けさは、日本フィルハーモニー交響楽団がコロナ禍で開催する音楽会について、お話を伺います。

新型コロナウィルスの感染拡大を防ぐため、この半年、多くのコンサートが中止になりました。
日本フィルハーモニー交響楽団も、ことし2月29日から公演を中止、観客を迎えてのコンサートホールでの演奏会が開催されたのは7月10日。その間、70公演がとりやめに。

これまでイベントの入場者数に制限が設けられてきましたが、こうした制限が、明日から緩和されます。声を発しない屋内イベント、バレエやクラシック音楽の公演では、ひとまず11月末まで
収容人数の100%まで入れることもできるようになります。

こうしたコロナ禍で日本フィルハーモニー交響楽団が開くのが、「___する音楽会」。
する の前が空白の音楽会名になっています。

コンサートホールでの公演と、オンラインでの配信、同時に行われますが、それぞれ別々の演出があるそうなんです。指揮者の海老原 光さんに伺います。

JK: ようやく、10月13日に開催される「__する音楽会」。池袋の東京芸術劇場 コンサートホールで開催されるとのこと。これまでの音楽会とはずいぶん異なる演奏会になると聞いています。どんな趣向があるのでしょう?

海老原 :メディアアーティストの落合陽一さんと、映像集団として各方面で活躍するWOWによる最新のメディアアートと、伝統的なクラシック音楽の日本フィルハーモニー交響楽団とのコラボレーションという挑戦を3年前から重ねてきました。このコロナ禍で我々のプロジェクトも全くの白紙からスタートせざるを得ませんでした。「__する音楽会」の題名には、そんな試行錯誤する想いを重ねています。このコロナ禍を生きた全ての人に捧げる、全く新しい舞台体験になるはずです。

まず、コンサートホールでの音楽会と、オンライン配信という二つの音楽会になります。

ふたつは全く別もの。コンサート来場者は、8Kプロジェクター他によるビジュアル演出と、コンサートホールの形状を活かした多彩な「生の響き」をお楽しみ頂きます。


一方で、ライブ配信では、業界最高水準の音質(AAC-LC384kbps)と2K画質で、コンサートの臨場感をできるだけお伝えするとともに、ライブと異なるビジュアル演出をお楽しみ頂きます。


JK:コンサートホールでの体験に勝るものはないと察しますが、見ているものが、落合陽一さんと映像集団のWOW(わう)が手がける演出コンサートホールとオンラインのスクリーン上では、異なるということですね。

演奏する曲目にもこだわって選ばれたそうですね。特にストラヴィンスキー作曲の《兵士の物語》は1918年作。なぜこの曲を選ばれたのですか?

海老原人間は長い歴史の中で何度も感染症と闘ってきました。1918年当時、世界中でスペイン風邪が流行する中で作られたのがこの作品です。七人という少人数によるアンサンブル、第一次世界大戦下の不穏で皮肉な音楽。コロナ禍において、先人と想いを重ねたいと思います。

JK: 現代作曲家、藤倉大さんの曲も演奏なさるそうで、選ばれた理由は?

海老原 藤倉大作曲「Longing from afar」 [ハイブリッド演奏世界初演] を演奏します。この作品は2020年5月、コロナ禍のステイホーム期間中に生まれました。演奏者はそれぞれの場所からテレワークで演奏できるようデザインされています。東京芸術劇場のコンサートホールでの演奏と、世界各地の音楽家の演奏が融合するハイブリッド!わくわくしますね。

東京芸術劇場で、10月13日に開催される
「__する音楽会」。
今、ラジオをお聞きのみなさんに意気込みをお聞かせください。

海老原 コンサートホールは単なる空間ではなく、オーケストラと同様、楽器の一部です。コロナ禍のディスタンスや人数制限をむしろ表現の可能性として捉え、まるで楽器の中に入りこんだような全方面のオーケストラ体験が出来るはずです。ぜひホールでお楽しみください。

「__する音楽会」は、10月13日、午後7時から、東京芸術劇場で開演

●コンサート会場での劇場鑑賞券
S席、6000円、A席5000円、25歳以下、ダイバーシティ席、3500円
●オンライン視聴券 
6000円
詳しくは日本フィルハーモニー交響楽団の公式サイトをご確認ください。

日本フィルハーモニー交響楽団

《__する音楽会》