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映画『コレクティブ 国家の嘘』今年度のアカデミー賞で『国際長編映画賞』 と 『長編ドキュメンタリー賞』 にノミネートされた作品。東ヨーロッパの国、ルーマニアに激震が走った、実際に起こった医療汚職事件を追ったドキュメンタリーです。

こんなことが自分の身の回りで起きていたら...そう考えると本当に震え上がるような出来事なんですが、一体、何が起こったのでしょうか?

時は2015年10月。ルーマニアの首都・ブカレストにあるクラブ『コレクティブ』でライブが行われている最中に火災が発生。訪れていた若者、27名が亡くなり、負傷者は180名。悲惨すぎるこの出来事にルーマニアの国中が注目していました。ここまでの火災事故になってしまった理由がクラブ『コレクティブ』には非常口がなく、逃げ遅れた人が多かったのです。そういった建物を放置していた、ということで市民の怒りが収まらない中、事故が起きてから数ヶ月後、、、その火事で一命を取り留めた負傷者37名が入院先の病院で次々と亡くなりました。

『いったい、なぜ、、、?』

火事から助かったのになぜ、入院先の病院で亡くなってしまうのか。遺族はもちろん、様々なメディアが政府当局に『現場の医療体制はどうなっているのか』、と確認しますが、政府は一貫して、『対応に一切の不備はなく、ドイツと同じレベルの医療を救出された人たち全員が受けている』

と、説明。でも、なぜ、火災発生から2ヶ月後に亡くなってしまうのか。最終的にこの火災にまつわる死者は64名にまで膨れ上がます。

どう考えてもおかしい。不審に思ったスポーツ紙「ガゼタ・スポルトゥリロル」の編集長、カタリン・トロンタンが事件を追い始めますが、ようやくたどり着いた内部告発者からの情報はあまりにも衝撃の事実で、全員が唖然。これは"事故"ではない。"事件"だ。

今回の事件の裏側には、製薬会社と、彼らとつながりを持った病院経営者、さらに、政府関係者との黒い繋がりがあったのです。

人の命を守るはずの医療が、一部の人の利益のために利用され、国民の命が危険に晒されている。記者たちは真実を明るみにしようと真相を追いかけます。しかし、知れば知るほど、目も耳も疑うようなことばかりが浮かびあがってきます。

そんな映画、『コレクティブ 国家の嘘』。

撮影に制約が多い通常のドキュメンタリーとは全く違う。市民/国民を守るのが最低の任務、しかしこれが全く違う。ブラックボックス化する行政の闇。どの先進国家でも起きている。日本の新政権も説明責任が問われる。こんなことが本当にあったなんて、にわかには信じられないような衝撃の出来事。この真実、しかと見届けてください。

映画『コレクティブ 国家の嘘』は、現在、公開中です。