毎月1回、税についての「頼れるパートナー」として、税理士さんによるわかりやすい税のワンポイント解説をお届けしています。今朝は東京税理士会の千葉晴彦さんに教えていただきましょう。

リスナーのユメさんからの質問です。

私と彼はゴールイン前の新居探しをしています。彼の名義で土地を先日購入しました。そして家を建て始めたのですが、私の貯金もその頭金にしたいと考えています。結婚前に不動産の名義を彼のものにすると贈与税がかかるのかが、不安です。土地と家の名義について相手の名義すると贈与税がかかるのでしょうか。 

東京税理士会: 不動産を買ったときや建てたときの名義をどうするかについて、『出した資金の割合分の名義とする』というのが基本的な考え方です。例えば3000万で家を建てたときに3分の1の1000万円の資金を出したなら、『名義は3分の1ということになり、その割合が多くても少なくても贈与となります。そして、その贈与とされた金額が贈与された年の非課税枠110万円を超えると税金が発生します。

ハリー:不動産を買う時には登記所というところで登記をしなければなりません。3000万円の家で旦那さんが2000万円、ユメさんが1000万円を払ったら、その金額通り2/3 を旦那さん、1/3をユメさんにしないと税金がかかってしまうんですね。そしてそれは結婚する前でも後でも同じなのでしょうか。

東京税理士会:贈与についての考え方は、結婚の前でも後でも変わりません。配偶者の名義になる資金を出した場合にはいずれも贈与税がかかります。ただ『結婚して20年以上連れ添った夫婦間での住宅用不動産やその取得資金の贈与については、一定条件のもと2000万円までは非課税』という特例があります。長く結婚生活を続けるメリットのひとつですので、覚えておくとよいかもしれません。

ハリー ユメさんが支払った頭金分は、結婚前でも結婚後でも、名義を旦那さんの名前にすると、旦那さんが贈与税を払わなければならないんですね。そして随分さきの話ですが、結婚して20年一緒にいれば2000万円までは非課税、という特例があるということですので、覚えておくといいかもしれません。共働きの場合でローンを組む場合はどうなのでしょうか。

東京税理士会:まず税金の計算について、住宅を取得するときにローンを組んだ場合には、「住宅ローン控除」という所得税の特例規定があります。控除を受けるための条件はありますが、10年のあいだ、ローンの年末残高の1%の金額を所得税から控除し、所得税から控除しきれないときは住民税から控除する、という規定です。そして、夫婦共働きで資金を出し合って住宅を取得するなら、「連帯債務」「ペアローン」の形式でローンを組めば、夫婦 双方とも「住宅ローン控除」の特例を受けることが出来ます。 その際にも、資金をどれだけ出したかで名義の割合を決めることを忘れてはいけません。 そして、これまで話した様な特例規定には、特例を受けるための条件や手続きなどがありますので、詳しくは税理士へご相談下さい。

ハリー: ユメさんがお仕事をしていらっしゃって、二人で住宅ローンが組める場合はさらにメリットが大きくなるようです。ただしその場合でも、資金をどれだけ出したかで名義の割合を決める、というのが大原則ということを忘れずに。今月のワンポイント解説は、「不動産の名義」をテーマにお送りしました。東京税理士会の千葉晴彦さん、ありがとうございました。