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「日本人が誰もやらなくても尺八は残るな」と思うくらい、海外の人の方は尺八に関心をもってくれています。

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PROFILE
 
 
 藤原道山 - 尺八奏者 -
東京生まれ。10才より尺八を始める。人間国宝・山本邦山氏に師事。1991年東京芸術大学音楽部邦楽科尺八専攻入学。1992年都山流師範検定試験に主席登第。道山の名を受ける。同大学大学院音楽研究科入学。皇居内、桃華楽堂において御前演奏(宮内庁主催)。96年、NHK邦楽オーディション合格。以降、アメリカやインドなど世界各地のステージに立つ。2000年、箏奏者家のみやざきみえことともにデュオグループ 'East Current'を結成。2001年、アルバム「UTA」でソロデビュー。2004年にはアルバム『空 -ku-』をリリースし、アメリカ(五都市)ツアー行った。坂本龍一のライブに参加するなど、既成の尺八のイメージを変える幅広い活動が注目を集めている。
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“和物”って、“ジジクサイ”イメージが無かったですか?(葉加瀬)
洋楽器には無い面白さを発見してしまったんです。(藤原)

まずは、どのようにして尺八と出会ったのかを聞きたいですね。

もともと、祖母がレッスンプロみたいな形で琴をやっている家で、自然にそういった日本の音は入ってきていたんです。だから小さい頃から音楽を聴くのは好きだったんですね。で、小学校の時にリコーダーってあるじゃないですか。あれがすごく好きだったんです。

僕も!

そうですか(笑)。今日習った曲とかを吹きながら歩いて帰っている姿を親が見て、お琴もちょっとやっていたんですけど、「男の子だし、尺八の方がいいかな」って。

なるほど、そこか! お婆さんのお琴があって、リコーダー好きの少年がいて、“縦笛で和楽器”と言うと“尺八”だ。それって何歳の時?

10歳ですね。

10歳で尺八って、「ちょっと違うかな」って気はしませんでした?

よく分からないうちに吹いてました。「尺八? どんなの?」みたいな感じで。まず楽器を見て「何だこりゃ」って思った。吹いても音は出ないし。リコーダーだと吹けば音は出るから「楽器で音が出ないものなんてなかったのに」っていうのが口惜しくて練習しましたね。

出会って、練習して音が出るまでは夢中になる子供心って分かるんだけど。お琴とか三味線とか“和物”って、“ジジクサイ”イメージが無かったですか?

それは勿論ありました。最初の頃は尺八やってるのを隠してましたよ(笑)。周りが何しろおじさんお爺さんしかいないんですよ。

でも、そんなことを言いながら夢中になっていく訳ですよね?

最初は体も小さかったので、楽器が重くて膝に乗せて先生に怒られたりという様な状況でした。肩も腕も痛くなるし、目が回るし「嫌だなぁ」と思いながら吹いていたんです。でもやってるうちにだんだんと…周りに僕ぐらいの子がいないんで、皆がちやほやしてくれるんですよ。それで調子に乗りましたね。子供の方が飲み込み早いじゃないですか。おだてられて木に登ったタイプですね。

「初めは尺八をやっていても“照れ臭い”みたいな所があって、隠してた」と仰いましたが、いつカミングアウトという事になるんですか?

やっぱり、やっていてだんだん面白くなってきて。

それ、いくつぐらい?

中学校ぐらいですかね。うちの師匠がジャズとかいろんな事をやっていたんですよ。

そうですね。僕らから見ると、山本邦山というのは「いろんな異種格闘技をやっている」というイメージがありますものね。

それを見て「かっこいい楽器じゃん」って思ったんですよ。そこで自分の中の尺八像が変わったんですよね。

じゃあ、逆に“他の楽器とか音楽をやってみたい”という欲求は無かったですか?

他の楽器は手当たり次第(笑)。触るのは大好きだったんで。

なるほど。じゃあ、中学高校時代にギター触ったりとかそういうことだ。

いや、それが全部“和楽器”だったんです。

いじりたくなるのは和楽器(笑)!

お琴とか、雅楽の笙(しょう)とか。洋楽器には無い面白さを発見してしまったんですね。



琴と尺八で『ミッション・インポッシブル』をやったんですよ。(藤原)
似合うかもね。面白いかもしれない!(葉加瀬)

昨年は3月にアメリカで公演をされたそうですが。

はい。琴の「みやざきみえこ」と一緒に、アメリカ5都市とメキシコのティファナの6都市で演奏しました。サンディエゴ〜ティファナ〜シカゴ〜スポケーン〜シアトル〜フェニックスを回って2週間で10公演やったんですよ。だからほとんど移動と演奏しかなかったっていうような、なかなか強行なスケジュールでしたね。

街を観光してっていう様な時間は無いわけだ。

1日だけでしたね。“終わったら、荷物を梱包して次の都市”みたいな。

そういうことになりますよね。それは「ティピカルな日本の音楽を聴くっていうのが珍しい」という人たちに届けに行くんですよね?

そうですね。ちょうど日米の交流150周年という事もあって行ったんですけど。お客さんには在米の日本人も多かったです。

故郷を偲んで聴きますものね。

だからそういう曲もやったりだとか、古典の曲をやったり、皆さんの知っている曲をやったりと、様々な曲を用意して行ったんですけど、アメリカだから「フォスターを演奏しよう』とか安易に思っていたら、向こうの人に「フォスターを知ってる人なんて、誰もいませんよ」とか言われて(笑)。

なるほど。

日本だと『オー、スザンナ』とか教科書に載っていて知られている曲が、向こうでは全然過去の曲で。それで「どうしよう」ってなって、急遽『ミッション・インポッシブル』をやったんですよ。アンコールにやったら非常に受けましたね。

琴と尺八で『ミッション・インポッシブル』をやるの? 「♪デンデンデンデン」って?

「♪チャララー」って尺八で吹いたんです。

あっ、似合うかもね。面白いかもしれない! 外国人の前でやるというのは、今までにもあったんですか?

何度かありましたけど、こんなに長期間行くのは初めてでしたね。

アメリカで尺八そのものの認知度っていうのは、どういう存在なんですか? 好きな人はいるって感じ?

好きな人はすごいです。

日本のクラシックを聴いていて思うのは、全ての音楽がそうだとは思うんですが、とても言葉と音楽が密接じゃないですか。日本語ありきで、あの音楽があると思うんですね。英語圏の人たちにとっての“日本語的な解釈”というのは難しい事でしょ?

だから日本語が上手な人が多いんですよ。「『源氏物語』読みました」とか、そういう人がいるんですよ(笑)。「僕は『あさきゆめみし』しか読んでないよ」みたいなね。

世界がグローバル化するっていうのは面白いね。アメリカに行く時に『フォスター』を用意して、向こうの人が誰も知らないのと同じ事で、こっちも今や『源氏物語』を誰も知らないって事だもんね。それを再認識していく人生っていうのも面白いですね。

逆輸入じゃないですけど、「そうだな」って発見が多いですよね。海外に行くことで日本を再発見じゃないですけど、内にいるときは見えなかったものが見えてくるみたいなことはありましたよね。

そうですね。



“ZEN MUSIC”として、精神世界に重きをおいて聴く人も多いです。(藤原)

去年の夏に、もう一回アメリカへ行ったんです。N.Y.へ行ったんですけど、「ニューヨーク国際尺八フェスティバル」というのがあって、世界から尺八の愛好家たちが集まるんです。アメリカだけでもかなりの人が来ましたよ。ツアーで回っている時にも、メキシコはいなかったんですが、各都市に必ず尺八をやっている人がいるんですよ。

そういうのって純粋に嬉しいよね。尺八吹きとしてもそうだろうし、日本人としても嬉しいよね。

嬉しいですね。フェスティバルに行った時に、「日本人が誰もやらなくても尺八は残るな」と思ったんですね。「この楽器は世界で残る」と思ったくらい、海外の人の方が熱心ですね。

数は多くなくても、その分、熱心な人がいらっしゃると。

詳しいんですよ。こっちが答えに窮する様な質問をしてきたりね。

「どうやって吹くんですか?」とか「これはどういう風にするんですか?」とか?

いや、そんなんじゃないです。歴史の事とか、「この伝承についてなんですけど」とかね。

僕らは何となく、“芸は盗め”だとか、そうやってやっている事じゃないですか。でも彼らにとってみれば、全てをロジカルに勉強しないと知ることは出来ないことだから、文献を読んだりして頭に入っているわけだね。

そうなんですよ。インターネットで英語の尺八のサイトとかもあるんですけど、すごいんですよ。「日本にもこんなサイトは無いぞ」っていうようなね。

例えば日本人が「ケーナ」を吹くとしようよ。あれを吹くためにはどうするかって、いろんな研究をするかもしれないけれど、ケーナを吹いているアンデスの人たちにとっては、そこで毎日やっていることを伝承していく事だから理屈じゃないんだよね。それと同じですよね。インドのタブラーも同じだろうし。外国人から見た他の国のクラシックは、ちゃんと理論体系化されているっていう事なんですね。

そうですね。

その『ニューヨーク国際尺八フェスティバル』についてもっとお伺いしたいんですけど、そこに何カ国くらいから集まっているんですか?

どれくらい来ているんでしょうね? ヨーロッパも多いですし、オーストラリアも結構いるんですね。アジア圏はあまりいなくて、欧米の人が多いですね。

エキゾティズムを感じて始めるのかしら?

アメリカだと“ZEN MUSIC(禅ミュージック)”っていうような、精神世界に重きを置いている人も多いですね。アメリカに行った時に、各コンサート会場にアメリカの尺八吹きがいるわけですよ。「私の尺八見てください」みたいなね。こちらもスケジュールがつまっていて、なかなかそういう質問に応じる時間が取れなかったのが残念でしたけど、「尺八をこんなに熱心に見てくれる人が多いんだな」って思いましたね。

嬉しいね。何かそういうものが伝わっていく事が嬉しいじゃないですか。

だから逆に、日本の人にももっと知ってもらいたいと思いますね。

そうですね。



“絵から来るパワー”っていうのは初めてでした。(藤原)
ピカソの絵は体力があるんだよね。(葉加瀬)

コンサート中は、移動〜コンサートと忙しいと仰いましたが、ちょっとしたオフの時間というのはどのように過ごされましたか?

アメリカ・ツアーに行った時は、シカゴ美術館に行きました。ちょうどシカゴで1日オフがあったんですよ。最初に印象画から見ていったんですけど、無造作に目の前に絵が置いてある。「筆のタッチまで見える」という所で見れるのはすごかったですね。

僕の大好きな美術館がN.Y.のMOMAなんですけど、MOMAに行くと、ゴッホの絵の具の影を良く見ることが出来るし、下手すりゃ触る事だって出来るっていうくらい近くで見られれる。絵は、見てつぶさに伝わるものって大きいですよね。

ピカソとかってあまり好きじゃなかったんですけど、パッと向こうにある絵が目に入ったんですよ。何かすごい力があって。近くに行って「何なんだろう。すごい絵だな」と思って見たらピカソだったんですよね。「やっぱり本物って全然違うんだな」って。“絵から来るパワー”っていうのは初めてでした。

僕は全ての中で憬れのアーティストはピカソなんですよ。体力があるんだよね。迷いの無い力がそのままキャンバスにぶつけられているっていうのがすごいんですよね。

現物を見て好きになりましたね。あれだけいろんな絵がある中で、パッと目に入ってきたのがピカソの絵だったっていうのが。

現物を見なきゃ伝わってこないものはありますよね。

ゴッホも「何だこの絵の具の量は」みたいな(笑)。

下手すりゃ、立体芸術としての力を持っているくらいの絵の具の影が見えるんだよね。「これだけ塗れば力を持つよ」っていうくらいね(笑)。あと、スポケーンではホテルが豪華だったって?

豪華って言っても近代的な豪華さじゃなくて、90年か100年くらい前に建てられたホテルなんですよ。

アメリカではとても古い物になりますね。

そうなんですよ。ワシントン州なんですけど非常に格式のあるというか、修復されてはいるんですけど、すごく細かい細工もされていて。ホテルの部屋も立派で、ベッドに上がるのに一苦労みたいな高いベッドだったんです。でも、「夜中に着いて次の日に発つ」っていう寝るだけに行ったような感じで、「ここにあと2〜3日いたい」というようなホテルでした。

何というホテルですか?

スポケーンにある『THE DAVENPORT HOTEL』というホテルなんですけど、ホームページもありました。

そうですか。チェックですね。でも、ワシントンってそういう趣のあるホテルを目指していくと難しいじゃないですか。

また、「スポケーンってどこ?」っていう様な場所ですよね。でも素晴らしいホテルなので、是非!



「何でそんな音が出るんだ」ってよく言われます。(藤原)
音色から海が見えるのよ。(葉加瀬)

今日は、楽器を持ってきていただいたそうなので生演奏を披露していただけるんですよね。でも、尺八ってこんなにシンプルな楽器なんだよね。世の中の楽器の中で、最もシンプルな楽器のうちの1つでしょうね。

そうですね。竹の節を抜いて、指穴を5つだけ開けた感じですね。

もちろん分解は出来るんですけど、もともとの竹としては1本の竹。

「何でこんなに単純なのに、そんな音が出るんだ」ってよく言われますけどね。

じゃあ、是非“そんな音”というのをここで聴かせていただければと思います。何という曲を演奏していただけますか?

今日は「Amazing Grace」を。(♪藤原道山さん、生演奏!)

すごい説得力ですね! おそらくこの曲は、ありとあらゆる楽器の人が演奏するし、世界中の人が知っているメロディーですよね。この楽器で今のメロディーだと僕なんかアイリッシュフルートみたいな、そういうイメージがあったんだけど、メロディーがどんどん進むに連れて、尺八ならではの「ふぉふぉふぉ」っていうのが出てきたりすると、どこの海だか分からないけど「ザバー」っていうのが見えてくるよね。

ありがとうございます。ちょうどこの曲はペンタトニックといって5つの音で書かれていて、尺八の指穴5つと合うんですよ。無理なく吹けるんです。

音色がね…僕は海が見えるのよ。たまたま昨日、家で高橋竹山の三味線を聞いてたの。彼の音を聴くと、津軽の『じょんがら節』から、バサーって冷たい水飛沫が上がっている海が見えるじゃない。これって日本人だけなのかな? 逆に、アメリカで道山の音を聴いた彼らはどんな映像を見てたんだろうね。

そういうの聴いてみれば良かったですね。

僕らにとってはそういうのが見えてくるけど、それは僕らの血に入ったものなのか、あるいは、この音色がそういうものを伝える所があるのかな? でもこの年になると、この音色は身に染みるなぁ(笑)。

嬉しいですね。そう言ってもらえると。

一緒に何かやろうよ!

是非! 実は、僕はバイオリンがすごく好きなんですよ。

本当ですか!? それは相思相愛ですね(笑)。でもね、ドキドキしました。こんなに近くで尺八を聴いたのは初めてかもしれない…。あ、僕のお爺さんが吹いてたな。

そうなんですか?

でもね、記憶にあるのは小学校に入る頃くらいでしかないんだけど、たまに吹いてたんだよね。昔の爺さんは吹いてたんだよな。みんな吹けた時代ってあるんだもんね。日本にもそうですし、世界中に尺八を伝えてください! さて、今後やってみたい事とか、予定とかってあるんですか?

3月25日に「AOYAMA 月見ル君想フ」というライブハウスでライブがありまして、その時にやりたい事をぶつけてみようかなと、いろいろ練っています。

そうですか。おそらく“日本の古典にはとららわれず”という事でしょうね。

小さい時からいろいろ聴いていたという事もあって、「これはどこのジャンルだから」っていう様な聴き方はしてなかったので、「音楽として楽しければいいや」みたいな。

尺八を使って、これからもいろんな音楽の旅をされることだと思います。期待しています!

ありがとうございます。


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CITY INFO

     

ON AIR LIST
おぼろ月夜 / 藤原道山
HUMMING BEE / EAST CURRENT
SLEDGEHAMMER / PETER GABRIEL
THE BUZZ OF LIFE / 葉加瀬太郎
HOTELS AND ONE NIGHT STANDS / JANIS IAN
AMAZING GRACE / 藤原道山 (LIVE)

 

LINK
尺八演奏家藤原道山ホームページ

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