ON AIR DATE
2018.02.18
BACKNUMBER
  • J-WAVE
    EVERY SUNDAY 20:00-20:54



☆☆☆☆☆☆☆☆

訓市がantenna*からセレクトした記事は・・・

群馬の名湯、秘湯で過ごす冬の癒し旅。【草津温泉・法師温泉】



TUDOR logo

Theme is... Hot Spring



『Travelling Without Moving』=「動かない旅」をキーワードに、
旅の話と、旅の記憶からあふれだす音楽をお届けします。
ナヴィゲーターは世界約50ヶ国を旅した野村訓市。


★★★★★
番組前半はリスナーの皆さんから寄せられた旅のエピソードと、
その旅に紐づいた曲をオンエア!

後半のテーマは「温泉」。
この冬、立て続けに温泉を訪れた訓市...
雪道ドライブの先に待っていた混浴でのユニーク体験とは?
一人で電車を乗り継いで辿り着いた旅館で待っていた
20年以上の付き合いになる仲間たちとの楽しい時間について語ります。


★★★★★
番組では皆さんの「旅」と「音楽」に関する
エピソードや思い出のメッセージをお待ちしています。

手紙、ハガキ、メールで番組宛てにお願いします。
メールの方は番組サイトの「Message」から送信してください。

リクエスト曲がオンエアされた方には番組オリジナル図書カード、
1000円分をプレゼントします。
皆さんからのメッセージ&リクエスト


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宛先は・・・
〒106-6188
株式会社 J-WAVE
antenna* TRAVELLING WITHOUT MOVING 宛

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2018.02.18

MUSIC STREAM

旅の記憶からあふれだす音楽。
動かなくても旅はできる。
ミュージック・ストリームに
身をゆだねてください。
1

You Are The Sunshine Of My Life / Stevie Wonder

2

Kiss Of Life / Nujabes with Giovanca & Benny Sings

3

The End Of The World / Carpenters

4

You Are So Beautiful / Billy Preston

5

雪風 / SPITZ

6

If I Was A Folkstar / The Avalanches

7

My Kind Of Woman / Mac DeMarco

8

Jethro / Thundercat

9

Nightingales / Prefab Sprout

2018.02.18

ON AIR NOTES

野村訓市は、どこで誰に会い、
どんな会話を交わしたのか。
何を見たのか、何を聞いたのか。
その音の向こうに何があったのか。



Kunichi was talking …


★★★★★★★★

関節がきしみ、体のあらゆる節々が痛む冬。お若いのにはわからないと思いますが、今に見てろよ、と思う今日この頃でございます。
今年は特に冬が寒いし辛いですが、膝を壊したり、事故でムチウチになったときにお医者さんが言ってました。『今ちゃんと治さないと、40歳をむかえる前には必ず来ますよ。』『けっ、こっちは今を生きてんだ。そんな先のことなんてどうでもいいわ。』今はそのときの馬鹿げた行動への対価を払っているわけですが、こういうときこそ温泉です。先月、珍しく連続で温泉に行く機会がありました。1回目は知り合いが持つ山の家まで。ここは本当に舗装されてない1本道を上がっていくので、ジムニーがないといけません。四輪駆動の幅の狭いジープのような車です。除雪車が一応、毎日除雪してくれるらしいですが、本当にジムニーが1台通れるだけの幅で、両側は雪の壁。しかも思いっきり斜面なので、うまいことアクセルを踏まないと、滑って途中でスタックしたりします。なかなか緊張するドライブとなるのですが、これがめちゃくちゃ面白くて、雪の中を埋もれて走っているような、屋根付きのボブスレーに乗っているような、止まらないようスピードを出し過ぎないよう、そろりそろりと運転しながら、時折タイヤが滑るのを感じて走るのは、ちょっとしたレーサー気分です。そして、その周りの景色を眺めながら、冬の山はいいなぁと思うわけです。驚いたのは、ここの家主がこの冬の初めに大雪が降ったとき、ジムニーではない普通の車で来てしまったらしいのですが、もうスタッドレスタイヤに履き替えてあると勘違いしていたらしいのです。公道を走っているときは雪がなかったのでよかったらしいですが、山道に入ると、どうも滑る。運転していたのは彼氏で、『滑るからちょっと怖いなぁ。』と言ったところ、家主が、『それは気合がないからだ。気合を入れてアクセルを踏めば、登れるはずだ!』登ったらしいですが、後で地元の人にびっくりされたと言ってました。
そこでは秘湯めぐりに明け暮れました。一番好きなのは法師温泉という温泉なんですが、古い湯治場のような温泉で、風呂の底は石が積んであるところです。区分けされていておでんの入れ物みたいな感じなので、たくさん人が入っていると、まるで自分が卵とかちくわになったような気分なんですが、ここは混浴です。おもしろかったのは端っこに1組若いカップルが入っていて、普通は規則正しく並んで入るはずのお客さんが、そのカップルを中心に扇状に座っていました。どういう光景かというと、風の谷のナウシカで倒れていたナウシカの周りを王蟲が取り囲んでる感じ。見てしまうのはマナー違反だと思ういますが、みんな遠くを見ながら耳をそばだててまして、その女性がちょっと動くたんびにさざ波のように皆さん動くんです。それを気にもせず堂々と入るカップルに僕はなにかこう、頼もしいなと。僕はそのカップルの隣に座ってる人に釘付けで、カップルが出るときは体を回転しながら見てました。



★★★★★★★★

その秘湯巡りから帰って数日後に、今度は急に仕事仲間みんなで温泉旅行に行こうということになりました。大きなバンで8人で行くということでしたが、僕だけは仕事があったため一緒に出発できません。終わり次第、1人で車で行こうかと思っていましたが、調べてみると夜には氷点下で道も凍ると。そこで電車を調べてみると、最終の電車でギリギリ間に合いそうだということがわかりました。東京駅まで走って駅弁を買い、それを頬張りながら新幹線で高崎へ。そこから今度は3両編成のローカル線に乗って温泉を目指しました。ちょうど少し前の放送でスウェーデンで乗った電車の話をしたばかりだったところに同じような状況になったので、とても不思議でした。その電車には、受験生なのか参考書片手に勉強している学生さんや、急いで家に帰るであろうサラリーマンの人でそれなりに席は埋まっていたんですが、駅に着くたびどんどん人影が減っていきます。多分、道中も半分にたどり着く前にはほとんどの乗客がいなくなってしまいました。人のいない駅のホームはとても寂しい感じがしましたし、やがてそのうち電車に乗っているのは僕1人になりました。iPhoneから流れる音楽を聴きながら、僕はなんだかずいぶん遠くへ向かっているような気分になっていました。たかだか東京駅から2時間半ぐらいの移動だったんですけども、いろんなことを思い出しました。カタンコトンと電車の揺れに任せて、僕の記憶も揺れるといいますか、やがて目的の駅に着いたとき、もはた僕は景色さえ見ていなかったと思います。そして駅を降りると僕以外は誰1人いません。宿にいる友達が手配してくれていた車が1台。それに乗り込んでようやく宿に着きました。『よくこの時間に来たな、えらい!』そう褒めたたえる友達をよく見ると、後ろには空になった一升瓶が何本もあります。もうすっかりできあがってまして、ずれた浴衣からからビール腹とかすね毛が全開。色気も何もあったもんじゃありません。『今日3回目の風呂にみんなで入るぞ。』と、仲間と露天風呂に行きました。そこにいた友達はほぼ全員同い年で10代から知っていて、一緒に旅をしたり仕事をしてきた友達です。白髪だらけになったのもいれば、体型がボクシングで言うバンタム級からヘビー級になったやつもいまして原形をとどめてないんですけど。その変化を互いに笑いながら入る温泉というのは本当に楽しいものですし、まるで一泊だけの修学旅行。そして、その行きが1人旅だったっていうのもすごく良くて、こういう電車旅と、着いたら仲間がいてワイワイやる温泉旅。雪が残る間にまた行きたいなと思っています。