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漫画アニメーションの世界というのは唯一争いのない世界です。

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PROFILE
 
 
 松本零士 - 漫画家 -
1938年福岡県久留米市生まれ。16歳の時に雑誌「漫画少年」の第1回長編漫画新人賞を受賞。 72年『男おいどん』で講談社出版文化賞受賞。75年『宇宙戦艦ヤマト』がテレビアニメ、劇場アニメ化され大ブーム。99年4月よりインターネットで「銀河鉄道999」の連載開始。代表作は「銀河鉄道999」 「宇宙戦艦ヤマト」「宇宙海賊キャプテンハーロック」など多数。現在、日本宇宙少年団理事長、宇宙開発事業団参与などを勤める。2004年8月からCSスカイパーフェクTVで『宇宙交響詩(スペースシンフォニー)メーテル〜銀河鉄道999外伝〜』がスタートし注目を集めている。
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実は『ツァラトゥストラはかく語りき』を自分の映像に使おうと心に決めていた。(松本)

フランスのミュージシャン“ダフト・パンク”との出会いは、どのようなきっかけだったのですか?

ダフト・パンクの二人が突然私の家に来てくれましてね。

あはははは(笑)。突然ですか?

ええ。ある日突然「今から家に行く」と電話があり、“ダフト・パンク”の仮面を脱いだ素顔の青年2人が、私の家を訪ねて来てくれました。彼らは日頃は他の人に素顔を見せていないんですけどね。そして「私達は5才の頃、両親と一緒にテレビで『キャプテン・ハーロック』を見てました。だから自分達の歌とあなたの手掛ける映像を合体できないだろうか? 願わくば映像を作ってもらいたい」という問いかけがあったんです。“5才”と聞いた時に、私も5才で映像に目覚めた事を思い出したんですよ。

なるほど。

昭和18年、明石にいた頃、5才の私が映画館で『くもと・チューリップ』という日本のミュージカルアニメーションを観ていて。それを観て私は映像というものに憧れ、目覚めましてね。実は15才の手塚治虫少年も同じ映画館で同じ映画を観ていたのです! その事をあとで知って仰天してしましたね。“運命”みたいなものですよね。

そうなんですか?

ですから「5才の時に両親と一緒に観ていた」と言われたら、これはもう「イエス」と言うしかないですよね。否応もないよね(笑)。

しかし僕はあの、ダフト・パンクのミュージックビデオを観た時に「何が始まったのか!?」と衝撃を受けましたよ。それまでにアニメと音楽があそこまで一緒になったものは無かったじゃないですか?

えぇ。そうですね。

ダフト・パンクの音楽と一緒になってひとつのものを作るのは刺激がありましたか?

発想の勝ちですよね。要するに、なぜ今まで歌と私の映像との合体が無かったのか、意表を衝かれた思いをしました。私は演歌でも何でも全部映像化しろと言われれば『津軽海峡冬景色』でもなんでもいいですよ。昔からクラシックでもオペラでも名だたる名曲は聴いてますが、全部頭の中では動く映像として聴いてます。自分が描く漫画でも常に頭の中では「ジャジャジャジャーン!」とかその情景に応じた音が入ってます。ところが本からは音が出ないので、漫画を読む人には音で感動をしてもらえないんですよね。だからこれで「音が聞こえたらいいなぁ」という思いはありました。

なるほどね。

ただ注意事項もあります。一つの歌にしても名曲にしても、映像をつける事によって固定的なイメージを作ってしまう可能性がありますよね。

そうなんですよね。

これはいけない事ですよね。各人が欠く様に頭の中で音楽を聴いて、自由な想いに浸っているのが曲の存在理由でしょ?

はい。

私は名曲を全部動く絵にしてしまいたい。でもそれはあくまでも個人で楽しむのが前提です。あまりやり過ぎては良くないなと思いますね。

はいはい。

その実例をあげますと『ツァラトゥストラはかく語りき』は、今や『2001年宇宙の旅』のテーマといわれているでしょ? 実は僕はあの映画が封切られる10年以上前に、そのレコードをモノラルの長時間版で買ってたわけですよ。自分の映像に冒頭として使おうと心に決めていました。ところが・・・今はもう無くなくなりましたが『テアトル東京』であの映画を観た時に、いきなりあの曲が流れたんですなぁ。

あははは!

それもあと数年で先行できたんですよ。自分が使おうと思っていた曲を先に使われた無念さね。もう総毛立つ思いだよね。

なるほど(笑)。

映画が“面白い面白くない・良い悪い”じゃないんですよ、「間に合わなかったぁ〜」という無念の思い。今では『2001年宇宙の旅』のテーマ曲としてあの曲のイメージがついてますよね。そういうものなんですよ。



どこの国の人が見ても嫌な気分にならないような名前や標識にしてします。(松本)
大人になってまた反芻できる作品というのは素晴らしいですよね。(葉加瀬)

今僕は仕事で世界各地を訪れますが、日本のアニメーションの人気は凄いですね。これ程までに世界を圧巻するという様なイメージは持たれてましたか?

アニメの世界だけは世界中確執のない世界です。アニメーションのキャラクターなどは戦争中でも見境がなかった。現実では敵対していてもアニメの世界では敵という様なイメージは無かったです。なぜならドイツ軍の戦闘機が米軍を邀撃するのに、戦闘機のノーズアウトに“ミッキーマウス”を描いていますよ。そういう記録映画もあります。

ほほぅ。

これはもう全く違いますよね。概念がね。

なるほど概念がね。

だから漫画アニメーションの世界というのは唯一争いのない世界です。それは現代でも同じですね。ですから日本のアニメは地球上全域に出ていくはずだと、仕事をしながら私は思っていました。いずれ外国の人達の目に触れるだろうから描き方にも注意をしていましたね。要するにどこの国の人が見ても嫌な気分にならないような名前や標識にしてしますよ。そういうことに私は若い頃から過敏に反応して十分に注意をしていました。

そうなんですか!?

それだけは今でも変わりません。思想宗教、心情、民族感情といった“聖域”には土足では踏み込んではならないのです。表現者たるもの頭に叩き込んで作らなくてはいけない。ただし八方美人になるというのとは違いますよ。自分の意思で描く場合は断固として描く訳です。そういう場合は相手もわかってくれますし。

なるほど。僕は小学校や中学校の時代に『宇宙船艦ヤマト』や『銀河鉄道999』に夢中になりました。少年の頃は何も考えずに毎週テレビを夢中で観てただけですが、先生の言葉を聞くと「なるほど! そういう想いが含まれているんだ」と思いましたね。大人になってまた反芻できる作品というのは素晴らしいですよね。

ですから初めの企画と違って『スターシア』を対極において、ロマンチックさと宇宙全体の共存をテーマにしてみたかったんです。それは子供の頃の夢でしたからね。でもどうしても自分で作ると宇宙船艦ヤマトみたいな作品になる訳です。

はい。

女性らしさとかファンタジーという面で、女性のキャラクターが存在しないSFが多かったですが、私は子供の頃から美人な女性を描くのが好きでね。

ふふふ。脈々と伝わる美人画の系統ですよね。

だいたい高校の初めにはあのスタイルは完成していました。若い頃の資料を見ますと不思議な事に、女性図を描く時に真正面から描く癖がありましたね。

そういえば“テレサ”や“メーテル”というキャラクターにしても、象徴的には“真正面”ですよね。

“そこを目指して飛んで行く”というのは思春期の少年の本能みたいでしょ?

あはははは!

だからヤマトも青春の残像の中で、絶世の美女を目指して飛んで行った訳です。後で考えるとそういう事になります。

なるほどねぇ(笑)。



地球も火星も、大地の色は変らない。
ただ違うのは人間が騒々しくしている事だと!(葉加瀬)

本当に色々な所を旅されていますが、印象的だったことって何ですか?

インド・アフリカ・アマゾン・南太平洋・ナスカもそうですが、風の無い時の静寂!「地球は静かだったんだな」と思うくらいシーンとして異様な静けさなんですよ。

はい。

だから騒々しくしていたのは人間なんですよね。あの静けさは異様ですよ。

はい。

「昔の地球は静だったんだな〜」って。アマゾン川でワニを食べている時に、上流の方から「わっはっは」と笑い声が聞こえてきたんですよ。ガイドさんに聞いてみたら「上流の数キロ先の誰々の笑い声だ」と言いましてね。そのぐらいの静寂なんですよ。

うふふふ(笑)。

時々夜中にジャングルで「ドーン」と音がしたんです。何百年立っていたかは知りませんが、その時に老木が力尽きて倒れる音が聞こえてきたりもしました。

はい。

アフリカのケニアではサバンナの山を登った時に風を切る音が聞こえたので、「こんな所まで戦闘機が飛ぶのか」と思ったんですよ。ところがそうではなくて、ハゲ鷹が羽根を広げて急降下して風を切っている音だっんです。それがジェット機の音みたいに聞こえたんですよ。

聞こえる!?

その静かさは凄いですよ。そして夜になると星が瞬かずに出ていましたね。標高二千数百メートルとかで、平地だと思って走り周っていたら目が回ってしまいました。白い雲が黄色く見えて、青空がグリーンに見えてでんぐり返った事がありました。

あははは(笑)。

1気圧の平地だと思っていたら、二千何百メートルだから息切れしたんですよ。他の稜線にサーチライトがついてね。「こんな所でどこのバカがサーチライトなんかつけたんだ!」と思っていたら金星だったんです!

ふふふ。

そのくらいの光芒なんですよ。火星探査機が火星に着陸した直後に行ったんですが、ニュースで見たその火星の大地の色が、夜明けの大地の色と同じで赤なんですよ。ケニアやサバンナの土の色と変わらない、わずかに植物があるか無いかの差でした。だから地球も火星も変わらないと思いましたね。

ただ違うのは人間が騒々しくしている事だと!

そうそう。それと地球には大気が存在して、植物が生えて動物が動いているだけです。

なるほどねぇ。

大地の色、石の転がり方・・・ケニアやサバンナの大地から草を取ってしまえば火星と全く同じなんですよ。

本当ですね。

だから結局惑星というのはみんな似たようなものなんですよ。本当は今ごろ火星に住んでいる予定でしたよね。子供の頃の予定ではね。



将来、宇宙戦争とかは絶対にありえないと思っています。(松本)

今日質問したかったのは…例えば見たことのない宇宙に想いを馳せて創作をしている時のテンションと、普段の実生活をして東京にいる時とのギャップってあるのかなと思っていたんです。でも今日お話しを伺ってる限り、日常と非常にリンクしてますよね?

そうですね。その延長線上に全て存在していますので、ギャップは何もないです。ですから自分がこの世に存在しているのと同じ理由ですよ。

なるほど。

逆に、一歩はみ出る事も出来ないしね。

そうですねぇ。

だから元気なうちに旅をしたり体験したり、見るべきものは全部見ておく。多少危険があっても見ておきたいですね。ヒョウに襲われかけた事だってあるからね。

本当ですか(笑)?

それでも行って良かったと思います。恐怖心とか色々な体験がものをいう訳です。その体験の延長線上に宇宙があり、生きているものの生命体の世界には類似点があると思います。ですからその辺りは虫の世界から始まるかと思います。私が初めて雑誌に載ったのは昆虫漫画ですけどね。自然と虫とが関わった漫画から始まり、だけど一方で宇宙にも興味があって。自分の中では全部同じ世界なんですよね。

確かにカマキリのとても接写した写真を見ると、モンスターかと思ってしまいますよね。

とても精密な身体の構造ですよね。

そうですねぇ。

どこかの星には昆虫型の高等生命体がいて、将来出会う事があるかもしれないですよね。

はい。

私は将来、宇宙戦争とかは絶対にありえないと思っています。そこまで進化した生命体同士が出会ったからといってつかみ合いはするだろうか? お互いが身を案じて危険がないかそーっと確かめてからコンタクトすると思います。それが“高等生命体”ですよ。だから宇宙戦争の漫画にしろSF映画は、やや脱線していると思うしね。そこまで進化した生命体同士が撃ち合いをするか疑問ですよ。

なるほど。

地球上の状況なら今も戦争が続いていますが、そこまでいったら今みたいな争いはしないですよ。そっとコンタクトして挨拶して、接触したら危険な場合は避けるでしょうね。我々も観察されている可能性はありますよね。「こいつらはまだ野蛮だから接触するのはやめておこう」と思われているかもしれない。高射砲やミサイルを撃って来るかもしれないから…。

「今はまだ待とう」という事ですよね。

そうですね。そーっと立ち去っている可能性もありますよね。ですから逆に科学技術とか文明の進化とか、生命体遺伝子の進化の状況などを想像しながら描くのがSFの世界ですよね。

はい。

でも基本には自分の今の生活があります。100年後1000年後、恐らく火星や金星や太陽系を飛び出して行くでしょう。その時も居食住に関しては今とたいして変わらないはずです。今だって江戸時代とそれ程変わっていないですよね。

ローマ時代からも変わってないですよね(笑)。

ごくそのまま生活を持ち出すと思います。ですから実はここが大事なところです。地球上のありとあらゆる職種の人を打ち上げて地球を見せないと、地球の概念というのが正確には把握できない。だから「タダで打ち上げて」と言っているんですがね。

あははは。

まぁ上手くいくか分かりませんけどね。



幕末から現代に至るまでを遺伝子が支配しているという作品を考えてる。(松本)

これからも“宇宙の旅”をテーマに作品を書かれていくと思いますが、今一番大きなプロジェクトは何ですか?

今全体を動かしているのは、『銀河鉄道物語』。そして『燦天河無限』というのは一部を書いています。あとそれとは別に全く新しい日本の物語を書こうと思っています。幕末から現代に至るまでを遺伝子が支配しているというものなんですよ。

なるほど。

もう1つは外国とのコラボレーションで漫画の実写化という話のオファーが何件か来ています。これをどう対応していいか今、対策を練っています。未知数の世界というのは自分でもわかりませんから。これからアニメーションだけではなくて、色々な作業の広がりが見えてきましたね。

お忙しいですね。

まず手で書くのは基本中の基本ですね。そういえば『ニーベルングの指環神々の黄昏』の部分もまだ書いていないので書かないといけないし。先程言いましたが遺伝子の問題を扱った作品。これは幕末から現代に至る物語と未来を合体させ、全部の登場人物が運命的にリンクするようになっているので、いずれそれが合体していきますね。でも登場人物が一同に出揃ったら幕引きになりそうな気がしますので、なるべく先へ送ろうと思っています。

9番シンフォニーはまだ書けないって事ですね(笑)。

カーテンコールになるのはまだ嫌なので。

はい。

ただその前置きとして登場人物はほぼ出揃っていていますが、あと2、3人は大事なキャラクターが今立ち上がっている瞬間なんですよ。だから当分辞められませんね。



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