ON AIR DATE
2017.10.15
BACKNUMBER
  • J-WAVE
    EVERY SUNDAY 20:00-20:54

☆☆☆☆☆☆☆☆

Let's travel! Grab your music!

TUDOR logo

Theme is... APPLE



『Travelling Without Moving』=「動かない旅」をキーワードに、
旅の話と、旅の記憶からあふれだす音楽をお届けします。
ナヴィゲーターは世界約50ヶ国を旅した野村訓市。



★★★★★
番組前半は番組リスナーの皆さんから手紙、ハガキ、メールで寄せられた
旅にまつわるエピソードとリクエスト曲をオンエア!

後半のテーマは「アップル」。
カリフォルニアにあるアップル本社での新作発表会に参加した訓市...
かつて、手が届かない高嶺の花だった存在の会社と
仕事をするに至るまでのストーリーについて語ります。


★★★★★
番組では皆さんの「旅」と「音楽」に関する
エピソードや思い出のメッセージをお待ちしています。

リクエスト曲をオンエアさせていただいた方には
番組オリジナルの図書カード1,000円分をプレゼントします!

番組サイトの「Message」から送信してください。
手書きのハガキ、手紙も大歓迎!
日曜日の夜に聴きたい「ゆったりした曲」
「旅で聴いた思い出の曲」「動かない旅ができる曲」などなど、
リクエストもお願いします!

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宛先は・・・
〒106-6188
株式会社 J-WAVE
antenna* TRAVELLING WITHOUT MOVING 宛

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2017.10.15

MUSIC STREAM

旅の記憶からあふれだす音楽。
動かなくても旅はできる。
ミュージック・ストリームに
身をゆだねてください。
1

Brain Damage / Pink Floyd

2

Stand By Me / Oasis

3

Half The World Away / Aurora

4

I Will Always Love You / Whitney Houston

5

やわらかい月 / 山崎まさよし

6

Inside Your Head / Eberg

7

1, 2, 3, 4 / Feist

8

Forever Young / The Band

9

Teardrop / Massive Attack

2017.10.15

ON AIR NOTES

野村訓市は、どこで誰に会い、
どんな会話を交わしたのか。
何を見たのか、何を聞いたのか。
その音の向こうに何があったのか。



Kunichi was talking …


★★★★★★★★

Apple、旅と関係あるのかって思う方もいらっしゃるかと思います。僕はしょっちゅう海外に行くんですが、遊びの旅っていうのは基本的にはなくて、自主的に夜遊んでるだけでいつも仕事の出張ばかりです。先日、サンフランシスコに2泊の弾丸で行ってきたんですが、それはApple のプレゼンテーションに出席するため。そんなとこまで行くというと、さぞかしMac やiPhone などに詳しいのかと思われるでしょうが、ほとんど何もできない使いっぷりだと思います。僕がこのプレゼンテーションに行くのはこれで3回目でした。本当はスティーブ・ジョブズ、創業者であり、カリスマ経営者と言われていた彼がいたときに行ってみたかったです。ジョブズという人は今では経営の神様として、そして自分の確固たるビジョンを形にして世の中を変えた伝説の人になってしまったというか、生きてるときからもうすでに神格化されていました。僕はジョブズという人にもちろん興味を持っていましたが、普通の人よりかはもう少し早く興味を持っていました。というのも、僕がアップルという会社に初めて出会ったのが小学生のときだからです。当時はマイコンブームというのがありまして、原始的なPC でゲームをしたり、それこそプログラムで簡単なゲームを作るっていうのがものすごく流行っていて、まわりにそういう人たちがいたんです。僕自身はゲームが苦手で、ファミコンまではやりましたけど、スーパーファミコンになってボタンが増えたときに脱落した、かなりゲームには向かない男です。ですがそんな中、ある友達のお兄ちゃんが見たこともないコンピューターを持っていたんです。それが当時100万ぐらいしたコンピューターで、僕はそれを物としてものすごく惹かれてしまいました。クリームみたいなボディに、当時はマークが虹色のリンゴマーク。こういう機械をつくる会社の名前がApple で、虹色のリンゴマークというのが信じられなくて、アメリカってなんてすごい国なんだ、と。それからは意味もわからず学校のノートにリンゴのマークを書いては、虹色に塗ったりしていました。そのうち友達のコンピューター雑誌を読んでいるうちに、実はこの会社は、2人のスティーブという若い男がガレージで起こして急成長した会社で、大手に喧嘩売っていくようなやり方で有名になったっていうのを知りました。なんてパンクバンドみたいな会社なんだ。なんとなく大きいものにはすぐアンチになる気質がありましたので、使ったこともないのにあっという間にファンになりました。いつかは買いたいなと思いつつ、とんでもない値段を見て、僕には絶対無理だろうと。ただ、デザインがいいなぁと、その形だけでひたすら追いかけていました。やがて僕がバックパッカーになりアジアをふらついたとき、コンピューターを使えるヒッピーとか、もっとクリエイティブなことをしている人たちにたくさん会ったんですが、彼らがAppleをとても褒めてました。ジョブズが若い頃、インドに滞在したり、ヒッピー崩れの生活を送っていたっていうことを、バックパッカーの皆さんは知っていて、彼が作るものっていうのがビジネスの向けじゃなくて、クリエイティブ向けだったり、そういう全てがバックパッカー界において強烈なシンパを生んでいました。



★★★★★★★★

僕が物書きのような仕事をするようになったのは26、7の頃なんですが、その頃からいつかMac を買うのが夢でした。最初にインタビュー雑誌を作ったときも、その時は家すらないので友達の家に居候して、友達の持ってたiMac を無理やり借りてそれで原稿書いて本を作っていました。ハードディスクの容量が4MBですからね。今考えるとありえないんですけど、いつかは自分のMac が欲しいな欲しいなと思い続け、最初に買ったのは28歳ぐらいだったでしょうか。黒いパワーブックが欲しくて、新型が出てるのに新宿のソフマップで中古を買って、後でものすごく後悔しましたが、今でも捨てられずに持ってます。そんなApple といつしか縁を持ち、一緒に仕事するようになりました。一番最初に働いたのはもう10何年前ですけど、僕がまだ海の家をやってるときに、初台にある会社に呼ばれました。ビーサンに海パン、ヨレヨレのランニングで行きまして、初めて会った広報の方に『Think Differentですね』って言われたのを褒められたと思って、海に帰って『Think Differentって言われたよ』って言ったら、『それ、本当に褒められてないから。苦肉の策だよ。』と言われたのが、思い出すと、今こうして本社とかに呼ばれるのが夢のようです。今、Apple の本社があるクパチーノというところもかつてはヒッピーのたまり場で、Grateful Dead たちが若いころ住んでいたところです。そしてホテルのあるパロアルト。そのホテルのバルコニーに夕方一人で立って、景色を見ながらビールなんか飲んでると、生きてると不思議なことがあるもんだなと、思わずにはいられません。そして、今回の新作発表はスティーブ・ジョブズ・シアターという、ジョブズの名前を冠した建設中の新しい社屋の横に建てられた場所で行われました。その新しい社屋というのはニュースで見たことがあるかと思いますが、完全なドーナツ形をした、巨大な宇宙船のような建物です。それを今回、遠目にですが初めて見たんですけど、ガレージから会社を起こして、一度は自分が作った会社を追い出され、そこに戻ってわずか十数年。亡くなるまでに会社を立て直すどころか産業も変えてしまって、そしてこんな巨大な会社の社屋まで作ってしまって亡くなったジョブス。アメリカはしょっちゅう訪れますし、最近はいろんな問題だらけの国だと思うことも多々ありますが、やっぱり来るたびに、例えば、今回のAppleの会社みたいなものを目にするたびに、アメリカって国はやっぱり大きいなっていうか、面白い人を産み出すんだなと改めて感じずにはいられませんでした。そもそもこのシリコンバレーという場所自体、すごく不思議な場所ですよね。元々、果樹園とか何もないカリフォルニアの片田舎に、世界中から頭脳と呼ばれる若い技術者や大金持ちのファンドを集めて、こんな場所から世界を動かしているんですから。
サンフランシスコに行く人は多いと思います。でも、シリコンバレーとか、1時間車を走らしたらあるワイナリーのある場所とかその周辺を訪れることがある人はあまりいないと思うので、ぜひ機会があったら訪れてみてください。また違ったアメリカっていう国の姿、そしてカリフォルニアっていうものを感じられるんじゃないのかなと思います。