映画「チック、チック...ブーン!」 

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ミュージカル好きのあなたはもちろん、そうでない方も耳にしたことがあるかもしれない、ブロードウェイの作品『レント(RENT)』。1996年にオフブロードウェイで開幕し、同じ年には舞台をブロードウェイに移して大成功。トニー賞のミュージカル部門で最優秀作品賞、最優秀脚本賞、最優秀オリジナル作曲賞、最優秀助演男優などを受賞したこの作品で作曲・作詞・脚本を担当したジョナサン・ラーソンが『レント』の前に発表した作品が今回、ご紹介する『チック、チック...ブーン!』です。

こちらはジョナサン自身の物語をミュージカルにした、半自伝的な作品。主人公のジョナサンを演じているのは映画『ハクソー・リッジ』でアカデミー賞にノミネートされたアンドリュー・ガーフィールドです。

ストーリーをご紹介しましょう。

主人公はもちろん、ジョナサン・ラーソンです。ですが、この時はまだ、誰も彼のことを知りません。ウェイターをしながら日々、曲を書く、イチ青年です。しかし、ミュージカルにかける想いは人一倍。いい作品を作りたい。憧れのあの人みたいに早く売れたい。でも、うまくいきません。ジョナサンは29歳で、もうすぐ30歳を迎えてしまうことに焦りを感じています。そんな中、ジョナサンは革新的なミュージカルを作ります。どうしてもこの作品を、いろんな人に見てもらいたい。ちゃんと評価されたい。そんな思いから、ワークショップを開いて自分で書いた曲を発表しようとします。そこにはブロードウェイのすごい人も来る予定です。

ジョナサンは気合を入れて曲を書きますが、肝心のキーになる曲が、どれだけ時間をかけても書き切ることができません。『この作品に8年も費やした。なのに、肝心の曲が書けない。30歳も目の前に迫ってる。時間だけが過ぎる、、、チック、チック、、、。』

ジョナサンはその焦りから友達や恋人にも八つ当たりをしてしまいます。大切な人たちとぶつかり、それでもミュージカルと、曲作りと向き合い、その先にジョナサンが掴むものとは一体、なんなのか。

そんな映画、『チック、チック...ブーン!』。

監督は、(初の長編映画のメガホンを執った)稀代のクリエイター、リン・マニュエル・ミランダ。Hip Hop Musicalの「ハミルトン」、今年公開のミュージカル映画、「インザ・ハイツ」の制作・出演。また、「モアナの伝説」では音楽を手がける、エンタメ界の天才の一人。クリエイターの悩みの演出、お手の物!しかし、意外にも主演、アンドリュー・カーフィールドが実際に歌えるかどうか知らずにブッキング。実はキャリアは舞台から始まったアンドリューがトニー賞主演男優賞を獲った「Angles in America」の演技に惚れ込んでのこと。

1年かけてミュージカルクオリティーのヴォーカルワークをモノにした俳優と監督のケミストリー。実話に基づく、舞台愛爆発する最高の作品が出来上がりました。

映画『チック、チック...ブーン!』は、Netflixで見られますが、現在、劇場でも公開中です。お出かけの際は、感染防止対策、お願いします。