ON AIR DATE
2023.01.22
BACKNUMBER
  • J-WAVE
    EVERY SUNDAY 20:00-20:54



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訓市が antenna* からセレクトした記事は・・・
タイ最高裁、『ザ・ビーチ』ロケ地の復旧命令 撮影で環境破壊

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『TRAVELLING WITHOUT MOVING』・・・
「動かない旅」をキーワードに旅の話と、
旅の記憶からあふれだす音楽をお届けします。
ナヴィゲーターは世界約50ヶ国を旅した野村訓市。

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--- #433 訓市が新年を迎えたところ ---

約20年ぶりに日本国内ではなく
海外で年末年始を過ごした訓市...

チャーター船に乗って満喫した
充実した瞬間について語る。

旅の途中、過去を振り返りながら考えた
人との接し方、付き合い方とは?

番組リスナーの皆さんから寄せられた
“お便り”とリクエスト曲もオンエアします。


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「旅」と「音楽」に関するエピソードや思い出の
“お便り”をお待ちしています。
「旅先で聴きたい曲」のリクエストも大歓迎!
手紙、ハガキ、メールで番組宛てにお願いします。
番組サイトの「Message」から送信してください。

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宛先は・・・
〒106-6188
株式会社 J-WAVE
TUDOR TRAVELLING WITHOUT MOVING 宛

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2023.01.22

MUSIC STREAM

旅の記憶からあふれだす音楽。
動かなくても旅はできる。
ミュージック・ストリームに
身をゆだねてください。
1

It's You / Max feat. Keshi

2

The Circus / Take That

3

Charnwood / Infinite Bisous

4

Along The Shore / Barrabas

5

夢の続き / 竹内まりや

6

I'm On Fire / Chromatics

7

This Is The Day (Full Band Version) / Mamas Gun

8

First Breath After Coma / Explosions In The Sky

9

Yeah Yeah Yeah / Blackpink

2023.01.22

ON AIR NOTES

野村訓市は、どこで誰に会い、
どんな会話を交わしたのか。
何を見たのか、何を聞いたのか。
その音の向こうに何があったのか。



KUNICHI was talking about THAI

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先日も少しお話したと思いますが、年末年始はタイに行っていました。海外で過ごす年末年始っていうのは20何年ぶりだったんですけども、その中でタイというのも最後にトランジットとかではなく、ちゃんと滞在したのが2017年の暮れ… ちょうどレコードバーを作るために予定地の古いビルを見に行ったのが最後ですから5年振りです。向こうの友達が船旅をすると言うのでそれに来ないかと誘われまして、まずプーケットまで飛んで、そこから彼のチャーターする船に乗って島を巡りながら彼の友人の結婚式と年越しパーティに行くのが年末でした。船というのがですね、部屋が4つあって全部がチーク材で化粧されて、まるでウェス・アンダーソンの映画とかにに出てくるような一瞬古い感じの船で、バスルームから丸窓があって、本当に絵みたいな感じで水平線が見えるわけですよ。その時点でものすごくテンションが上がってしまったんですが、そこからデッキに上がれば久しぶりに見える熱帯の海や空が常に広がって、タイのプーケットの海特有なんですけど奇妙な形をした岩が島になって、それが転々としているんですよ。珊瑚礁があれば船から海に飛び込んでシュノーケリングをしたり、小さなビーチを見つければ船に取り付けてある小さなゴム製のモーターボートに飛び乗ってそこでのんびりしながらタイ製のウイスキーもどきの酒を飲んだり… 本当はキンキンに冷えたシンハービールがあったのでグビグビいきたかったんですけども、そこは我慢しましてウイスキーを飲んでいました。そっちの方が1人で酔うんですけどね。昼間はそうやって色んなところに寄ったり、お腹が減ったと言うと碇を降ろしてくれて、ゆっくりご飯を食べたりしました。当然常に揺れています。実は出発前から皆、その船の大きさを見て船酔いを心配していて、大丈夫だろうって動いた瞬間に「う、気持ち悪い…」ってなってみんな薬を飲んでいましたけど、僕はもちろん飲まなかったんですけども。そこで乗船している人たちみんなに言ったのが、「そもそも赤ちゃんの時はいつも揺りかごで揺らされたり、親が抱っこしてくれて歌でも歌いながら揺らされて寝ていたのだから、ここは僕たちが乗っている船を巨人が揺らしてくれていると思った方が良い」って言った途端に、「確かに!」ってなって、それから4日間誰も船酔いにほぼならなかったっていうのが凄く面白かったですけどもね。やっぱり病は気からっていうのがあると思うので、船旅っていうと揺れが苦手だって言う人が多いと思いますが、ここは「おぉ、寝かされてる寝かされてる」と思って受け入れると案外酔わないんじゃないのかなと思いました。プーケットからクラビの方を目指して、大晦日はその友達の親友が挙げるという結婚式に立ち寄りました。ビーチでやる結婚式ということでドレスコードが70年代のクラブのような正装。僕はペラッペラのスーツにアロハ、ビーサンで行ったんですけども、全員ビーサンで。このビーサンの結婚式ってすごい良いなー、これも日本の夏のクールビズに取り入れてもらわなければと思ったんですけども、そのスーツを着てゴムのモーターボートで浜に乗り付けて行くっていうのが今までにない形でとても思い出深いものになりました。そこでアットホームな式があって、それからみんな浜に出て2022年最後のサンセットをビーチで眺めました。コロナが酷くなったり、いきなり国境が開いたり、なんだか出入りの激しい不思議な1年で、個人的にも仕事してて面白かったり嫌だなーと思うことも多々ありましたけども、その燃えるようなサンセットを見ていると、“終わり良ければ全て良し”と言うじゃないですか。まさにそんな気分になって、「2022年って素晴らしい年だったね」って話しながらそのサンセットを見送りました。


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そのクラビの結婚式ではサンセットの後に長いディナーがあって、その後はそのまま彼らの友人たちがDJとして音楽をかけて皆んなたらふく酒と美味しいご飯を食べながら裸足で踊って、年を越すぞという時は再びビーチに出ると隣のビーチハウスの前には人がたくさんいて、大量の煙を撒き散らす花火を眺めながら一緒にカウントダウンをしました。クラビは船に乗らずに行けるので僕らがバックパッカーの頃からとても人気だった場所です。ちなみにプーケットはもうすでにリゾート地として有名で、物価が島値段ということで一度も行けたことがなかったです。そんな場所にいて年越しをするっていうのに対してですね、人生って本当に不思議だなーとその時思いました。もちろん僕が船を借りたわけでもなくて、ちゃっかり便乗した旅な訳ですが、その船旅を誘ってくれた友人は俗にいう富裕層のタイ人なんですけども、こうやって友達を自分のプライベートの旅に誘うのは初めてだと教えてくれました。「凄くありがたいんだけど、なんで?」って言いましたら、「訓は知り合って10数年経ったけれど、僕は君に色んなことを頼んで叶えてくれたけど、君は僕に何1つ頼みごとをしない友だちで、そんな人が周りにいなかったからだ。」と言われて、なんだか僕はとても嬉しくなりました。昔、映画監督のウェス・アンダーソンと仕事をした時にも言われたんですけど、「10何年知ってて色々楽しいことをしたけど、普通だったらあれをしようとか、こういう仕事の話があるからやってくれないかって言ってくるのが当たり前なのに、お前はそういうことをしないよな」と。だから少し信用してもらえたのかなーと思ったんですけども、結局そういうことなのかもしれません。派手に色々やっているように見えるので、あいつ実は金があるんじゃないかって言われるんですが、残念ながら無いです。僕の財産といえば色んな所に色んな友達がいて、何かあったら誘ってくれたり面倒見てくれるということです。人付き合いをしていく時に本当に仲良くなる・信用するのには、自分もそうですけど相手にとっても凄く時間がかかることなんじゃないのかなと。もう今年50になりますけど、自分の年下が遊びに誘ってくれたり、「何か一緒にやろうよ」って声をかけてくれたりするのがあるのかなーと。まぁ生き方としてどういうのが正しいのかは分かりませんけども、あまりガツガツしないでのんびりやるのが良いんじゃないのかなと、この時も思いました。そんなことを考えながら結局しこたま飲んでしまいまして、あぁもう部屋に帰って寝るかっていう時に、またモーターボートに乗って戻らなきゃいけないっていうのが不思議でしたけどもね。危うくスーツのまま海に落ちるところでしたけども、なんとか戻ってぐっすりと眠って、朝はだるいなっていうんでそのまま海にまた飛び込む。本当に船旅って楽しいなと思いました。そのままピピ島にも向かいました。ピピというと映画『ザ・ビーチ』で有名になって、一時は観光客で溢れかえって、僕も最後に行った時はもう水も濁ってますし、救命胴衣を着た観光客が虫の産卵みたいに後ろから広がってく、とにかく凄い光景で、綺麗な無人のビーチっていうのからはほど遠くなっていたんですけども。国がしばらくの間立ち入り禁止にして、そこにさらにコロナもあったので、すっかり綺麗になっていました。ゴミもないですし、水の透明度も元に戻っていて。ピピってもう有名で観光地だから行きたくないなと思っていた皆さん、もし今年タイに行く予定があったら寄ってみるのも良いのかもしれません。とても癒される場所になっていました。バンコクについてはまた次回話したいと思います。