今朝は、フィンランドとブラジルの通信員の方に回線をつないで、お話をうかがいます。

●フィンランド・エスポー/ 遠藤 悦郎さん

メモ:累計感染者6万8,693人 死者:804人

Q1 今月8日からフィンランドでは、初めてのロックダウンが導入されましたが、どういった規制内容なのでしょうか?

A1 現在は一般的な国で言われている行動制限「ロックダウン」よりはやや軽い「シャットダウン」状態です。3月8日から3週間、中学校以上の教育機関が遠隔授業に、公共機関(図書館/美術館/博物館/屋内スポーツ施設)の多くが閉鎖、カフェレストランがテイクアウェイ/配達のみの営業になるなどしています。公衆サウナも一部の貸切サウナを除き閉鎖中です。今週からは首都圏の公共交通機関はマスク着用が義務付けになりました。現在内閣が対策として本格的な移動制限を伴う「ロックダウン」を実施する必要があるかどうか、もしするとしたらどのような範囲でどの期間にするかなど、必要な法律の整備なども含めの準備を協議しているところです。

Q2 ロックダウンならぬ"シャットダウン"に至ったということですが、フィンランドの感染状況について教えてください。

A2 第二波と呼ばれた昨年12月ごろにも、先手で対策を講じて比較的うまくいき、ヨーロッパの優等生的な状況だったフィンランド、ここにきて雰囲気が一変。現在第二波と呼ばれた12月ごろのピークと比べても倍くらいの新規感染件数(人口10万人あたり2週間)が確認されている。18日木曜日の新規感染判明者数は速報値で800人を超えています。それでもヨーロッパではまだ比較的落ち着いているほうだが、じわじわと勢いを増しているのが現状。2月の末にあったスキー休暇(冬休み)期間にスキー場やリゾートに出かけた人の中から新規感染者が出ている模様。海外からの渡航は完全に締めているわけではないので(家族理由、勉学や仕事などでの滞在許可があれば入れる)ため、現在は変異種の感染者が空港で見つかるケースが増えている。

Q3 そのほか、遠藤さんが気になる話題はありますか?

A3 ヘルシンキ首都圏の近郊電車の運転手組合がストライキを決行(この木金曜日)、首都圏の近郊電車が一斉に運休します。その期間特に代替振替輸送などがないので、一般のバスに人が流れて混むことが予想され、、ソーシャルディスタンシングを徹底し蜜を避けるべきこのタイミングにストライキを行うことへの賛否は議論されています。

●ブラジル・リオデジャネイロ / 藤井 陽樹さん

メモ:累計感染者11693,838人 死者284,775

Q1 累計の感染者数がインドを上回り、アメリカに次いで二番目となってしまったブラジル、現在の感染状況を教えてください。

A1 16日現在、累計感染者が1150万人を超えており、1日の感染者数は8万人超え、死者数は2000人を超える日がある状況です。これは過去最悪水準で更新されています。ブラジル保健省の研究者は「ブラジルはパンデミックの最悪の時期にある。2021年もかなり大変な年になるだろう」と話しています。

Q2 今までの「ブラジル型」とは別の新しい変異型も確認されているとか (感染が増えているおもな原因は?)

A2 ブラジル由来の変異ウイルスは2種類が確認されていましたが、これらと異なる新たな変異種が見つかり、すでに広がっているようです。この今回発見された変異ウイルスも人の免疫を回避する特徴を持っているようです。つまり、過去に一度感染して体内で免疫ができていたとしても、また再び感染する可能性があるということで、それが感染者増の原因となっているようです。また、ボルソナロ大統領が有効な対策を取っていないとして批判されていますし、この状況でブラジル保健相が4度目の交代をし、混乱が続いています。

Q3 ブラジルでは全国規模では二度目となるロックダウンが行われているそうですね? (規制の内容、街の様子などは?)

A3 リオデジャネイロ市は夜間の外出を制限し、従わない場合は罰金を科しています。サンパウロ州は、州全域を緊急事態を示す「フェーズ・レッド(赤信号)」として、食品スーパーや薬局など一部の業種をのぞき、商店の営業を禁じています。全国各地で同様の措置がとられており、飲食店の営業は大幅に制限されています。ただ、去年のロックダウン時には完全に閉じていた学校が、私立学校は制限をしながらも開校しているところがあるのが唯一の救いです。また、一度厳しいロックダウンを経験し、少しずつ日常生活が戻ってきていた矢先の再びのロックダウンなので、はたしてどこまでブラジル人が我慢できるか。正直、気が緩んだまま感染者が急増していくのではないかと感じており、それによる治安の悪化を心配しています。

Q4 医療の現場が限界という報道もあるそうですが・・・

A4 医療現場は深刻で、最も人口が多くかつ経済力の高いサンパウロ州でも新たな患者を入院させる余裕のある病院はほとんど残っていません。14日の時点で国内21の州・連邦直轄区の集中治療室(ICU)占有率は80%を超えました。そのうち14では90%を上回っており、医療崩壊の瀬戸際にあるようです。南部の都市、ポルトアレグレではコロナ患者を扱う最大の公立病院は、新規患者の受け入れが不可能になったと発表したりしています。このような状況が続くと、さらなる厳しい制限がなされる可能性があり、我が家としては子どもたちの学校や遊び場などに影響が出るのを心配しています。