今朝は、メールでエントリーをいただきました!NPO法人バーンロムサイジャパンの代表、名取美穂さんに お越しいただきました。

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Q  まずは、バーンロムサイジャパンについて、どんな活動をされている団体なのか、教えてください。

タイ・チェンマイの孤児院バーンロムサイをはじめ、エイズ孤児たちや、タイ北部の恵まれない環境にある人たちを支援するNPO法人。バーンロムサイの運営を寄付だけに頼るのではなく、少しでも自立したものにしたい、との思いから "家業"として始めたものづくりや"コテージリゾート"を運営。この活動を通して、子どもたちの将来の自立に向けた職業訓練の場や就労機会を提供し、また隣国からの難民や少数民族を積極的に雇用することで、北タイの地域社会にも貢献したいと考えている。

Q  活動はどういったきっかけから始まったのでしょうか?

バーンロムサイは、HIVに母子感染した孤児たちの生活施設として1999年12月、チェンマイ郊外に日本人女性で私の母である名取美和によって設立された。当時タイではエイズが猛威をふるい、治療薬も行き渡らず、たくさんの人が感染し亡くなっていった。この病気により両親を失い、自らもHIVに母子感染した子どもたちが増加、バーンロムサイは国立孤児院からそのような30名の子どもたちを迎えいれた。

Q  その後、どういう経緯で 今の孤児院の体制になった?

開設から3年の間に10名の子どもたちがエイズを発症し命を落としたが、やっと普及し始めた抗HIV療法を取り入れた2002年10月以降は誰一人亡くなることがなくなった。医療の発達により、現在では母子感染を防ぐことができるようになり、バーンロムサイにもHIVに感染はしていない、しかし様々な事情で孤児となってしまった子どもたちや親と一緒に生活出来ない子どもたちも入園してくるようになりました。

この他、卒園生の健康管理や(学業を続けている子どもへの)経済的な支援、貧困などにより就学が困難な子どもたちへの教育費、ならびに進学支援を実施している。また北部タイの山岳民族の村へ、物資調達・物資提供などの支援も行っています。

Q  (その)子どもたちとの関わりの中で、大切にされているプロジェクトがあるんですよね?

バーンロムサイは開園当初から「+art(プラスアート)プロジェクト」と題して、多くのアーティストが訪れ、子どもたちと一緒に絵を描き、粘土をこね、写真を撮るなど、創造力を豊かにする様々な創作活動に取り組んできた。

19年間の活動を通し、子どもの創造力の素晴らしさを再認識し、子どもの創造力を伸ばしポジティブ(+)に生きて欲しいという願いは多くの人の「自分以外のために出来ることをする」という分かち合いの精神に支えられてきたのだ、と実感する。

多くの支え合う気持ちが集まり,さまざまな人がバーンロムサイという場を通してつながり、それが心地よい場になることでさらに新しいつながりが生まれる、、そんな循環を「+art」(プラスアート)という言葉にこめて発信しています。

Q  日本でもそのアート作品を手に取る機会があるんですよね?

オンラインショップのほか、鎌倉の「banromsai kamakura shop」で販売中。購買いただくことで地域の女性や縫製場で働くHIV感染者の支援ともなり、尚かつ、バーンロムサイの子どもたちの命をも支えることになる。

Q  現地(タイ)での反応はいかがでしょうか?

開設から数年の間は、「HIVに感染している」という理由から地域の住民の反対を受け、小学校への通学を拒否され退学を余儀なくされたり、村の子どもたちに対してホームに近寄ることを禁止されたりするなど、多くの差別や偏見がありました。ただ、活動のなか、状況が改善されてきている。

現在では、かつて交流すら持てなかった地域の子どもたちがホームに来て、一緒に勉強をしたり遊んだりするようになった。特に2010年以降、スポーツやキャンプ、図書館、防災訓練などの継続した活動を通して、村の子どもたちと交流を深め、村で差別、偏見を感じることはなくなり、現在では地域のリーダーとしての役割をも担うようになってきた。

Q  最後に、バーンロムサイが描くヴィジョン、教えてください

開園以来、バーンロムサイは多くの人たちに金銭的な支援だけでなく、さまざまな形で支えられてきた。バーンロムサイの活動は、友人たちに支えられている大きな家族とその家業のようなもの。そのうち子どもたちが跡を継いでくれたらいいなと願いつつ、彼らと共に私たち自身も多くの刺激を受け、バーンロムサイは成長してきた。今後も子どもの創造力をのばし、生きていくための技を身に着け、それを必要としている人とシェアすることの大切さ、そんな思いが循環する社会を目指していきたい。

~バーンロムサイのウェブサイトはこちら