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マリー・アントワネットが作った音楽は、素朴で優しくて温かい。

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PROFILE
 
 
 唐澤まゆこ - ソプラノシンガー -
神戸女学院大学音楽学部を首席で卒業後、渡仏。パリ国立高等音楽院声楽科へ入学。卒業後はパリ音楽院バロック科へ進み、2002年にディプロマ(修士課程)を取得。現在はクリスチャンヌ・パタールらに師事している。在学中から、フランス・バロック界を代表する、ウィリアム・クリスティ率いるアンサンブル「レザール・フロリサン」に日本人歌手として始めて参加する他、アンブロネイ・バロック音楽祭での、ウィリアム・クリスティ指揮によるリュリのオペラ「テゼ」(テゼウス)の公演ではヨーロッパ・ツアーに参加。レパートリーはバロック音楽から現代曲まで幅広い。2003年、デビューアルバム「アントワネット〜パリからの絵葉書」をリリース。大阪、東京にて初の本格的リサイタルを開催した。
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「コンセルバトワールを受けるんだ」って言ったら「まゆこそれは無理だよ」って(笑)。(唐澤)

“留学”と言ってもいろんな形がありますけど、学校を目指したんですよね?

そうですね。フランス語やフランスの音楽を学びたいと思いました。“国立”でフランスの学校というと、パリの国立音楽院かリオになるんです。私は大阪出身なのでやっぱり「首都がいい」と思って、パリの国立音楽院を選びました。そして願書を日本から出しましたね。

よく言う「コンセルバトワール」ですよね?

そうですね。

そう簡単に入学出来るものじゃないですよね。何回もトライしたんですか?

いえ。1回で合格しました。私は本当にラッキーだったと思います。私が入学しようと決めたのは入試の3ヶ月前で、フランス語がチンプンカンプンの頃だったんですよ。留学を決めてからはラジオ講座とかテレビを見て凄くまじめに勉強しました。それで本当にフランス語が話せないままフランスへ行ったんですが、たまたま住むはずのアパートの家主さんが声楽をやっている方だったんです。

たまたまですか?

たまたまです。フランスに行ってから私は自分の力で物事をしたくて、新聞でアパートを探して見つけたんです。そうしたら、そこの家主が声楽をしていて「パリのコンセルバトワールを受けるんだ」って言ったら「まゆこそれは無理だよ」っという感じに言われました(笑)。「私の先生を紹介するから会いに行ってみなさい」と言われ、それからその先生に会って1ヶ月間ぐらい特訓しました。もしそれがなかったら合格してなかったかもしれません。本当に出会いってわからないですね。

それまで声楽の勉強はしっかりしてきただろうけど、“フランス語”と“フランス歌曲”というのは、また新たな世界ですものね。

そうですね。入学試験ではイタリアオペラとか色々歌ったんですけど、最後に“会話”というのもありました。そこで半数落とされましたね。

フランス語会話ですか?

審査員がズラリと並び、歌った曲目に関する事やフランスで何を学びたいとかなどを質問されるんです。

凄いですね。しかも外国語で質問されるわけですよね。大変な事ですよね?

結構大変でしたね。

特訓の為に、その間パリで過したわけですね。

そうですね。入試まで1ヶ月間あったのですが、その事ばかり考えていました。

その後、入学するわけでしょ。入学してからはどんな生活をしていたのですか?

私にとっては予期せぬ入学だったので(笑)。入学した後、少しカルチャーショックというか「どうして自分がここにいるんだろう」という雰囲気でした。特にフランス人の方は私立のコンセルバトワールから進級してくる方が多かったり、日本から来るのは東京の方が殆どでしたから、私の学校名を言っても「何ソレ?」って感じでした。

日本から行く人は芸大出身だったり、音楽大学の出身だったりするんですね。

日本人でも特に声楽の方は語学が必須になってくるので、フランス語の授業でドイツ語の新聞を訳したり、イタリア語の台本をフランス語に訳したり。歌に関係ない授業が沢山あるんですね。体育で言えば、フェンシングとかクラシックバレエなどを身に付ける事で精神を鍛えるんです。そういう授業が多かったので、慣れるまではカリキュラムをこなすだけで大変でした。

なるほど。



フランスの方は、演技の想像力が本当に豊かですね。(唐澤)

僕は実は1回も留学経験がないんですよ。日本の大学も中退してますから。“教え方”と言う所で日本とパリでは全然違うなと思う所はありますか?

“フランス人だから”とか“日本人だから”というものはないですね。やはり教師の性格ですね。

個人によって違う感じですか?

個人によってかなり変わって来るので、お会いした声楽の先生のなかには合わない先生もいたし、合う先生もいました。やはり意思の疎通がうまくいく先生に教えて貰うと、先生の言っている事に説得力があったりしますね。

殆どが個人レッスンなんですか?

そうですね。後は語学のレッスンとかアンサンブルや初見など色々ありました。あと歴史の授業で『アナリーズ』というものがありました。

それは音楽史ですか?

ええ。それをフランス語で発表させられたりしました。

そこが凄いですよね。論文とかを発表するのもフランス語なわけですよね。

そうですね。必修科目というのは日本もそうだと思うんですけど、入学して1、2年目の時なんですよ。3、4年になると専門の事だけ勉強するっていう形なので、私がまだフランス語が侭ならない時に、必修科目が沢山あったので大変苦労しました。

そしてその学校を卒業後、パリでプロとしてスタートするわけですよね?

学校でよくオーディションがあるんですよ。そのオーディションを先生に「受けなさい」と勧められて。一番初めに受かったのが3年生の時で、モーツアルトのミニオペラなんですけど『バスティアンとバスティアンヌ』というドイツ語のオペラで、そのバスティアン役をやらせて頂きました。

本場というかヨーロッパでキャリアをスタートさせて、いかがでしたか? その時、特に印象に残っている事があれば教えて下さい。

やはり外国の人といいますかフランスの方は、演技の想像力が本当に豊かですね。私なんて、演出家が「こう動いたら」と言うのを待っていたら「君はどうしたいんだい? ここで君の好きな様に歌ってごらん」と言われてしまいました。私は直にアイディアが浮かんでこなかったり、自分では「こういう役がやりたい」って思っても、実際「動け」って言われても動けなかったり。日本人は少し頭が固いですね。

日本だと演出家がいて、その振り付けをどこまで完璧に出来るかを問われる事が多いですよね。

そうですね。だからその演出家には「私が教えた演技をコピーするだけでは真実味が出て来ないから、あなたのやりたい事を出してほしい。その中に私の意見を加えてあげるから」と言われました。そうすると説得力がある演技になるんですね。それからは「役をどのように作ったら良いか」ともっと考えるようになりました。その時の役が人形の役だったんです。人形に粉してオルゴールから出て来るという役で、最後は人間に戻るという可愛い演出でした。だから鏡の前で人形の動きを勉強しましたね。周りがフランス人ばっかりでしたので、前日ギリギリまで「自分の演技がどうなるかな」と思いながら…。

なるほど。



大阪出身なので舞台に立って色々するのが凄く好きなんですよ(笑)。(唐澤)
最後にバロックですか。もう極みですね!(葉加瀬)

「コンセルバトワール」にはどれぐらい通われたのですか?

6年ですね。パリ国立高等音楽院に6年間通っている時に“バロック音楽”に出会いまして。その後に私立「パリ音楽院」というコンセルヴァトワールがあるんですけど、そこのバロック科の声楽部に行きました。

なぜバロック音楽の道を選んだのですか?

バロックに出会ったのはたまたま、向こうの学校にいた時にバロック音楽の選択科目がありまして。その時に教えて貰ったのがウィリアム・クリスティという、古楽で有名な方だったんです。その方と勉強した時に「このような形の音楽があるんだ」って新しいイメージの物を発見したんです。日本でやってきた事と全く違ったインスピレーションで入れたんですよ。「歌」は「歌」なんですが違うんです。でもそれが自分の中にすんなり入ってきたので、また新しい事を始めたいなと思いました。

どのように違ったのですか? 僕なんかのイメージではオペラは非常に“愛や恋”“生と死”全ての表現が大きいじゃないですか。バロックってもう少し抑制されてますよね。

そうですね。バロック時代のオペラは「演劇」「言葉」「曲」の3つが凄く合体しているんですよ。私は「バスティアンとバスティアンヌ」から凄く演劇に目覚めまして。私は大阪出身なのでコメディーというか舞台に立って色々するのが凄く好きなんですよ(笑)。

大阪だったら子供の時から毎週見てますからね(笑)。

そうなんですよ。それもあって人の前で歌ったり舞台に立って演技をするのが凄く好きで、それからとりつかれた様に演技がやりたくなりましたね。その時にバロックの中にも“ロックダンス”というものがありまして、バロックの「演技」と「言葉」と「音楽」が絡み合った時代の物に惹かれました。題材はギリシャ神話が多いんですけどね。

なるほど。

イタリアオペラはメロディーが綺麗ですよね。でもバロックの場合はどちらかというとメロディーよりも歌詞を重視するタイプなんです。当時はフランス語を勉強していた頃なので、歌詞を読み上げながら少しづつ歌に訳していって出来上がりが楽しみでした。

本当に日本だと“クラシックの声楽=オペラ”って感じだけど、そうではないですよね?

そうですね。

どんどん色々な物に興味が出てきて最後にバロックですか。もう極みですね!

クラシックを作ったバロック時代というのに興味を持ちましたね。バロックをやる事によって新しいクラシックの歌い方といいますか、新しい見方が出てきましたので、本当にバロックをやっていて良かったなと思いました。

なるほどね。



10年も住んでいると近所づきあいもあるんでしょ?(葉加瀬)
シャビルの人は“シャビロワーズ”と言うんですよ。(唐沢)

フランスに住んで10年ですか?

そうです、早いですね。何度か帰ろうとしましたけどね(笑)。

「シャビル」という所に住んでいるんですか?

私はパリの中心ではなくて、パリからベルサイユの方に向かって行く道があるんですけども、その間にある所なんです。

例えばパリで有名なエトワールからだと、車でどれぐらいなんですか?

どちらかというとベルサイユ寄りなんですけど、エトワールから車で30分位ですね。

という事は住宅街ですか?

そうですね。静かな森に囲まれていて、少し丘になっているんですけど。冬はパリより少し寒いんですよ。2〜3度くらい。

もうどれぐらい住んでいるのですか?

「シャビル」に住み始めたのは5年前位ですね。

もう5年住んだら結構ご近所付き合いもあるんじゃないですか?

日本じゃないですけど皆さん親切ですね。歌を歌っていますとツアーで不在になる事が多いので、近所の人が家の点検をしてくれたり、庭に水を撒いてくれたりします。そういう近所の会話ってたわいもない事なんですが、それが一番リラックス出来ますね。少し田舎になると人も違うんですよ。“パリジェンヌ”に対してシャビルの人は“シャビロワーズ”と言うんですが

シャビロワーズですか。

シャビロワーズの人達は親切で少しおっとりしていますね。だからその様な環境が音楽にも適しているのではないかと思います。

僕から見たフランスのイメージというと、カフェに寄ったり、あるいは夜はレストランに行ったりという印象ですが、当然そういうこともしているんでしょ?

していますね。パリは本当においしいレストランが多いのでそれを発掘しています。

いいですね。「今、私のお勧めでここのお店が好きよ」って所はどこですか?

私は「アベニューモンテーヌ通り」が好きですね。

「アベニューモンテーヌ通り」ですか。

ここは本当にブランド街なんですが、夜もライティングが綺麗でウィンドウショッピングしているだけでも楽しいですね。その通りに「シャンゼリゼ劇場」がありまして、その劇場に行く前に歩いて見てみたり。その道というのはシャンゼリゼ通りからセーヌ川を渡る道なんですけど、そこに「プラザ・アテネ」というホテルがありまして、そのホテルの中に新しく新装されたバーがあります。あとこの季節でしたらプラザ・アテネの中庭がオープンカフェみたいになっているので、そこでのランチがお気に入りです。

絵に描いたようですね(笑)。

本当に気持ちまでゴージャスになれる様な素敵なレストランですね。 

10年住んでいるとワインもどうしても体の中に入ってくるでしょ?

そうですね。飲む機会も多いですし、ワインとシャンパンはよく飲む事がありますね。ワインでしたら地方にもよくありますが「ニコラ」というワインショップ。ここは本当にリーズナブルなお酒から良いお酒まで置いてあります。マドレーヌ広場に面している「ニコラ」はその上にレストランがありまして、下に置いてあるワインからセレクトして昼食を食べることが出来るんです。気軽に入れるお店ですね。

いいですね〜。



旅に出ると、出掛けなかった前の自分と違った自分に出会える。(唐沢)

去年、初めてのアルバムですか?

はい。デビューアルバムです。

『Antoinette』というタイトルで、副題に「パリからの絵葉書」と付いているんですけども。「マリー・アントワネット」が作った曲が入っているそうですが、「マリー・アントワネット」って、あの「マリー・アントワネット」ですか?

そうです。“王妃の”です。

王妃の「マリー・アントワネット」って作曲しているんですか!? 僕、知らなかったなぁ。

それは本当に、フランスの方やフランスの音楽家の方にも知られていないぐらいです。1999年にベルサイユ宮殿で音楽祭というのがあったんですけど、そこでマリー・アントワネットが作曲していた事が取り上げられて、私はその頃「そうなんだ」位にしか思わなかったんです。住んでいる場所がベルサイユ宮殿近くだった事と、プーランクの『愛の小径』という歌があるんですけど、それを入れてらっしゃる歌詞の方がたまたまマリー・アントワネットの曲を歌っていて、「これは是非聞いてみたい」と思いまして。聞いてみた所凄く可愛いんですよ、オルゴールみたいで。私が知っていた「マリー・アントワネット」と違っていて“絢爛豪華”とか“ゴージャス”なイメージというよりは、素朴で優しくて温かいイメージがこの曲にはありました。それが「この楽譜を探して歌いたい」と思ったのがきっかけです。

もちろんマリー・アントワネットは音楽のレッスンを受けていたと思いますから、作曲する可能性はあるんですが、そのような物がパッって出て来るとね。“発見”した感じが凄くしますよね。資料的にも貴重ですよね。

それはバロックもやっていた頃なんです。書かれたものが当時は再演されなくて、それを今の時代に再演するメンバーもいるんですよ。だから私もそういう楽譜を探すという事は既に勉強していましたので「マリー・アントワネットの作品を探して歌いたい」と思って国立図書館に行きました。

なるほど。その曲を初めとして全22曲。フォーレもあるし、ラベルもあってサティもプーランクも。長いフランスの音楽の歴史がたくさん歌曲でつづられていますね。

そうですね。

今後は? また新たなアルバムを作らないといけないでしょうし、コンサートも行っていくんでしょうけど。パリと日本との生活が続きますね?

そうなんですよ。

今は半分半分ぐらいですか?

基本的にはフランスの方が長いですけね。本拠地はあくまでもフランスですし。仕事があれば日本に帰って来ます。

これから「こんな事したい」とかありますか?

10月には、アルバムを一緒に作ったアントワンヌ・パロックというピアニストとリサイダルツアーをするんです。是非オペラかなにかで、今度は自分の“演技”を見せたいなと思います。

なるほど。最後に、まゆこさんにとって旅とはなんですか?

フランスは地方色が強いんです。地方の街に行くと家の屋根が全部ブルーだったり、街ごとにの美味しい食べ物があったり。旅に出ると出掛けなかった前の自分とまた違った自分に出会えて、その中で新たな発見ができる。そこからまた新しい想像が出来るから、凄く私は旅が好きですね。


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CITY INFO

     

ON AIR LIST
SAISON D' AMOUR / CAROLE SERRAT
プーランク:愛の小径 / 唐澤まゆこ
PLAISIR D' AMOUR / 唐澤まゆこ
亡き王女のためのパヴァーヌ / KRYZLER AND KOMPANY
CAVA. VIENT / PIERRE BAROUH
C'EST MON AMI / 唐澤まゆこ

 

LINK
唐澤 まゆこ Universal Classics WebSite

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