ON AIR DATE
2019.07.28
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  • J-WAVE
    EVERY SUNDAY 20:00-20:54

coming soon...

TUDOR logo

Theme is... Dr.John

『Travelling Without Moving』=「動かない旅」をキーワードに、
旅の話と、旅の記憶からあふれだす音楽をお届けします。
ナヴィゲーターは世界約50ヶ国を旅した野村訓市。


★★★★★★★★★★

--- あの日、あの時にドクター・ジョンの姿から感じた光景 ---

番組前半はリスナーの皆さんから手紙、ハガキ、メールで寄せられた
旅のエピソードとその旅身まつわる曲のリクエストをお届けします。
旅、恋愛、進路、人生についても質問にも訓市がストレートに答えます。

後半のテーマは「ドクター・ジョン」。
先日、惜しまれつつこの世を去った伝説的ミュージシャン、
ドクター・ジョンの生まれ故郷である「ニューオリンズ」を訪れた時の体験、
感じたことについて語ります。
10年以上前に東京でドクター・ジョンと共に過ごした貴重な時間、
彼の姿から感じた光景とは?

この番組のロゴが入ったシンプルなステッカーを作りました!
3枚セットにして抽選で500名の方にプレゼントします。
ご応募はキュレーションアプリ「antenna*」からお願いします。
antenna*のホームチャンネルに詳細を記載した記事があるので、
そちらからご応募ください。8月31日到着分まで有効です。


★★★★★★★★★★

番組では皆さんの「旅」と「音楽」に関する
エピソードや思い出のメッセージをお待ちしています。
「旅」に関する質問、「旅先で聴きたい曲」のリクエストでもOK!

手紙、ハガキ、メールで番組宛てにお願いします。
メールの方は番組サイトの「Message」から送信してください。

リクエスト曲がオンエアされた方には番組オリジナル図書カード、
1000円分をプレゼントします。
皆さんからのメッセージ&リクエスト・・・ お待ちしてます!


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宛先は・・・
〒106-6188
株式会社 J-WAVE
antenna* TRAVELLING WITHOUT MOVING 宛

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2019.07.28

MUSIC STREAM

旅の記憶からあふれだす音楽。
動かなくても旅はできる。
ミュージック・ストリームに
身をゆだねてください。
1

Books Written For Girls / Camera Obscura

2

Black Sunday / The Skataleits

3

You Are My Sunshine / Yana Perrault

4

Waiting On An Angel / Ben Harper

5

Summer Cancles / 杏里

6

Such A Night / Dr. John

7

Cold Wind In August / Van Morrison

8

Let It Loose / The Rolling Stones

9

West End Blues / Louis Armstrong

2019.07.28

ON AIR NOTES

野村訓市は、どこで誰に会い、
どんな会話を交わしたのか。
何を見たのか、何を聞いたのか。
その音の向こうに何があったのか。

Kunichi was talking …


★★★★★★★★★★

先日、ミュージシャンのドクター・ジョンが亡くなりました。多分このラジオを聴いてる方の中でもそんなに知ってる人はいないのかなと思うんですが、アメリカに比べて日本では知名度がそこまで高くない人ですが、ニューオーリンズ出身のセッション・ミュージシャンとしてキャリアをスタートし、ブルース、ジャズなどのいろいろな音楽をベースにニューオーリンズの古い音楽や文化を色濃く残した音楽を作り続けてきた人です。ニューオーリンズはとても不思議な街で、僕が初めて行ったのは10代の頃なんですけど、着いて思ったのがここがアメリカなのかどこなのか分からないという不思議な街でした。もともとフランス領であったこともあって、フレンチクォーターと呼ばれる旧市街はヨーロッパ的ですし、それが南部特有の暑さと湿気、そしてそこにある土着的なアメリカ感というものがありますし、料理もアフリカ系の人とフランス人が持ちこんだ料理がごっちゃ混ぜになってガンボという独特の料理もありますし、そういう土壌もあったんですかね。で、ジャズの聖地として様々な形のジャズを生み出した街でもあります。さらにヴュードゥー教っていうのを聞いたことある方もいると思うんですけすが、アフリカ起源のヴュードゥーという宗教。まぁとても変わっているんですけども、それが一番早くアメリカに入ってきた所で、そこがまた何かどこか怪しいというか雑多な雰囲気を作っています。僕がまだ18歳だったと思うんですけど、その街のあまりに自由な感じに衝撃を受けました。アメリカという国は元々は清教徒、ピューリタンが作った国なので本音と建前があるんですけど、建前上は実はとても保守的な国なのです。キリスト教の国ですし、飲酒やそういうことに関しても本当は日本より厳しく21歳まで飲めませんし、IDのチェックも厳しいですし、ニューヨークとかのまともなレストランに遅めの時間に子供を連れて行ったら児童虐待だとして訴えられたりするくらいです。僕はその頃に保守の中の保守、テキサスに住んでいましたから、すっかりそれに慣れていた頃でした。テキサスに行く前は高校生のくせにディスコに行ったりそんなことばかりしていましたが、テキサスは親がいない時に年上のお兄さんや親戚かなんかにお金を渡してビールの樽を頼んで買ってもらって、それでパーティだと大騒ぎする学生を見て「日本では自動販売機でビールが買えるんだから、樽ぐらいでそんなに喜んでるのはおかしいんじゃないか」と言ってびっくりされました。ところが、ニューオーリンズだけはもうルールが無いというかそれ以前の街でした。道で酒を飲んでいる人がそのまま「おお飲めよ」と渡してきたり、明け放れた窓からは泥まみれのレスリングをする女子がそのままタダで見られたり、明るいうちから春を売る巨大な女性があっけらかんとした感じで声をかけて「お兄ちゃんどう?」と。なんだかこう怪しいとか卑猥って思えないほどの明るさでした。


★★★★★★★★★★

僕が最初に行った時のニューオーリンズの印象っていうのはディズニーランドの中にニューオーリンズみたいな船とかミシシッピ川のテーマのところがありますが、本物の大人向けのディズニーランドだという印象でした。観光客向けのジャズバーもたくさんあるのですが・・・どこもかしこも窓が開けっ放しで、お金を払って中に入らなくても外から十分に聞こえます。アメリカの歌舞伎町であって浅草であって新宿2丁目であって、なんかそれがごったになったような感じで僕はすっかり気に入ってしまいました。古い街並みや陽気な人達っていうのを見るのは僕は何よりも好きなので、その当時のニューオーリンズっていうのはもう本当に理想の街だったわけですね。それでDr.ジョンの話に戻しますが、彼の音楽っていうのを僕はニューオーリンズに行った後に知ったんですが、まさにあの街の風景そのものの音楽でした。猥褻で陽気で怪しくて、そんなジョンの音楽ですけども、もう12〜13年前かな、アメリカのフォトグラファー、ブルース・ウェバーの写真展を青山でやった時にオープニング・パーティーをどうしようかという話になったんですね。予算も無いですし、でも何かブルースらしい素敵なことをしたいっていう時に、ブルースが「そういえばジョンが東京に同じ頃来るはずだから何か演奏するように頼んでみるよ。僕は彼と仲がいいんだ」と。そして、当日オープニングのパーティの前にサウンドチェックに来るというので僕は責任者としてそれに立ち会いました。帽子をかぶってサングラスに黒っぽいスーツ・・・そして、いろんな怪しいアクセサリーをジャラジャラとして銀の飾りの付いた杖をついてジョンは現れました。それは本や写真で見たことあるヴードゥーの魔術師と全く同じような格好で、着くと1人ゆっくりと仮設ステージに置かれたピアノまで歩いて行って、何やら片手に持っていた包みを広げてピアノの上に置きました。それがクリスタルでできたドクロなんですよ。そしてそこからピアノをかき鳴らしながら歌ともラップともつかない歌を歌い始めてサウンドチェックになったんです。それはそのヴードゥーの呪いのこととか春を売る女性のこととか、黒人の労働者の苦しみとかそういうのを即興で歌うんですよ。そのリハーサルを聴いていたのは僕を含めて数人だったと思います。僕はそのジョンのライブっていうのは観たことはなかったのでもうびっくりしましたし、本当にジョンが弾くピアノの後ろに自分が見たニューオーリンズの景色や思い出っていうのが浮かんで、街そのものを音にしたような音楽っていうのは本当にあるんだなぁ〜と、その時に多分初めて実感しました。今ではそんな音を奏でる人も、そういう歴史ある街もどんどん変わって無くなっていくと思います。いつかまたジョンのライブを観に行こう観に行こうと思ってるうちにジョン本人も亡くなってしまいました。皆さん、昔からやってる何処何処出身の、例えば南部を代表するギタリストとか、ロンドンを代表するとか何でもいいんですけども、その街の名前の冠がつくミュージシャンのライブがあったら、無理をしてでも是非見に行ってみてください。きっと、彼らがその街から出てきた意味っていうのを感じることが出来ると思います。