今回は、クラフトビールを販売、そして量り売りもするお店、下北沢にある【TAP&GROWLER】のHidden Story。

20190524h01.jpg

下北沢駅から歩いてすぐ。路地を少し入ったところにそのお店はあります。【TAP&GROWLER】。中にはいると、正面にあるカウンター越しに、大きな黒板が目に入ります。そこに書かれているのは、その日に提供しているクラフトビール。ざっと数えて、20種類ほど。このビールを選んでいるのが店主の金井圭司さんです。まずは、クラフトビールのお店を始めた理由をうかがいました。 

20190524h02.jpg

「僕、高校出てから25歳までバックパッカーをやってたんです。海外に行って、お金がなくなったら帰って来て、僕、地元が長野なんですけど、工場で働いてお金ができたらまた海外行っちゃう、そんなことをやってました。で、帰って来て東京で就職して、で29歳からシェアハウスの運営をやってたんです。バックパッカーが泊まれるゲストハウスを作りたかったんですけど、結構お金がかかるんです。でも、あきらめるのは嫌だったので、日貸しじゃなくて、月貸しのシェアハウスを始めました。【TAP&GROWLER】を作る1年くらい前にゲストハウスをつくろうと思ったんですけど、勘定してみると初期投資の割にあまり儲からない。(笑)それなら自分の好きなことをやろうと思って、自分の好きなことを考えたら、タバコとビールとラーメンだと。(笑)で、どれができるかっていったらビールしかなかった、ということでビール屋にしました。」

そんなとき、金井さんはクラフトビールに出会います。

「すごくべたなんですが、3年前にBREWDOGのパンクIPAというクラフトビールがあって、それを飲んで、クラフトビールっていう存在を初めて知ったんです。これを自分で作りたいなというのがあったので、ほんとはブルワリーっていうちっちゃいビールを造る醸造所を作りたかったんですけど、販売実績が必要なんです。だから、その実績づくりという形でこのお店を作りました。普通のビアパブだと面白くないじゃないですか、それで量り売りにしたんです。」

スコットランドのクラフトビールメーカー『ブリュードッグ』が製造する 『パンクIPA』というビールをきっかけにクラフトビールにのめり込んだ金井さん。いまも、好きなビールのタイプはIPA。量り売りのほか、その場で飲むこともできます。

ビールは僕が好きなものしか置いてないですね。僕が好きなのはIPA。僕、ラーメン屋に行くと醤油ラーメンがうまいかまずいかの基準だ思っているんですが、ビールの場合はIPAをそういう基準にしています。なので、IPAをメインに国産だと18種類、海外だと1種類、合計19種類の生があります。だいたい1週間で半分くらい置いているビールの種類が変わるので、毎週来てもらえれば毎週違うビールを飲めます。最近の流行りがNEIPAなんですが、ちょっとにごっててトロピカルな香りがするビールで、それはすぐなくなっちゃいます。初めて来たお客さんには、『おすすめください』、って言ってもらうのがいいかな。おいしいのくださいって。(笑)」

20190524h04.jpg

つづいては、量り売りの場合、どうすれば購入できるのか。これについて教えていただきました。

「量り売りは昔の酒屋のとっくりと一緒で、リユースボトルを最初に買ってもらうんですが、それは何回も利用できるので、あとは洗って持ってきてもらえれば大丈夫です。今だと、32オンス0.9リットルが1880円くらい、大きい方64オンスが2390円です。それが瓶代になりまして、詰め代がビールの種類によって違うと。そのビールの種類と値段が黒板に書いてあります。」

そして、量り売りには、特別な装置が使われます。

この機材が日本にあんまりなかったものなんです。ビールを充填する機械なんですけど、ビールって酸素に触れると酸化しちゃうので、最初に瓶のなかの空気を入れ替えるんです。うちの場合、二酸化炭素と窒素の混合ガスなんですけど、それに入れ替えてから、瓶の内側をらせんをかくように入れてあげると、泡と酸化をおさえて入れることができるんですよね。これは、ロシア製の機械です。」

20190524h03.jpg

開店から1年と少し。店主の金井圭司さんは今、目標として掲げるブルワリー開業に向け、挑戦の日々。

「いまは祖師ケ谷大蔵にライオットビールさんというマイクロブルワリーがありまして、そちらに毎週、修行に行ってます。そこでライオットさんのレシピのビールを仕込むのと、うちのオリジナルのビールを毎月1種類出してるんですけど、この店でしか飲めないビール、それを仕込んでます。それは僕の好みのレシピで作っているんですよね。スタイルでいうと、ブリュットIPLっていうやつですね、ブリュットというのは甘くないビールをさす言葉なんですけど、すごくドライなIPAなんですよ。ただ僕の場合、もっとクリアに軽い感じで作りたかったんで、エール酵母じゃなくてラガー酵母を使っているんです。すごくドライで軽いデイリーなビールを作りたくて作ってみたら、マスカットジュースみたいなビールになりました。それとあとNEIPAですね。」

【TAP&GROWLER】は、毎日営業中。

きっと今夜も下北沢でたくさんの乾杯が かわされるはずです。

TAP&GROWLERウェブサイト

https://www.craftbeers.tokyo