「映画ビバリウム」
ただ、理想の家を探していただけなのに...この作品のタイトル "ビバリウム"、元々は『生き物の住む環境を再現した空間』を意味しているんですが、どんな作品なのかストーリーをご紹介しましょう。
マイホームを夢みて、家探しをしているカップル、トムとジェマ。不動産屋を訪れては 家を見て回っています。
ある日、初めて行った不動産屋でジェマが見ていた物件に対して一言、『素敵ですね。』とコメントすると不動産屋は嬉しそうに『すぐにご案内します』。
不動産屋さんに案内されたのは、ヨンダーと言われる住宅地。同じ見た目の家が無数に立ち並び、奇妙な印象を受けます。家ごとに番号が振ってあり、トムとジェマが案内されたのは『9番』の家。
2人は一通り家の中を見て回り、やっぱり断ろうと不動産屋さんを探しますが、不動産屋さんがどこにもいません。
2人は今のうち、と言わんばかりに車に乗り込みヨンダーを後にしようとします。しかし
『そっちの道じゃない。ほら、また9番に戻ってきた。運転代わって。』
『えっ。』『また、9番、、、』
『そんなバカな。』
そう、2人はこの奇妙は住宅地ヨンダーから抜け出せなくなってしまったのです。
どうすればいいのか、途方にくれる二人の元に段ボールが届きます。その中にはなんと、生まれたばかりの赤ちゃんが。箱には『育てれば解放される』と一言。トム・ジェマ・赤ちゃん、3人の生活がスタートします。そんな映画 『ビバリウム』。ロルカン・フィネガン監督からコメントが届きました!
人間はいわば強制的に社会契約を結ばされています。生きるべき規範を社会に定められ、それに従うことを求められるんです。住宅ブームが起きたアイルランドでは郊外にしか家が持てない。人間関係の希薄な土地に住まざるを得ないんです。近所に誰が住んでいるのかも知らず、パック詰めの加工食品を食べる。おぞましい生活です。奇妙なストーリーに現実味を持たせるため、偽物ですがリアルな世界を作り上げました。音も風もない世界。セリフにそう出てきますからね。天気も変わらない。
ただ、理想の家に住みたかっただけなのに、トムとジェマのカップル、そして赤ちゃんはどうなるのか。その結末、ぜひ見届けてください。映画『ビバリウム』は今日から公開です。