今朝は、「がんフォト*がんストーリー」というサイトを立ち上げた、木口マリさんに お越しいただきました。
Q がんフォト*がんストーリー、どのようなサイトでしょう?
私「がんフォト*がんストーリー」とは、投稿型のオンライン写真展です。名前に「がん」と付いているとおり、がん患者さん、そのご家族やお友達、そしてお医者さんや看護師さんなどから、写真と、その写真にまつわるエピソードを応募していただいて、掲載しています。
Q なぜこのようなサイトを立ち上げようと?
実は、私自身もがんの体験者です。38歳のときに子宮頸がんが見つかり、手術や抗がん剤治療を行いました。その後に合併症なども起こしてしまい、結局、治療に1年以上かかってしまいました。それだけ聞くと、ほとんどの人は「がんって大変だな」「死んでしまうのかな」というふうに、想像すると思います。でも、実は「がん」というのは、それだけではないんです。もちろん、心身ともに苦しい場面もありますが、逆に、「がんになったからこそ、見えてくるものとか、感じるもの」もたくさんあります。「人との絆」だったり「自然の美しさ」だったりが、はっきり見えるようになる。そんな素敵なものを感じている人たちは、実はとても多いということに気付きました。それをウェブサイトで紹介していきたいと思ったんです。
Q 闘病のなか、美しいものと出会い、それを写真で表現しようと思ったのはなぜでしょうか?
私は仕事で写真を撮っているんですが、治療中は体力が落ちてしまい、重い一眼レフを持つことができなくなってしまいました。なので、ずっとiPhoneで撮影していたんです。それなら、寝たままでも、片手さえ動けば写真が撮れます。しかも、今のスマホは本当に性能がよくて、かなりきれいに撮れて楽しい。それで、「人って、どんな時でも楽しみを作れるものなんだ」と知ることができました。
Q サイトには、どんな写真が集まっていますか?
予想を上回る素敵な作品がたくさん集まっています。いわゆる、お涙頂戴モノはひとつもありません。たとえば、ある方は、入院中に支えになった「甥っ子ちゃんの写真」を送ってくれました。それが、「ウルトラマンなんとかの必殺技で、悪い病気をやっつけてあげる!」というポーズだったりして。その方は、「その写真でやられたのは、私。うれしくて涙が出ました」という言葉を添えていました。
Q サイトを通して聞こえてくる効果を期待されていますか?
実は、ウェブサイトを始める前に、ある病院で同様の作品展を行なったことがあります。その展示を見に来た方は「何だかあたたかい」と言ってくださいました。きっと、人の本来の強さや温かさなどを感じてくれたんだと思います。そんな「新たな経験」をしてもらえるということが、ウェブサイトでも生まれてくるだろうと思っています。
Q そして先日、初のクラウドファンディングに挑戦されたそうで、詳しく教えていただけますか?
写真展イベントを開催するために行いました。「がんフォト*がんストーリー」は、「だれか一人の作品展」ではなく「みんなの作品展」です。イベントも「みんなの協力で作れたら最高だよね」ということで、クラウドファンディングを行いました。先週23日で終了しましたが、57名のご支援により、目標金額以上を集めることができました。それだけでなく、たくさんの方がSNSや口コミで広めてくれたりして協力してくださいました。そういった、【たくさんの人が関わってくれている】って、とても素敵だと思うんです。特に、がんの人にとっては「誰かに支えられている」と思えるのは、とても力になります。それも伝えていけるといいなと思います。
イベントは、7月28日(土)に、谷中で開催。写真展だけでなく、ワークショップやチャリティーなども行います。是非、たくさんの方に来ていただきたいですね。
Q このサイト、取り組みを通して、どんな想いを発信していきたいですか?
どんなものでもそうですが、想像と、実際は違います。「辛さ」しかないと思うようなものでも、その中に「輝き」がある場合も実は多い。そんな、「一見しただけでは知り得ない世界」を発信していけたらと思っています。
「がんフォト*がんストーリー」のウェブサイトをぜひご覧ください。