらいメロディを増やす必要がありますかね?」と聞いたら「いや、このメロディだけで1曲いけると思うよ」と言われたけど、そのあと2年も悩んでしまって。 そんなに? 「3つ目のメロディが欲しい」とどうしても思ってしまって、行き詰ってしまったんです。2年間悩み抜いて、レコーディングの3日前まで悩んでいました。それがある時から「この曲のバックのリズムをどうしようかな」と考え始めて「タンゴでもないしワルツも違うし…」と思った時に「ガタゴト、シュッシュッポッポ」という鉄道のリズムしかないなと急に思いついて。その“鉄道”のキーワードが出た瞬間に、途中までしか書けなかったメロディが書けるようになったんです。 その発想はどこから来たんですか? うちの子供、鉄道がすごく好きで、運転手さんの後ろで3時間くらい抱っこさせられてるんです(笑)。 ははは。 ホントに腕が痛いんです(笑)。鉄道は僕たちには日常のツールでしかないんだけど、子供にとっては夢のおもちゃなんですよね。メルヘンチックなイメージが湧いた時に、ワーッと書けてしまって5分位の長い曲になってしまったんですが、我ながら夢のある曲が出来たなと思って、非常に個人的ですが自分の子供のための曲になったというか(笑)。 でも作曲家ってそういうものですよね(笑)。 |
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