オーストラリアでは今年6月、地方紙36紙がその務めを終え廃刊となりました。以前から厳しかった経営に新型コロナウィルスの感染拡大による広告収入減が追い討ちをかけた状況です。

ブリスベンとシドニーの間に位置するカシノという街の、150年の歴史を持つ地方紙「リッチモンドリバー・エクスプレス・エグザミナー」も廃刊になった一つです。廃刊になった後、自治会を立ち上げて新たに資金を募り自主的に新たな地方紙が創刊されました。

今日は、地方紙の役割について、そして廃刊から新たに創刊するまで、現在「リッチモンドリバー・インディペンデント」の編集長スザンナ・フレイマークさんにお話しを伺いました。

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JK まずは「リッチモンドリバー・エクスプレス・エグザミナー」がどうして廃刊してしまったか教えてください。

SF 急に親会社のNewsCorpから廃刊を言い渡されました。127の地方紙が廃刊となり、150年の歴史がある我々のExaminerもその一つでした。十分な収益をあげていないことが理由だと告げられました。同じように収益をあげていない他の小さな地方紙も廃刊となりました。

JK Independentが7月頭に創刊されましたが、この資金はどのように集め、どのように実現しましたか?

SF 急に廃刊となったことに関してコミュニティの皆は怒り、なんとかしようと、コミュニティで新聞を出そうと言う動きがすぐに始まりました。私も編集長としての長年の経験を基に、立ち上げをすぐに手伝いました。

JK 週刊紙と理解していますが、週に何部発行していて、費用はどれくらいかかりますか?

SF 新聞自体はフリー紙で10,000部発行、一回発行する為に10,000豪ドル(約76万円)かかります。

JK 資金はどこから拠出するのですか?

SF クラウドファンディングでも資金調達しましたが、今はほとんど広告費で賄えています。

JK コンテンツとしてはどのような記事を取り上げていますか?

SF 例えば街の記念日や訃報等、ローカルな皆さんの生活と関係のあるものはなんでも取り上げます。更に我々の地域の「カシノ」と言う街は畜産業が盛んで雇用も多いので、仔牛の売買の状況を報じる「キャトル・レポート」も毎週の目玉記事です。

JK 地域の地方紙はなぜ必要なのでしょうか?全国紙だとカバーしきれないローカルニュースがあるのでしょうか。更にデジタルへの完全移行はせず、なぜ紙での発行を続けるのでしょうか?

SF 全国紙では足りないと感じています。コミュニティに寄り添った情報を発信することが大切です。そして紙での発行を続ける理由は、単純にまだ需要があるからです。毎週水曜に発行され、その新聞を手にして会話を交わす人が多くいて、実際に手で紙を持ちたいと言う人が多いと理解しています。

JK 今後はどのような展開を考えていますか?

SF 難しい質問です。後5年は印刷での発行が続くと予想していますが、将来どうなるかは分かりません。オーストラリアはとても広く、小さいコミュニティが多く点在しています。そのコミュニティ内で人が繋がる為に紙での地方紙というものが活躍するのではと考えています。

JK 次号のトップニュースを特別にリークして貰えますか?

SF 新しい家畜ビジネスのニュースです。土地が売買される際、その土地にいる家畜も一緒に売買されますその土地の価値を知るにはその土地にいる家畜の価値も知ることが重要です。この不動産と家畜ビジネスに関して新たなビジネスがトップニュースです。

JK 健闘を祈ります!

Richmond River INDEPENDENT