最近、都内で「自転車シェア」のステーションをよく見かけるようになりましたよね。乗り降りの場所が違っても大丈夫だったり、地球にもお財布にも優しい。さて、こうしたシェア自転車サービスは海外ではどのくらい浸透しているのでしょう?今朝はフランスと中国に電話回線をつなぎ、現地のシェア自転車についてお話を聞きます。

フランス パリ ドゥヴィアンヌ園子さん

パリはシェア自転車サービスを導入した先駆けですよね?

A パリ市が発案した共同使用自転車レンタルシステム=velibはもう10年を過ぎ第二世代のシステムになりました。第二世代に移行するのにかなり難産だったのですが(約2年がかりで自転車も駐輪場もエレクトロニクスシステムも全てか出るという大工事をしたのです!)

やっと今年になってスムースに使用できるようになりました。第一世代が10年以上前にスタートした時には、壊された自転車が多くて、公共物を大切にしないパリ市民には継続無理ではないかと私は思ったものですが、軌道にのるとこんな便利なものはないと私も積極的な利用者になりました。

駐輪場がどんどん増えてパリ市内バス停と同じくらいあるような気がします。ですからどこへ行っても徒歩10分以内に駐輪場があるので、仮に1箇所が一台も無くなっていても近くの駐輪場でまだ空き自転車があるところを駐輪場のインフォ画面から検索できます。

駐輪場が満杯で駐輪できない場合は、空きのある場所を探すために15分の無料使用時間を加算してくれたり、いろいろなケースをしっかり研究して使い勝手がとても良いスマートレンタルバイクです。

10年前はスマホがなくても十分使用できましたが、第二世代になってスマホでアプリを使っていろいろな検索と、使用状況のデータやインフォメーションが自動的に得られます。

第一世代はテストケースでもありパリ市のテコ入れが大きかったので年間会員費も4000円くらいで30分乗り放題、自転車を30分で一度返せばまた新しい自転車を取り出し長時間でも追加料金なしで使えるシステムでした。 第二世代になって会員費が上がって毎月1000円となっていますが一部電動アシスト自転車も登場、満杯駐輪場でも駐輪自転車に連結して駐輪でき、空きのある駐輪場を探し回らなくてよくなったり、そして現在もあちこちで工事中ですが幅広の立派な自転車レーンがどんどん設置されていますので安全で速く、空気汚染の原因にならない乗り物としてのパリ市民権を完全に獲得しています。

中国 上海 松田奈月さん

中国は移動手段が自転車というイメージがありました。シェア自転車もさぞ多いと思います。

A 中国でのレンタル自転車(シェア自転車)は数年前に一気に流行して現在はやや廃れてしまった感じです。2015年、スマホや電子マネーが普及した頃に、中国の最初のシェア自転車がいくつかの大学構内限定でスタートしました。中国の大学は全寮制で郊外型の大きいキャンパスのところが多く、寮から各教室を移動するだけで大変な距離だったので、乗り捨て自由なシャア自転車は学生にはなくてはならないツールに。それが2016年頃から、大学内だけでなく各都市へと急速に展開。2016年12月に上海にが世界最大の自転車シェアリング都市になったというニュースも出たほど。最盛期は20社以上が乱立して市場が激化しました。消費者としては安く(基本1時間15円ほど様々なキャンペーンで無料なども)どこでも使えるようになって、もう自転車は自分で買う必要がないとまで言われるように。駅を降りれば各社のレンタル自転車がずらっとならんで選び放題でした。

JK それが今は違うのですね?

A ただ、一気に普及したことで問題も多く出るようになりました。それまで中国では日本のように駐輪の場所が厳しく管理されていませんでした。そのため、本当にどこにでも置いてあって、どこにでも乗り捨てできる便利さがありましたが、出回りすぎたことで、いたるところに乗り捨てされ、環境や交通問題を引き起こすことに。各社は、自転車を整理するスタッフを雇って各地下鉄の駅などに派遣しましたがそれでも追い付かず。また、自分の自転車ではないという意識からか、使い方が荒い人が多く、しばらくすると故障車があとをたたなくなりました。(回収、修理、再配置を各社行いましたが、こちらも追いつかず)私も最初のころは便利にちょっとしたところも使っていたのですが、去年あたりからペダルがない、ハンドルが曲がってるなどの故障車にあたることが多く、だいぶ使用が遠のきました)さらには、レンタルした自転車での交通事故、特に禁止されているはずの児童の使用による事故や、カギを壊して私有化するなどの問題も起きるようになりました。去年頃から、街で見かけるシェア自転車も、回収されたまま再度設置されないことが増えたようで見かける台数もぐっと減るようになりました。乱立していた会社も淘汰され、ほぼ2社に落ち着いていたのですが、去年そのうちの一社が突然の倒産宣言。今度は入れていたデポジットが戻ってこないことが問題になり、ちょっとシェア自転車に対する消費者の信用度が落ちている時期ともいえます。