アメリカ、ジョンズ・ホプキンズ大学の集計によりますと、新型コロナウイルスによって亡くなった方が、今週、世界で100万人を超えました。その半数近くは、アメリカ、ブラジル、インドが占めています。

さて、このコーナーでは毎週、新型コロナウイルスにまつわる、各国の最新状況を伺っていますが、今朝は、感染拡大が深刻なヨーロッパからスペイン、そして、抑え込みに成功しているシンガポールに回線をつないで、お話をうかがいます。

●スペイン南部・アルメリア在住加藤由香里さん

Q1 先週、感染者が70万人をこえてしまったスペインですが、改めて、状況を教えていただけますでしょうか?

A1 スペインでは8月中盤以降、全国的に感染者や重症者が徐々に増えています。全国の感染者、死亡者数の1/3がマドリードで、10万人あたり721人の感染者が報告されています。マドリードの新規感染者は8月の中旬から増え、9月に入って夏休みが終了し新学期や通常の生活に戻るタイミングでさらに増えました。入院患者も増え、マドリードの病院のICU はコロナウィルスの感染者により埋まり、保健所も日々PCR検査の申し込みや体調不良者や接触者の対応に追われ、国の医師不足が批判されています。マドリード州に続いてカタルーニャ、アンダルシア州が感染者が多く出ています。

Q2 首都マドリードの一部地域で再ロックダウンが行われたそうですが、今後、エリアが広がっていく様子ですか?

A2 マドリードでは先週から特に感染者が多い45の地域(人口10万に対して500人以上の感染者)でロックダウンが行われ、通勤通学、通院、介護、金融・行政機関の手続きや買い物等以外の外出が制限され、会合は6人まで、飲食店やスポーツ施設などはお客さん50%程度にするなど制限が設けられています。3月から5月まで行った完全なロックダウンではなく、経済を止めないために、細かく地域や通りによってロックダウンの場所が設けられているため、住人はどこからどこまでが制限地域なのかを把握しきれておらず、かなり混乱しているようです。尚、政府がマドリード州に強制ロックダウンを行うことを通告し、48時間以内にマドリードに対策を決めることを求めています。知事はこれを拒否してきましたが、今日明日でロックダウンが広がる可能性があります。

Q3 加藤さんがお住まいのスペイン南部エリアの状況はいかがですか?

A3 私の住むアンダルシア州の、特に海岸沿いの町は、7月8月の夏休みにバカンス客が国内外から訪れるので、夏に感染者が増え、制限が設けられました。ビーチの利用は朝7時から夜9時まで、パラソルの間隔を4メートル以上開ける。浮き輪、ビーチボートの使用禁止、ビーチでのスポーツ禁止など。現在もその流れで感染者は多く、通常通りの生活ですが始まっていますが、複数の学校でコロナウィルス感染者により学級閉鎖が発生しています。学校にはマスク着用、替えのマスク、アルコールの持参が義務付けられ、学校ごとに細かいコロナ対策が行われています。

Q4 今後心配されることは何でしょうか?

A4 ロックダウンがまた施行された場合、休業補償は延長されるのか、学校教育はリモート授業などで対応できるか(公立と私立校でかなりの差があります)、子供のクラスに陽性者が出て学級閉鎖になった場合親の休業補償は出るか、コロナによりICUが埋まっているため、既存の病気の手術が滞っている問題、などが心配されます。

シンガポール在住のジャーナリスト中野 円佳さん

Q1 シンガポールでは8月以降、新規感染が極めて少ない状況となっていますが、これまでの経緯を教えていただけますでしょうか?

A1 4〜5月にサーキットブレーカー(ゆるやかな外出禁止令)、6月に学校等が再開された時点で市中感染はかなり減少しており、その後、外食などできるようになってからも5人以内、マスク着用義務などの制限があり、市中感染を徹底的におさえてきた。現在、現場労働者の寮での感染拡大の検査が一巡し、さらに市中感染が0-1人になってきており、かなり落ち着いてきた。2歳以上のマスク着用義務が6歳以上となり、結婚披露宴などの人数制限が緩和されつつある。入国制限も国により、隔離期間などを変えて戻していく兆し。

Q2 シンガポールが感染を抑え込みできている理由について、中野さんはどうご覧になっていますか?

A2 6月以降抑え込めてきたのは、罰則付きの行動制限だと思います。マスクなしで外出しただけで300ドル(2万4000円)。5人以上の複数グループで飲食店に行った人が罰金くらったりしています。職場の在宅勤務も半分強制的です

Q3 現在のシンガポールの街や、現地のみなさんの生活の様子はいかがでしょう?

A3 マスクをしていることと、あらゆる場所に「チェックイン」が必要な以外はほぼ平常化している。観光客がいないので閑散としているところはある。ただし罰金や罰則が厳しいので、常に気が抜けない。都市国家で、出かけられる範囲が限られている感覚はある。

Q4 そんな中、外国人労働者が減っているというニュースもあるようですが?

A4 シンガポール人雇用を守るため、外国人雇用ビザの要件が厳しくなる、失業などでシンガポールにいられなくなる リモートワークでできる赴任者が帰国する →一方新規ビザが出ないので全体として外国人は減っているとは思います。シンガポールについてはビジネス面で海外に出やすい点が1つのメリットだったので、それができなくなり、リモートでいいねとなると在住メリットが減る可能性がある。現地採用組で本帰国を決める人もいる。

Q5 今後、シンガポールで心配されることはなんでしょうか?

A5 シンガポールに限らず、日本企業の駐在家族が振り回されていて、父親と半年会えていない家族、内示は出ているがいつ赴任や帯同できるかが不透明という人も多い。日本側が感染を抑え込めないと行き来もスムーズにできないので頑張ってほしい・・・