ON AIR DATE
2023.04.23
BACKNUMBER
  • J-WAVE
    EVERY SUNDAY 20:00-20:54

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訓市が antenna* からセレクトした記事は・・・
神宮外苑再開発の陰で蠢く政治家たち<ノンフィクション作家・山岡淳一郎氏>

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TUDOR logo

『TRAVELLING WITHOUT MOVING』・・・
「動かない旅」をキーワードに旅の話と、
旅の記憶からあふれだす音楽をお届けします。
ナヴィゲーターは世界約50ヶ国を旅した野村訓市。

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#446 --- 今こそ自分の意思を再確認 ---

前半はリスナーの皆さんから寄せられた
“お便り”をご紹介。
曲のリクエストや選曲のオーダーにもお応えします。

後半のテーマは「神宮外苑再開発」。
惜しまれつつこの世を去った坂本龍一さんが
生前に残したメッセージの一つが
「神宮外苑」の森林伐採について思うこと。

訓市の心の拠り所となっていた
絵画館前の銀杏並木や遊歩道にまつわる思い出・・・
東京の真ん中に位置するオアシス的存在の場所を
守るのか? 変化させるのか?

今、訓市が皆さんに熱いメッセージを届ける。


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「旅」と「音楽」に関するエピソードや思い出の
“お便り”をお待ちしています。
「旅先で聴きたい曲」のリクエストも大歓迎!
手紙、ハガキ、メールで番組宛てにお願いします。
番組サイトの「Message」から送信してください。

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宛先は・・・
〒106-6188
株式会社 J-WAVE
TUDOR TRAVELLING WITHOUT MOVING 宛

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2023.04.23

MUSIC STREAM

旅の記憶からあふれだす音楽。
動かなくても旅はできる。
ミュージック・ストリームに
身をゆだねてください。
1

Sometimes It Snows In April / Bart Peeters

2

Warm And Beautiful / Paul McCartney & Wings

3

Ballet Mecanique / 坂本龍一

4

Dancing In The Sky / 坂本龍一

5

Traveling / 大橋トリオ

6

Sunset Lover / Petit Biscuit

7

Champagne Problems / Taylor Swift

8

Ditto / New Jeans

9

Ride Ride Ride / 坂本龍一

2023.04.23

ON AIR NOTES

野村訓市は、どこで誰に会い、
どんな会話を交わしたのか。
何を見たのか、何を聞いたのか。
その音の向こうに何があったのか。


KUNICHI was talking

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最近やっと、色んな人の話にもちょこちょこ話に出るようになってきた神宮外苑の再開発問題。イマイチ全貌をよく分かっていないっていう人も多いと思うんですが、僕の故郷である東京っていうのは色んなところに小さな公園があったり、街路樹が生えていたりはするものの、果たして全体で緑が多い街なのかどうかは、あまり考えたことはなかったんですが、最近ある記事を読むと世界の大都市としては少ないほうだと書いてありました。これだけ人口が多く、密集して建物が建っているので仕方ないことなのかもしれませんが、そういう環境だからなのか僕は都会の中で緑が茂る大きな公園が大好きです。貧乏旅行で世界をほっつき歩いている時は公園に随分とお世話になりました。ロンドンに住んでいる時はハイドパークやリージェントパークが夏の間は自分のリビングルームのようによく行きましたし、ニューヨークではセントラルパークに行くために、泊まらせてもらっているダウンタウンから電車賃をケチってよく歩いたものです。1時間半とか2時間ぐらい下手したらかかったっけなぁ〜って感じだったんですけども。大都市の公園っていうのはただ遊歩道があったり芝生が広がるっていうだけで、皆そこでベンチに座って本を読んだり、ウォーキングしたり、寝転んでみたり、ピクニックしたり・・・何もないという贅沢をそこで噛み締めるわけです。それがどんなに素晴らしいことか。スケボーの練習をしたり、犬とフリスビーを投げ合う人がいたり・・・そういう自由な使い方が出来るっていうのは余計なものが無いからです。なので僕の東京の一番のお気に入りの公園は代々木公園で、ただ池があって芝生があって、木が生えているだけ。そこが最高なわけです。ある一定の人たちの為にあるのではなく、訪れる人たち誰もが自由にそこでの過ごし方を決められる公園。何より素晴らしいのは視界を遮るものがないのと、上を見上げれば空ばかりあるところです。空がひらけているって本当に素晴らしいことだと思います。昔、友達が近所にたくさん住んでいたので自分が一番好きな公園は駒沢公園でした。まだ僕が学生の頃のことです。スケボーをしたり、意味もなく夜集まってみたり・・・住宅街の中に突然現れるオアシス。けれど、すぐ隣に巨大なマンションが建ってから僕の足は遠のきました。何かものすごく圧迫感を感じるんですよね、あの横の辺りをテクテク歩いていても。何も周りに無い方が遥かに開放感があったのに。小さいけれど渋谷の西郷山公園も好きです。岡の上から中目黒の方を眺めると視界を遮るものがなくて、ちょっとベンチに座っているだけでも随分と心が安らぎます。


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先ほどまで公園の話をしていましたが、僕が東京で一番好きな緑の多い場所っていうのは神宮外苑です。絵画館の前にある銀杏並木が有名ですが、そこだけじゃなくて国立競技場や秩父宮ラグビー場、神宮球場のまわりを円を描くようにして伸びる道しかない外苑はものすごく緑が多いです。ある種、あの一帯全体が公園のような遊歩道のような雰囲気を醸し出しています。コロナが最初に猛威を振るった2020年の今頃、ちょうど4月とか5月っていうのは行く場所もなくって、僕にとって一番の息抜きの場所は外苑でした。夜、自転車に乗って外苑まで行って、その周りを1人ぐるぐると回ってみたり、友達と会いたいなっていう時は夜中に外苑で待ち合わせて、ものすごい距離を開けてビールを飲んで仕事はどうだとか。誰かコロナにかかった奴がいるかなんていう話をしました。本当に都心のオアシスなんだってその時強く思いましたし、あの開けた土地、そして太い木が有ったり、あそこの光景に本当に救われました。そんな外苑に再開発の波が来ているわけです。まぁ要は地主は明治神宮さんで、そこに事業者っていうのがどういうプロセスでコンペに勝ったのか分かりませんけども、再開発をしようとしているわけです。商業ビルを3つ建てる、もしくはラグビー場を建て替える為に場所を移動して木を切る。「木をたくさん切りますが、新たに植樹もします」というのが彼らの意味不明な返答です。樹齢100年近い木を切って、新しいものを植える。それを何千万いる花粉症の人たちが切望する杉林でやってくれるのなら喜びますが、外苑でやってどうするのでしょうか? 外苑は建築に高さ制限がかかっていて、15メーター以上のものは建てられないっていうことになっていたんですが、オリンピックの競技場を建築の時に高さ制限が大幅に緩和したんですね。そうしたら突然高層のマンションが建ったりホテルが建ったりして、おかしいなあと思っていたら、要は開発をする為にこういう緩和があったのかなーと。あそこの場所にまた商業ビルって必要なんでしょうか? 数少ない都心の贅沢な空の見える緑多い場所、外苑。ここの場所っていうのは戦争の時に学徒出陣の儀式が行われた場所でもあります。学生たちが国を守る為にと出陣する儀式が行われて、それを見守ったのが外苑の木たちです。ユネスコの啓蒙機関である「イコモス」が樹木伐採の回避を都に進言していますが、のらりくらり。緑の服が勝負服と威勢の良い時だけテレビにそれを着て出てくる都知事が緑を黙って切るなんて、どんな茶番なんでしょうか。先月、坂本龍一さんが亡くなりましたが、最後に坂本さんが提言したのが神宮外苑再開発への意見でした。これをですね、遺言といって良いのか分かりませんけども、きっかけとして神宮のことをもっと知って話し合うべきなんじゃないかと思います。坂本さんっていうのはある種、活動家のような形でいろんな提言をしていました。その全てに賛同する必要もないですし、もちろん反対意見も自由に返すべきだと思います。僕も全部賛同したことはないですし。例えば電気とかの話で全て否定する人がいますけども、一つの意見が違うからって全部の意見を聞く前に無視する必要もないと思うんですね。賛成反対、その意見をどんどん国と事業者たちに出していかなければならないんじゃないんでしょうか。僕はそのままにしておくのが一番だと思うんですけども、足さなくて良いことっていうのがたくさんありますから。でももし建て直しとか、そういうので動かさなきゃきいけないんであれば最低、大木とかが残るようなプランと高さ制限っていうのは元に戻すべきなんじゃないのかなって思います。