間もなく全国的に子どもたちの夏休みが明ける頃ですが、今日は、公益財団法人こども教育支援財団から、塚越絵美子さんにお越しいただきました。

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子どもたちのSOSに、どのように耳を傾けるべきなのか、塚越さんにお伺いしたいんですが、、、

Q  まずは、団体が取り組んでいるアクションをご紹介いただけますか?

学校に行きづらい小中学生が通う教育機関「東京大志学園」の運営を始め、主に義務教育下における子どもたちの不登校に対する支援活動をしている。現在、全国13都市に教室があり、各教室にカウンセラーや教員資格を持つ職員がおり、子どもたちや保護者の支援をしています。

Q  子どもたちの不登校について、現状どのような問題がありますか?

統計では、学校に行っていない子どもは全国に13万人を超えるとされていますが、東京大志学園のような教室や市区町村の適応指導教室などと繋がりを持っている子どもはほんの一部です。家の中で孤立しているお子さんや保護者が大多数です。

Q  その活動の一環で、子どもたちへ向けてとある漫画を公開されたんですよね?

不登校を経験した4名が自ら描いたマンガを本にしました。「1ミリの一歩」というタイトルで、 8月10日からAmazon Kindleでデジタルショート版を無料で公開しています。 4名は、現役の高校生と大学生。プロの漫画家さんの指導をうけながら、今年の3月から描きはじめ、マンガを仕上げました。マンガのほか、不登校に関するコラムや、高校選びのワークシート、体験談作文なども盛り込んだ100ページ程度の本にまとめた冊子版は有償で送っています。

Q  不登校問題を子どもたち視点で描こうを思ったきっかけは?

最近は不登校のお子さんを持つ保護者、特にお母さんが書いたエッセイ本や、漫画本の人気があります。ただ、不登校を経験した子ども達の話を聞いてみますと、大人が思っていることと、子どもが感じていることとには少なからずギャップがあることに気づきました。そこで、読みやすい漫画で、子どもから見た毎日を知ってもらってはどうかと思い、漫画を描いてくれる高校生・大学生を探しました。

Q  週が明けて、いざ学校が始まる(もしくはすでに始まっているところもありますが)と思いますが、悩みを持つ子どもたちへ、私たち大人はどのように寄り添うことができるでしょう?

まずは、親や学校の先生など大人が、子どもが出しているサインに気づいてあげること。そして、学校に行きたくない理由を聞き出そうとするよりも、今その子の体と心がどんな状態なのか、よく見て、聞いてあげて欲しいです。今「無理して行かなくていいよ」と親に言ってもらって初めて心が軽くなったという話もよく聞きますので、まずは休ませることが必要なケースがあることを知って欲しいです。

また、子ども達と同じように、保護者も大変苦しんでいます。心無い言葉を言ったりせずに、話を聞いてあげてほしいです。保護者が笑顔でいることが、子どもにとって一番安心できますので、孤立しないように周りがサポートする必要があると思います。

Q  学校へ行くことだけが正解じゃない?

子どもの体と心が限界になっていて、学校に行くことを拒否している状態であれば、無理やりに行かせようとすると、さらに状態が悪化してしまう可能性が高いです。まずはしっかり休養を取らせて、様子を見て頂き、適切な機関に相談することも選択肢としてあって良いと、知っておくと、夏休み明け期間の自殺予防にも繋がるのではと思います。

Q  実際に、悩む子どもたちや、親御さんも聞いていらっしゃると思います。ぜひ塚越さんから投げかけをお願いできますか?

不登校の悩みは、経験した当事者にしか分からないことだと思います。でも、今は10年前よりずっと、その悩みを理解して寄り添いたい、応援したいと思っている大人がたくさんいます。どうか、子どもも保護者も孤立せずに、どんどん外に助けを求めて下さい。

不登校の経験をバネに、今高校や大学、社会で力強く生きている人がたくさんいます。起業して成功している人すらいます。いまは、そんな未来が来ることを考えられないかもしれませんが、そうした体験談を是非聞きに行ってほしいですし、私達がつくった「1ミリの一歩」をぜひ読んでみてほしいです。そして、お子さんの、今ここだけではなく、未来の可能性を信じて欲しいと思います。

~こども教育支援財団、より詳しい情報は掲載されたウェブサイトご覧ください。

http://www.kodomo-zaidan.net/