今朝は、第93回アカデミー賞で、主演男優賞・脚色賞の2部門を受賞!現在、劇場で公開中のこの作品。

「ファーザー」 

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認知症の父と、娘。2人のやり取りを描き出した作品です。

父、アンソニーを演じ、アカデミー賞で主演男優賞を受賞したのは、 アンソニー・ホプキンス。そして、彼の娘・アンを演じたのは『女王陛下のお気に入り』でアカデミー賞主演女優賞を受賞したオリヴィア・コールマンです。

ストーリーをご紹介しましょう。

ロンドンの自宅で1人で暮らす81歳のアンソニー。彼の生活を心配して、娘・アンは通いで父の生活を手伝ってくれる人を探し続けていますが、来てくれる人をアンソニーは次々と拒否。

『私に手伝いなんて、必要ない!!!』

しかし、時に、父はこんなことを言います。『腕時計がないんだ。』 『え、また?』

アンが家に帰ってきて声をかけても、びっくりした表情で

『アンはどこだ??』 『ここにいるじゃない。』

『あぁ、そうか。』

さらにはアンに向かって『失礼ですが、どちらさまですか??』

アンソニーは認知症です。その症状は、とどまるところを知らず、日に日に記憶が薄れ、現実との境界が崩れていきます。何が本当かわからない父。受け止めきれず、戸惑う娘。2人がたどり着く、答えとは。

そんな映画 『ファーザー』

主演のアンソニー・ホプキンスからコメントが届きました。

私は自分の父を演じたんです。父は認知症ではありませんでしたが 最後の数週はその兆候が見えました。1979年に発作を起こし 少しずつ衰えていきました。それでも頭は冴えていて 口調もきつかった。死を恐れるあまり とても怒っていました。そういう姿を覚えています。目が合うだけで 身がこわばりました。父を思い出しながら演じたので、実に簡単でしたよ。自分の父を演じただけなので 簡単でした。父の様子にとてもよく似ていました。模範解答みたいですが本当です。

父アンソニーの目線、娘アンの目線で、 それぞれ、見える景色がまるで違うんですが、この映画、途中から不思議な感覚に囚われます。あれ?登場人物が入れ替わっている!?父アンソニーの視点を軸に展開します。

「そうか、認知能力、時空の感覚、の衰え、混乱って実際はこう見える、いや、逆に、現実が見えないのか!」と不気味なパラレルワールドに父/アンソニーと一緒に迷い込んでいきます。また、アンソニーのアパートが映画の舞台。その部屋のレイアウト、秀逸なデザインとカラーリングで独特の密室感が高まり、これまた眩暈がするほどの不安感を見る者に与えます。(アカデミー美術賞候補)

記憶が薄れていく父を寂しく思いつつその思いだけでもいられない。認知症の父と娘。2人の結末をぜひ、見届けてください。

第93回アカデミー賞で、主演男優賞・脚色賞の2部門を受賞!映画『ファーザー』、現在、公開中です。