今月の消費増税で導入された軽減税率にともない、4年後に「インボイス制度」が導入されます。インボイスとは、日本語だと適格請求書、ということになりますが...。

東京税理士会の柴崎貴子さんに教えていただきましょう。

インボイス制度というのは、どんな制度なのでしょうか?

インボイスとは消費税の税率や税額を伝えるために発行する請求書のことです。消費税は売上の消費税額から、仕入れの消費税額を差引いて、納める税額を計算します。インボイス制度で消費税を計算するには、税務署で登録した仕入れ先からのインボイスが必要になります。インボイスには、事業者名や登録番号、取引年月日や適用税率などを記載しなければなりません。

今までと違った新しい様式の請求書になるので、税務署での登録が必要になるということなんですね。経理の計算などが複雑そうですね。インボイス制度は、一般的な会社だけではなく、フリーランスや、自営業の方にも関係してくるのでしょうか。

従来の免税事業者で、売上高の大きい課税事業者を取引相手に持っていた場合は、厳しくなります。例えば自分が免税事業者で、10万円の売上に対して1万円の消費税をプラスして11万円の売り上げを請求していた場合、今までは免除された消費税分が手許に残っていたわけです。

しかしインボイス制度がはじまると、消費税を請求できなくなります。取引相手にとっては、免税事業者から仕入れをすると、消費税を納める額が増えてしまうわけですから、そのような仕入れ先は好まれなくなるでしょう。

免税事業者である中小・零細事業者にとっては、課税事業者となるか、不都合を承知で免税事業者のままでいるか、制度導入まで十分に考えなければなりませんね。

免税事業者に発注している人や会社は、免税事業者からインボイス=適格請求書をもらえないので仕入税額の控除が認められません。

それゆえ、免税事業者への発注が減る恐れがある、ということですね。2023年10月1日から導入される このインボイス制度、どのような準備をすればよいのでしょうか。

インボイスを発行するためには税務署長に登録申請書を提出し、登録を受けなければなりません。申請書は2021101日から提出できます。現在、免税事業者である方が登録を受けるためには、課税事業者にならなければなりません。ずいぶん先の話のようですが、経理事務も増えますのでしっかり準備しておく必要があると思います。

導入は4年後の10月。そのための申請は2年後の10月。まだ時間があるとはいえフリーランスでも自営業でも、消費税を免税にするか課税にするか、この制度が始まる前に決めないと不都合があるということですね。