ON AIR DATE
2017.11.19
BACKNUMBER
  • J-WAVE
    EVERY SUNDAY 20:00-20:54

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訓市がantenna*からセレクトした記事は・・・

村上春樹作品における音楽の役割ーー『騎士団長殺し』の音響設計を読む

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Theme is... HARUKI MURAKAMI

『Travelling Without Moving』=「動かない旅」をキーワードに、
旅の話と、旅の記憶からあふれだす音楽をお届けします。
ナヴィゲーターは世界約50ヶ国を旅した野村訓市。


★★★★★
番組前半はリスナーの皆さんから手紙、ハガキ、メールで寄せられた
旅にまつわる体験談、エピソード、メッセージと
リクエスト曲をオンエア!

後半のテーマは「村上春樹」。
先日、念願かなって訪れた春樹邸で訓市が伺った話、
そして、そこで目にしたモノとは?
村上作品に登場する楽曲もお届けします。


★★★★★
番組では皆さんの「旅」と「音楽」に関する
エピソードや思い出のメッセージをお待ちしています。

リクエスト曲をオンエアさせていただいた方には
番組オリジナルの図書カード1,000円分をプレゼントします!

番組サイトの「Message」から送信してください。
手書きのハガキ、手紙も大歓迎!
日曜日の夜に聴きたい「ゆったりした曲」
「旅で聴いた思い出の曲」「動かない旅ができる曲」などなど、
リクエストもお願いします!

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宛先は・・・
〒106-6188
株式会社 J-WAVE
antenna* TRAVELLING WITHOUT MOVING 宛

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2017.11.19

MUSIC STREAM

旅の記憶からあふれだす音楽。
動かなくても旅はできる。
ミュージック・ストリームに
身をゆだねてください。
1

Lovely Day / Bill WIthers

2

Hey There Delilah / Plain White T's

3

Hijo De La Luna / Mecano

4

Summer Rain (Acoustic Mix) / Whitesnake

5

現在位置 / スネオヘアー

6

Wreck On The Highway / Bruce Springsteen

7

How To Disappeare Completely / Radiohead

8

Caroline, No / Beach Boys

9

I Can't Get Started / Billie Holiday

2017.11.19

ON AIR NOTES

野村訓市は、どこで誰に会い、
どんな会話を交わしたのか。
何を見たのか、何を聞いたのか。
その音の向こうに何があったのか。

Kunichi was talking …


★★★★★★★★

僕は去年から今年にかけて、『Casa BRUTUS』という雑誌で「音のいい部屋」という小さい特集をいくつか作ってきました。自宅にレコードプレーヤーを持ち、しょっちゅう家で音楽を聴く人たちの部屋を撮影し、話を聞くというのがそのテーマです。昨今、ライフスタイルというのがブームになってもうずいぶん経つと思います。家を素敵にして、その家の雰囲気と服装が、異常なまでに一致する方々のことを指すと僕は認識しているんですが、逆に生活感がないことがよくあります。全てが『自然』にというキーワードのもとに、完全に納められていて、逆に怪しいというか、生活感がないというか。その点、レコード好きというのは、家でちゃんと時間を過ごさなければレコードを聴けませんし、椅子も有名デザイナーの椅子を愛用してるなんて言ったところで、座り心地が悪いと音楽も聴けないので、たいてい無名のものだったり、10年以上前に買って今でも愛用している椅子だったりします。それこそが本当に、音がいい部屋であり、居心地のいい部屋なんじゃないのかと思います。ずいぶんたくさんの人を日本でも海外でも取材しました。やっぱりだいたいが、いつ買ったかわからないけど気に入っているという古いソファーや椅子を持っていて、大好きなレコードを朝コーヒーと共に聴いたり、日曜の朝に二日酔いで聴いたり、夜一杯やりながら聴いたりしているという話を聞きました。レコードの素晴らしさというのは、ながら聴きを許してくれないということだと思います。大抵がPC を立ち上げたり、車の中でiPod とかをつないでシャッフルだのなんだのでかけっぱなしにしたりすることが多いと思いますが、レコードの場合は、まず聞きたいもの選んで、そこからレコードを取り出し、ターンテーブルにセットして針を落とさなければなりません。そして、30分もすれば片面が終わってしまうのでひっくり返さなければならず、割と忙しいです。ただそれが、音楽を聴く行為として何か独立しているというか、音楽と向き合うと感じがして素晴らしいんじゃないのかなと思うのです。まるで茶道でお茶をたてるような感じですよね。そして、アルバムの中に好きな曲が1曲しかないとしても、その曲が来るまでじっと待つ。すると、あんまり好きではなかった曲がある日突然、素晴らしく聞こえたりする発見もあります。
毎日を忙しく働いて過ごし、頭のオンオフがなかなかできないとき、レコードを聴くというのはとても役に立ちます。僕はよく夜中まで仕事して家に帰ると、疲れていても頭のスイッチが切れずまだスピンしてるみたいな、ハードディスクが音立ててるような気がして、疲れているのに目を閉じても頭が起きちゃってるんです。そんなときにレコードをかけると、片面30分でだんだん頭がクールダウンしてくるというか、とても助けになります。また、朝一人起きたときにコーヒーを飲みながらレコードを聴いたりしても、今日もまた頑張ろうかな、というような、その日一日のトーンが決まったりします。


★★★★★★★★

一年以上かけて作っていた『音のいい部屋』という特集ですが、それを最初に企画した時、ぜひ取材したいと思った人がいました。それが作家の村上春樹さんです。村上さんの小説は日本だけでなく本当に世界中で読まれていて、よくいろんなところで酒なんぞ飲んでいますと、その著作の話になります。アニメとかそういうことで日本のものを聞かれることはあるんですが、作家で話になるというのは本当に村上さんぐらい。もちろんたまにマニアックな方で、『陰影礼賛が好きだ。』とか、『三島を愛してる。』なんていう人もいますが、それは少数派です。そんなわけで、世界に行くときに一人でもそういう人がいるというのは本当に日本人として嬉しいものです。
村上さんは作家になる前、学生結婚をして就職しないでジャズ喫茶、ピーター・キャットというのをやっていたのは有名な話です。作品には音楽がよく登場しますし、たまに村上さんの小説というのは不条理な展開だったり、結末がはっきりしなくてよくわからない、という人もいるんですけれども、僕はそれもまた音楽のようなもので、説明できなくても自分が腑に落ちればいいのかなと思っています。そんなこともありまして、ジャズマニアであり、最近はよくクラシックの記述もありますが、レコードマニア。そんな村上さんがどういう聴き方をしてるのかものすごく知りたかったわけです。取材自体を受けることが少ないと聞いていたので、無理だと思っていたのですが、先日、発売したムックで取材をしたいと言いましたら、なんと受けてもらえました。自宅に伺ってその書斎を見せていただいたんですけども、どんな部屋でどんなふうにレコードを聴いているのか知りたい方は、ぜひCasa BRUTUSを見てみてください。朝から寝るまで一日中ほぼ音楽を、レコードを聴いているというヘビーリスナーっぷりが納得でしたし、面白かったのは、紙面ではスペースがなくて紹介できなかったんですが、レコード堀まくりの人生ですね。思わず何度も笑ってしまいました。世界中、仕事でよく出かけるらしいんですが、必ず予備日をもってレコードを掘りまくっているんです。そして、買うものがないときも絶対手ぶらじゃ帰らない、レコード店での時間のつぶし方とかが目から鱗というか、帰る頃には、世界的作家というよりは、ただのレコードハンターなんじゃないかと突っ込んでしまいましたが、ご自身もハンターになれると言っていました。それをやっちゃうと本が書けなくなるのでやめてください、という話でしたが、本当に全てを聞き込んでいて、どんな曲かも覚えていて説明できますし、すごいなと思いました。音楽というのはとてもユニバーサルで国境とかあんまり関係ないものだと思います。『自分の文章の先生は、聴き込んだ音楽だった。』と村上さんは話していましたが、音楽が作品の先生だからこそ、世界中に読者を持つことができる人なのかなと帰りがけに思いました。世界を目指す人、それが文学でも彫刻でもアートでも何でもいいんですけど、音楽を村上さんぐらい聴き込んでみるっていうのも、一つ何かのきっかけになるのではとそう思いました。僕は聴きまくってるんですけどね、だめそうです。