●ポルトガル リスボン在住 / 原 悠子さん

メモ:累計感染者81万8,787人 死者:1万6,805人

Q1 ポルトガルでは段階的に規制を緩和しているとのことですが、現在の状況について教えてください。

A1 115日から始まった2度目のロックダウン。今月15日から段階的に規制が解除されることになりました。5月まで4段階で規制を緩めていくという計画が発表されましたが、すべては状況を見ながら、とのことです。先週まず再開されたのは、保育園&幼稚園と小学校の4年生までの通学、教会でのミサ (イースターの行事は禁止)、食料品以外の小売店の店頭販売(店内に入らず、入口で欲しいものを言って買うという形です)、美容院やネイルサロン、図書館に本屋、自動車販売店に不動産代理店。感染状況をより詳しく把握できるように、今月末からリスボンでは16歳以上の人は薬局で無料で15日に1回検査を受けられるようになるという発表もありました。

Q2 ワクチンの接種状況はいかがですか?アストラゼネカ製ワクチンの使用停止で接種が滞っている?

A2 1週間ほど停止されていたアストラゼネカのワクチンの接種は今週月曜日から再開されました。全体では、人口の9%にあたる92万人が1回目の接種を受け、5%が2回目を受けたと今週の火曜日に発表されました。政府は、今週末から毎週末、大規模な接種を行うことを決定。まずは教育機関で働く人たちを対象に、2日で10万人の接種を目指すとのことです。

Q3 5月にはF1の開催が予定されていますし、徐々に日常生活が戻ってきている状況でしょうか?

A3 去年に続き、南部での開催が決まったF1。観客の有無などの詳細は、政府の計画に沿って決定していくとのこと。リスボンに限って言えば、日常生活が戻っているという実感はあまりありません。できる限りテレワークを維持するようにとのことなので、平日の人出や町の様子はロックダウン中とそれほど変化がありませんし、再開したお店もあまり数は多くなく、お客さんの数も増えた感じはしません。ただ、先週末は天気が良かったこともあり、公園やビーチには大勢が出かけていました。

Q4 そのほか、ポルトガル国内のポジティブな話題はありますか?

A4 北米IT企業のCognizantによる「未来の都市21」にリスボンが選ばれました。 これは世界150都市を対象に行われた調査で、インフラの質、安全性、仕事の探しやすさ、生活の質、生活コストなどを考慮して作られたもの。リスボンは"洗練された都市"と評され、大学のレベル、安全性、政治の安定、持続可能性、生活コストなどがプラス要素に働いたとのことで、ヨーロッパの3都市の中に入りました。(スコットランドのダンディー、エストニアのタリン) この調査では、"remotopia" (リモート+ユートピア)なる場所も21都市の中に入っています。

●フィリピン・マニラ 澤田 公伸さん

メモ:累計感染者684,311人 死者13,039

Q1 フィリピンは感染者増加でロックダウン強化の可能性もあるとのことですが、どのような状況か教えていただけますか?

A1 感染者は昨年7~8月上旬の7千人弱のピークを越えて以来、今年1月に1千人程度まで下がるなど落ち着いていたが、3月に入って急増し、過去1週間では7千人から8千人を超えるなど過去最高を更新中です。英国型や南アフリカ型、ブラジル型などの海外の変異株が帰国した比人海外就労者を通じて首都圏などで拡大したことに加え、フィリピン変異株も確認されました。このように変異株による首都圏とその近郊州での感染拡大が、今回の感染拡大第2波の要因と考えられています。政府は1年前のような厳格なロックダウンを実施すれば経済が崩壊するため、旅行規制や店内飲食禁止、サービス業の稼働率制限など個別の規制強化で抑え込みを図っています。一人の感染者が他の人にうつす数を示す実効再生産数が2・1まで上昇。今後も感染拡大が続く見込みです。

Q2 外出制限が出されて1年が経ったフィリピン、経済への打撃は?

A2 2020年の国内総生産はマイナス9.5%とアジアでも大きく落ち込みました。外国人や国内向けの観光業および航空業界などが最も大きな打撃を受け、大量解雇も進行中で昨年の平均失業率も10.3%と高止まりしています。民間の世論調査機関によると、昨年11月時点で失業率は37%、1270万人が職なし、という結果も出ています。

Q3 ワクチンの接種状況はいかがでしょうか?

A3 3月1日から、中国政府から寄贈されたシノバック製ワクチン60万回分と、世界保健機構が進める共同調達の枠組みによる英アストラゼネカ製のワクチン52万回分などを使って政府のワクチン接種事業が正式に開始しました。まず医療従事者を対象にし、その後高齢者や警官・軍などのエッセンシャルワーカーらに対象を広げる予定です。フィリピン食品医薬品庁が18日、ロシアの国立ガマレヤ疫学・微生物学研究所と国防省が共同開発したスプートニクⅤにも緊急使用許可を出しました。ロシア製ワクチンについてはフィリピン国内の製薬会社で製造を行う交渉も進められていますが、まだまだワクチン接種は十分に進んでいません。その要因の一つにはワクチンに対する国民の不信感もあるようです。

Q4 そのほか澤田さんが気になっていることは?

A4 フィリピン政府は軍や警察を使ってロックダウンを行い、現在も検問などで防疫措置に違反した市民を厳しく取り締まっていますが、その軍人や警官の間でコロナが急速に拡大しており、いたちごっこになっています。また、外出禁止令や外国人の入国禁止令、店内飲食の禁止など重要な行政令がいつも直前に出されるため、市民や在留外国人、事業主らが対応に苦慮しています。