現在、政府では「こども庁」の創設が検討されています。「児童虐待や子供の貧困などをなくし、子供及び子育て世帯が安心して暮らせる社会を実現するために必要な機能を明らかにし、それに最もよく対応できる組織」を目指し、議論が続いています。そこで、今回は子どもの「アフタースクール事情」をテーマに、学童保育の話を中心に、海外の状況をチェックします。

●スウェーデン・ストックホルム在住 / 矢作 智恵子さん

Q1 まずは、スウェーデンの新型コロナの状況について教えてください。

A1 427日現在、一日に45人の死者、トータルで約1万4千人ほど。特に70歳以上の高齢者が多い。新規感染者数は一日約5200人、全体で約95万人が感染している。ワクチンは一回のみの接種した人は、大人の人口の約28%(約230万人、スウェーデンの人口は約1千万人) 2回の接種した人は、大人の人口の約8,9%(約73万人)現在、ワクチンの接種は任意にて65歳以上の国民が優先的に無料で接種可能。

Q2 今回は「こどものアフタースクール事情」を伺いたいんですが、スウェーデンにも学童保育はありますか?

A2 スウェーデンでは、父親も母親も働いているので、学校が終わったあとは、学童に通う生徒が殆どです。通常はプレスクール(6歳時)から小学校4年生ぐらいまで通います。学童の後、それぞれ習い事に行く子も多く、多くは各スポーツ(サッカー、アイスホッケー、フロアボール、テニス、バスケットボール、ゴルフ、水泳、陸上など)をやったり、他、音楽(楽器、コーラス)、ダンスなど、やりたいことにチャレンジしている子が多いです。コロナの影響で、昨今、アウトドア系の活動、例えばボーイ、ガールスカートがとても人気になっているようで、順番待ちでなかなかクラブに入りにくいようです。

Q3 日本の学童保育ですと、公営で月数千円から1万円以内が料金の相場だそうですが、スウェーデンの学童保育はやはり無料ですよね?

A3 スウェーデンは学校も学童保育もすべて無料ですが、習い事は有料です。

A4 日本の公営の学童保育の場合、審査によっては落ちてしまったりすることもありますが、スウェーデンの場合はどうですか?昨今、日本では子どもの貧困が問題となっていて、満足に食事を取られない子どもたちのために食事を提供する「こども食堂」などの支援も増えていますが、スウェーデンの状況について教えてください。

A4 子どもの貧困の問題はあまり耳にしません。移民(戦争移民)の人たちなども生活していけるよう援助金を受け取ることができます。子ども一人を育てるのに育児援助金が子供が18歳になるまで国から毎月支給されます。子どもは社会の財産であり、スウェーデン社会において彼らの権利と平等は保障されています。

●メキシコ・アグアスカリエンテス / 府川 祐子さん

Q1 まずはメキシコの新型コロナの状況について少し教えていただけますか?

A1 メキシコの人口1億2,779万人のうち、感染者は2,329,535名です。(2021年4月)2020年12月からワクチンの接種が開始され、今年4月までに医療関係者と60歳以上の住民の接種が終わりました。今後6月までに40歳以上の住民の接種が予定されています。40歳未満の接種は7月以降、2022年3月までに終了することになっています。日本のように手続きを入念にすることはなく、住所証明と年齢証明を持っていけば接種できるので、私は行列に2時間待ちましたが、その日のうちにできました。40歳未満の若い人でアメリカのビザを持っている人は、アメリカにワクチン接種に行く人も多く、事前にインターネットで予約をするだけで住居証明がなくてもできます。

Q2 さて、4月30日はメキシコの「こどもの日」なんだそうですね。どういう日なんでしょうか?

A2 祝日ではありませんが、私服で登校し卓上ゲームをしたり、球技大会やカラオケ大会をして、先生と親が半日児童を楽しませます。

Q3 メキシコには学童保育、またはそれに近いものはあるんですか?

A3 州によって違いますが、親が健康保険に入っていれば、少しの月謝で学童保育的なものがあります。月~金曜日まで17時ころまでです。食事もでます。ただ、小学校の各校区にあるというわけではないので、親か親戚が送り迎えしなければなりません。また、シングルマザーの子どもは無料です。

Q4 では、メキシコのお子さんの多くが学童保育に行くわけではなさそうですね?

A4 家政婦さんのように保険無しで日当で働いている人も多いので、親の健康保険の有無ということでサービスを受けられない子どもも大勢います。一番多いのは祖父母をはじめ、親戚が面倒を見るケースです。

Q5 貧富の差が社会問題となっているメキシコですが、「こども食堂」のような支援の動きはありますか?

A5 「子ども食堂」はクリスマス近くや大雨などの災害があったときは設けられますが常設ではありません。メキシコにはストリートチルドレンもいますが、公共サービスが面倒を見るということはありません。個人の善意の上に成り立っています。