温室効果ガスの排出をなくそうとする世界の動きに準じて、日本政府も2030年代半ばには電気自動車の割合100%を目指しています。環境に良いとされている電気自動車ですが、普及の足かせの一つとなっているのは充電問題です。現在、自宅もしくは市街地に散在する充電ステーションの充電は30分から数時間かかってしまいます。例えば、マンションなどの集合住宅に充電設備を新たに設置するために必要な管理組合の合意や、設置したとしてどう利用者に課金するのか等、課題としてあります。

しかし、もし道路を走行しながら充電できるならば、あらゆる問題が解決します。この走りながら充電できる道路、どのような仕組みになっているのでしょうか。

走行中の電気自動車向けワイヤレス充電の技術を開発していますイスラエルのエレクトレオン・ワイアレス社、事業開発のVP Noam Ilan(ノアム・イラン)さんと繋がります。

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JK 道路自体はどのような道路、どのような仕組みになっていますか?

NI アスファルトの下に電気が流れるコイルを埋めます。道路の上を走る電気自動車の底に充電をするレシーバーがあり、移動中・運転中に充電ができるシステムです。現行のバッテリーサイズは非常に大きく重く、環境への負担も大きいです。運転中に消費する電力をそのまま充電することで、バッテリーや車両そのものを軽くできます。

JK 「走りながら充電できる道路」が普及すると、我々の生活がどう便利になりますか?通常道路、高速道路での展開はどのように考えていますか?

NI 大気汚染を軽減でき、様々な環境問題の解決となります。我々のシステムが運用されればされるほど、排気ガスをコントロールできます。特に、物流を担っている高速道路を走る長距離トラックの排気ガスを減らせることはとても大きいです。コスト的に効率も高くなるので、様々な道路での展開をして行きたいです。

JK 平均的なアスファルトの道路と比べてのコストはどうでしょう?

NI 既存の道路にコイルを埋め込む形で、1キロあたり700,000米ドル(凡そ8,000万円)です。

JK イスラエルの都市、テルアビブのテストロードで実験をしているとのことですが、実験の詳細を教えてください。

NI 現在、テルアビブの大学と最寄駅を結ぶ公道で実験しています。その道路を使って学生が利用するシャトルバスを運行しています。

JK 鉄製の靴を履いてその道路の上を歩くとどうなりますか?感電しませんか?

NI 感電しません。放電しているわけではなく、レシーバー付きの認証された車両のみ通電する仕組みになっています。

JK 実用化はいつまでにどれくらいかかりそうですか?日本での展開は?

NI 現在テルアビブで行っているテストプロジェクトを、スウェーデン、ドイツ、イタリアなどの国々で行っています。2021年半ばまでには更にシステムが運用され始める。その後、テルアビブ全体でも大規模な開発を手掛けたいです。日本へ出張へした時に、日本はクリーンエネルギーに興味があることがよくわかりました。近い内に日本での展開も考えていきたい。

JK 様々なスマートシティでの展開も期待できそうですね。是非楽しみにしています!

エレクトレオン・ワイヤレス社