今朝は、イタリアとブラジルの通信員の方に回線をつないで、お話をうかがいます。

●イタリア・ミラノ / 田中美貴さん

メモ:累計感染者2501,147人 死者:86,889

Q1 国家非常事態宣言がずっと延長されているイタリアですが、現在の新型コロナ感染状況について教えてください

A1 現在の状況は、イタリアは年末年始の厳しい規制の割には、期待されていたほど劇的には減っておりませんが、それでも最近は新規感染者は1万5000人程度(昨日は8500人強)になっており、減少傾向にあります。ただ、死者は85000人を超え、EUのトップ(イギリスを含めば2位)なので、厳しい状況に変わりはありません。

Q2 コロナ禍でイタリアの政局が揺れているそうですね?

A2 これは正直なところ、コロナ禍というより、困った政治家(政党)によるお家騒動のようなものなのです・・・。問題児である元首相レンツィが率いる、連合政権の一端をなしていたイタリアヴィーヴァという政党が、EUからのコロナ復興基金の活用をめぐって反対し、与党からぬけたため、信任投票になったのですが、信任票が絶対多数に足りなかったため、コンテ首相はつい先日辞任。現在はマッタレッラ大統領の判断待ちで、大統領がコンテを首相に任命し新内閣が作られるとみられてはいますが、他の人を首相に任命するか、解散総選挙になり選挙管理内閣が作られる可能性がある中、大統領の発表を数日後に控えている状況です。

Q3 ミラノの街の様子はいかがですか?

A3 イタリアは保健省命令で感染の深刻度の順に、レッド→オレンジ→イエローと州が色分けされておりまして、レッドは基本的に外出禁止、オレンジになると、自分の自治体内なら移動でき、商店もオープン可、これがイエローになるとレストランも5~18時は営業可...という感じです(夜22~翌5時までは全土で外出禁止)。現在の保健省令は1月15日~31日まで有効で、ミラノのあるロンバルディア州はレッドゾーンだったのですが、実は州の集計報告の提出書類の間違いで、レッドではなく実はオレンジゾーンだったということが発覚し、今週からいきなり規制が緩くなるという、コメディ映画のようなことが起こりました。そんな州のミスに対して、意外とみんな突っ込みを入れないのが、イタリア人の謎の寛容性なのですが、とにかく、店も再開し、街は少し活気を取り戻しています。

Q4 ワクチン接種は順調に進んでいますか?

A4 イタリアは12月の末からワクチン接種が始まり、ヨーロッパの中では接種者数が多いほうではありますが、予定よりイタリアへのワクチンの配布が少なくなるようで、順調とは言えません。それでも最近では自国でプロテイン由来のワクチン開発中というニュースもあり、期待が高まっている様子です。イタリア人は、例えば隣国のフランスのようにワクチンを拒否している人はそんなに多くない様子ですが、疑いを持っている人も確かにいます。況をうかがっています。

●ブラジル・リオデジャネイロ / 藤井 陽樹さん

メモ:累計感染者899万6,876人 死者22万0,161人

Q1 現在のブラジルの感染状況について教えてください。

A1 感染者数はアメリカ、インドに次ぐ世界3番目の多さで約900万人で、今でも1日あたり約5万人が新規で感染しています。ブラジル北部のアマゾナス州では特に感染が広がっており、変異種もたくさん見つかっています。医療崩壊状態が続いており、軍用機を使って患者を他地域に移送する試みが始まっています。リオデジャネイロでも昨年12月時点で変異種が見つかっているので、それが広がるのも時間の問題だと思います。

Q2 リオの街の様子はいかがですか?

A2 今ブラジルではいわゆる夏休み期間でいわゆるバカンスを楽しむ時期なんですね。そのタイミングで第2波が来て厳しめの規制が再び行われたのですが、もうみんな慣れてしまったのか、ビーチは人がわんさかいてマスクもつけません。とても暑いですし。プールに入るのも人気です。週末は朝7時からそこら中で草サッカーをやっています。ただ、スーパーやレストランなど屋内でマスクをつけることはほぼ定着しているので、感染対策をしつつも、できる範囲で休暇を楽しもうというブラジル人らしさは垣間見ることができます。

Q3 先日、大統領の退任を求めるデモもあったとか

A3 北部アマゾナス州に対しての対応が悪かったこと(酸素ボンベ不足など)や、緊急支援金(日本でいう特別定額給付金)が12月で終了したこと、ワクチン準備が遅れたこと等が重なって不満が高まっています。

Q4 中国製ワクチンの接種が始まったそうですね?

A4 政府が準備を進めていたオックスフォードワクチンの到着が遅れたため、サンパウロ州知事が準備していた中国製ワクチンを全国に配布しています。リオにも到着し、医療従事者・高齢者施設の60歳以上・特定施設にいる18歳以上の障害者・先住民保護区の住民などが優先となっています。一般の高齢者などが接種できるようになるのはまだ先の見通しです。

Q5 そのほか、ポジティブな話題はありますか?

A5 サッカーの南米版チャンピオンズリーグといわれるリベルタドーレスという大会の決勝がリオのマラカナン競技場で行われるのですが、ブラジルとしてはコロナ後初めて関係者など5000人の観客を入れて開催される見通しです。しかも、ブラジル勢同士のサントスxパルメイラスの対戦となっているので国内でも注目されています。一般の人はチケットを購入することは難しいようなのですが、コロナ禍でもほんの少しだけサッカー界が一歩前に進んだようなニュースだったので嬉しいです。