毎月1回、税についての「頼れるパートナー」として、税理士さんによるわかりやすい税のワンポイント解説をお届けしています。今朝は東京税理士会の小林美佳子さんに教えていただきましょう。

リスナーのりえさんからの質問です。

現在私は障がい年金をもらっていて、あと親からの仕送りで生活しています。住んでいるマンションを自分名義で所有していて、固定資産税を支払っています。これについて、医療費控除のような税金の控除対象になるのでしょうか?

固定資産税は地方税ですので、その不動産のある自治体の条例で定められていて、取り扱いも自治体によって様々です。例えば東京都23区では生活保護を受けている方が持っているマンションの固定資産税については、減額や免除がありますが、障害者ということでは、減額や免除の規定はありません。しかし大阪市では特別障害者の場合、一定の要件を満たすことで減額や免除を受けられることになっているようです。特例の対象になるかどうかにつきましては、まずはお住まいの自治体に問い合わせていただくのが、一番確実ではないでしょうか。

固定資産税の優遇措置は、自治体によって扱いが異なる、ということなんですね。一般的には障がいがある方のための優遇措置にはどんなものがあるのでしょうか?

地方税で一般的なのは、自動車税の優遇です。障害のある方が自動車を移動手段として使う場合、そのクルマの自動車取得税と自動車税が減額されます。例えば東京都の場合、自動車取得税については、税金の対象となる購入金額から300万円を差し引くことができますし、毎年支払う自動車税については、原則45,000円が減額されます。

日本の税制は、すべての国民に公平で公正な課税が出来るようにという観点から、障害者本人だけでなく、その扶養をしている方についても、税負担を軽くする制度があります。例えば所得税や住民税については、障害者本人またはその扶養者の所得から『障害者控除』という一定額の控除が受けられます。また相続税についても、障害者のための控除がありますし、贈与税にも一定の贈与が非課税になる制度があります。

今年度分の自動車税の納税通知書、クルマをお持ちの方には届いているでしょうか。また所得税と住民税では、障がいを持つ方本人だけでなく扶養されている方にも、控除が受けられるというのはポイントですね。税金にもいろいろな種類があるようで、優遇制度についてもなかなか複雑なようですね。

ご紹介しました優遇措置につきましては、それぞれの税金の種類によって、適用を受ける上での手続や細かい条件がありますので、具体的な計算方法などについては、税理士にご相談ください。

今朝のワンポイント解説は、「障がいがある方のための優遇措置」をテーマにお送りしました。東京税理士会の小林美佳子さん、ありがとうございました。