今朝は、事業を継ぐ「事業承継」における買収や合併、いわゆる「M&A」という選択肢にフォーカスします。

現在、日本では中小企業の経営者の高齢化、後継者不足問題が深刻化しています。2020年、日本の社長の平均年齢は60.1歳と過去最高を更新しました。更に、今後10年間に平均引退年齢とされる70歳を超える中小企業の経営者は約245万人で、そのうちおよそ半数が後継者未定と言われています。つまり、経営者の高齢化が進んでいながらも後継者がいなく、廃業せざるをえない企業が増え、雇用やGDPにも大きな影響を及ぼします。

そんな事業承継の解決策の一つとなり得るのが「M&A」です。「うちの会社はM&Aと縁遠い」と思う方もいらっしゃる方もいるかもしれませんが、どうやらそうでもなさそうです。

事業承継の支援をされている株式会社 経営承継支援の代表取締役社長 笹川敏幸さんに伺います。

JK: 簡単に今の日本における事業承継の現状を教えて下さい。

TS 現在、日本の社長の高齢化が進み、平均年齢が昨年60歳を初めて超えました。昔は子供(長男)が事業を継いでいましたがそれが段々と減っていて、後継者不足に繋がっていると実感してます。

JK:M&Aというオプションがあるということですが、どのように解決策となり得ますか?

TS 後継者がいない会社には廃業か事業売却・譲渡しか選択肢がありませんが、売却というのは有効な選択肢になります。最近のM&Aでは吸収合併は少なく、株式を買収して子会社化し、そのままの形で会社が残っていくケースがほとんどです。こうすることによってビジネスや雇用がそのまま継続され、取引先との取引、技術、ノウハウも残ります。

JK: M&Aが有力であるにもかかかわらず、その選択肢を選ばない企業が多いということですか?

TS M&Aは大手の企業しか行わない、新聞に載るほどの大規模なことだと思われています。多くの中小企業は自分の会社がまさか対象になると思っておらず、諦めて廃業するケースも多いです。跡継ぎがいなくて廃業する会社の半分は黒字なので非常に勿体ないです。新聞紙上で見られるM&Aは「乗っ取り」や「ハゲタカファンド」の印象がありますよね。M&Aをしたら従業員がクビになってしまうのでは、と心配する社長も少なくありません。しかし、実際のところ中小企業のM&Aは全て友好的に行われます。上場企業は株式市場で株を買い集めて「乗っ取る」ことができますが、中小企業は株を公開していません。そのため社長は株の譲渡先を自由に選ぶことが出来、結果として友好的になるのが実情です。更に、売却する際に従業員や取引先、株価に関する交渉が可能です。

JK:企業規模の大小に関わらず、M&Aが有効であるということをどのように推奨しますか?

TS M&Aのことをしっかり認識してもらうために様々なセミナーを開催したり、書籍を出したり、ウェブ広告を出したりして、M&Aが悪いものではないということを広めています。また銀行、会計事務所、全国の商工会議所等の提携先を増やして周知に努めています。

JK:勿論ビジネスとして展開されていると思いますが、フィーはどのくらいですか?

TS この業界でのフィーは①着手金②成功報酬に分かれています。成功報酬を何千万と請求する会社もある中で、弊社では安価に相場の1/4と設定することによって多くの中小企業がM&Aを出来るようにお手伝いしています。

JK:社長の高齢化が進むとM&Aが増え、ビジネスチャンスが広がりますよね。大手企業の業界参入もあるかと思いますが競合他社にどう立ち向かいますか?

TS M&Aビジネスは儲かるだろうと思われて参入が増えていますが、そんなに簡単なものではないので残っていく会社は少ないでしょう。M&Aにはビジネスの知識、交渉するための法律の知識、株価を出す為の会計・税務知識、従業員に関しては労務の知識も必要です。しっかりとしたサービスを提供できるところは少ないと思いますので、参入社数が増えても、「しっかりとした会社」「小規模な会社」と二極化するのではないでしょうか。

JK: 失くすには勿体ない人的資源、そしてビジネスノウハウを無駄にしないためにも、是非とも承継支援続けて下さい!

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