昨日は、世界ALSデーでした。難病のALS(筋萎縮性側索硬化症)をもっと広く知ってほしい、ということでさまざまなアピールがおこなわれましたが、、、今日は、ALS患者、家族の支援をおこなっているさくら会、事務局長の 川口 有美子さんにお越しいただきました。

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Q  まずは、さくら会の取り組みに関して、ご紹介いただけますでしょうか?

重度障害者の支援が主な取り組み。2004年から非営利組織、特定非営利活動法人「ALS/MNDサポートセンターさくら会」として法人化。支援活動は、90年代に理事長が、各地のALS患者さんをご家族の介護で訪問していたことから、始まっています。うちの母もALS患者で、療養を橋本さんに相談していたことから、私が橋本さんの活動を手伝うようになって、今に至っています。喀痰吸引等の法制化、尊厳死法案、成年後見人制度に待ったをかけるなど、これまで様々な政策提言もしてきました。

Q  「ALS」という病気について、あらためて、教えていただけますか?

太古から記録にある遺伝子レベルの神経疾患で難病、短期間に全身性障害になる脳の病気。10万人に2~6人の発症率。病気の現れ方は多様で、確定診断が難しい。次第に四肢麻痺になり、ろれつも回らなくなり、呼吸ができなくなります。嚥下障害により食事や水分が取れなくなるので、胃ろうが必ず必要です。呼吸器も必要ですが、これらをしないと発症から数年で死に至ります。

障害者の公的介護サービスをうまく使えば、家族にさほど負担をかけずに、自分らしく生活できるので、介護制度の利用が必須。単身独居の人もいますし、仕事を続けている人もいます。しかし、サービスの提供や支援者の意識に、地域間格差があり、サービスを利用ができない問題が出ています。

Q  世界・そして日本におけるALSの患者数は?

国際同盟によると、 世界中で毎年およそ14万人が新たに罹患。1日384人が発症していることになります。 日本にはおよそ1万人の患者がいます。

Q  現代の医療で、ALSの完治は難しいのでしょうか?

今のところ、完治する方法はまだ見つかっていませんが、iPS細胞の発見から、創薬ができて、既存薬の中から、ALSに効く薬がどんどん見つかっています。画期的な研究も毎年発表されているので、あと少しと言ったところかと。15年前は、あと100年経っても薬はできないと言われましたが、昨年のボストンでの国際シンポジウムのセッションではあと10年で薬が開発できるだろうという話も聞かれました。望みが出てきていると思います。

Q  団体では、ALS患者の皆さん、ご家族の方々へ向けて、どのような支援をされている?

いまでは、機械を使って長く豊かに生きることができるので、生活の質を向上させる支援をしています。介護制度の普及やヘルパーさんたちへの医療的ケアの研修、新たに発症した患者家族への相談。地域間格差の、これは全世界的なレベルで、格差がありますが、格差を解消するための取り組みをグローバルに行なっています。

Q  川口さんが活動を通して発信したい想い、教えてください。

ALSは昔ほど、怖い病気ではなくなってきたので、前向きに治療に取り組んでほしい。そのためのノウハウは学ばないといけないのです。様々な団体が講習会を開催しているので、参加して学んでほしい。近い将来、治療薬は必ずできます。それでまた別の問題、治療を受けられる人とそうでない人が出てくるなどの問題が想起してきそうですが、対応していきたいです。さくら会では、厚労省との共同研究も行なって、政策にコミットしてきましたので、今後も実践と研究の二足わらじで、やっていく。次世代の支援者の育成は、患者家族対象の勉強会と合わせて行なっていきます。

~さくら会のウェブサイトをぜひ御覧ください。

http://sakura-kai.net/pon/