今朝はゴミを「タイル」に生まれ変わらせる取り組みにフォーカスします。

資源ごみがタイルに!?

一見結びつかない感じがしますが、ゴミを1300℃の高温の融炉で溶かし、無害化した「溶融スラグ」と呼ばれる黒いガラス状の物質を、無害のタイルとして生まれ変わらせているそうなんです。

この取り組みを進めているのは、日本有数の陶器の産地として知られる岐阜県 多治見市にある企業、株式会社「エクシィズ」。

今朝は、代表取締役の笠井政志さんにお話を伺います。

JK :ゴミからタイルを作る。ゴミの処分の仕方としては「焼却」をイメージするのですが、 「溶融する」とはどういうことなのでしょうか?

笠井:焼却炉は焼成温度が900度前後なのに対し、溶融炉は1300°とかなり高温で処理をします。 溶融は1300°で燃やすというより、溶かすに近いイメージになります。つまり、鉄などでもあらゆるものが、1300℃にすれば溶けるということ。

通常、都市ゴミを焼却処理した際、出てくる焼却灰と細かな飛灰は埋め立てされます。これらには有害なダイオキシン、鉛、カドミウムなどの重金属が含まれています。焼却処理の方が安いので、自治体はこちらを選ぶケースが多いですが、50 年先に起きる問題を先送りしているのが現状です。一方、溶融炉から産出される溶融スラグは無害なガラス質の固形物で、我々はこれらを主原料にタイルを作る技術を確立しました。 都市から出たゴミを主原料にした、eco Revoというタイルを作り、そのeco Revoタイルをまた都市で使用してもらうという、循環型社会の構築が出来ると信じています。

JK :プラスティック、アルミ、鉄などのリサイクルは進んでいると思います。なぜeco Revoを開発することになったのでしょう?

笠井: 分別されたこれらの素材は確かにリサイクルが進んでいます。しかし家庭から出る生ゴミや、コンビニやスーパーからの食材の廃棄物が毎日およそ東京ドーム115杯分あるとされ、それらを焼却、溶融処理したものは十分に再利用されていない現実があるので、なんとかならないかと立ち上げました

JK : 解決しなくてはならない課題というのはよくわかりました。しかし、岐阜県多治見市という日本最大の陶器の産地で立ち上がったのはなぜでしょう?

笠井:サーマルリサイクルといって焼却・溶融処理する方法が、ゴミの減容(かさを減らす)にはベストです。その中でも副産物として無害化されたスラグが出る溶融処理は最も安全な処理方法です。多治見は全国の80%以上のタイルを生産しています。その設備や技術を生かしながらこの安全無害なスラグを原料としたリサイクルタイルの開発を考えました。

JK :従来のスラグの行き先と、新たにeco revoが提案するタイルとの違いとその可能性はどこにあるのでしょう?

笠井:従来のスラグはコンクリート2次製品に混ぜたり、アスファルト舗装の路盤材に使用されたり目に見えない利用が中心で、埋め立て処分をされています。一方で多治見地区で豊富に採れた粘土も鉱山の閉山で供給がままならなくなって来ている現実と合わせると、粘土の代替原料としての溶融スラグの利用は今後更に必要だと考えています。将来はこの地区で生産されるタイルが全てリサイクルタイルになればいいと思っています。

JK :陶器の産地、多治見が持つ溶融の技術から生まれるゴミの再利用、タイル以外の展開はどんな可能性があるのでしょうか

笠井:器やタイルはまだまだ色とか形状とかを安定させる必要があります。現在[MINO SOIL]というプロジェクトを立ち上げ、器やタイル以外の焼き物をリサイクル原料で作る取り組みも始めました。例えば、プランター、手水鉢、ランプシェードなどを作って国内外(特に海外へ)展開していきたいと思っています。

JK :新たな展開の際、またフォローさせてください。