今朝は、東京税理士会の中島 秀明さんに教えていただきます。今回は、リスナーのイクオさんからいただいた、「不動産売却に伴う税金」についての質問です。

「父の遺産の土地と、自分のマンションを売って、新築マンションを買う予定です。土地は売ることで利益が出ますが、自宅マンションは買った値段より安くマイナスになります。土地を売ったことで出た利益と、損失は相殺することができるのでしょうか?」

土地建物を売却して損が生じた場合、同じ年であれば 他の土地建物の売却益と損失額を相殺することができます。また居住用の不動産を売却して生じた損失がある場合には、特例として給与所得や事業所得など、他の所得から控除することができる場合があります。そしてそれでも控除しきれない損失は、次の年以後3年間に限って、繰り越しすることができます。ただし一般の不動産の売買は、譲渡所得というカテゴリーで計算しますので、給与所得など他の所得と相殺することはできません。

もう一度、質問をおさらいすると、「お父様の遺産の土地を売って出た利益と、自宅のマンションを売って、それが買ったときより安く、損失が出た場合、その利益と損失を相殺できるのかどうか?」こういうケース、よくありそうですよね。

同じ年に両方の物件を売った場合、相殺できますまた、居住用の物件、つまり住んでいた自宅マンションは損失が出れば、特例として、他の所得=給与所得などと相殺できる場合がある、ということですね。ただし、居住用ではない一般の不動産の場合は、他の所得と相殺できない。ご質問の場合、同じ年に2つの物件を売れば、相殺できますが、とはいえ、不動産取引の場合は、ある程度の時間がかかりますから、必ずしも同じ年に売れるかどうかわかりませんよね。2つの物件が 別々の年に売れた場合は どうなるのでしょうか。

一般的に遺産の土地を最初に売却し、翌年以降に自宅マンションを売却した場合は、譲渡した年が違うので、土地の売却益とマンションの売却損を相殺できません。 反対に先に自宅マンションを売却し、翌年以降に遺産の土地を売却した場合には、先ほどご説明した控除を受けられる場合があります。またそれ以外にも特例が受けられる場合がありますので、詳しくはお近くの税理士にご相談ください。

自宅マンションと相続した土地、売れる物件の順番によって年度が違うと利益と損失を相殺できないこともあるということですね。今回は、一般的な回答をいただきましたが、特例を有効活用するためには、やはり税理士さんに相談した方がよさそうです。今月のワンポイント解説は「不動産売却に伴う税金」をテーマにお送りしました。東京税理士会の中島 秀明さん、ありがとうございました。