「排ガス・下水からエコ燃料」

水素や二酸化炭素(CO2)などを反応させ都市ガスをつくるエコ燃料製造技術「メタネーション」の実用化が進んできました。日立造船は排ガスを使用、大阪ガスは下水から都市ガスをつくる。CO2を排出しない脱炭素化では電力に比べ遅れていた都市ガスにとってはこの技術が切り札となりそうです。

現状では天然ガスとのコスト差は7倍とも言われていますが、大規模化と効率のよい製造技術革新でその差が埋める可能性を追求します。

「メタネーション」は工場から回収したCO2と再生可能エネルギー由来の電力でつくる水素を合成し、都市ガスの主成分となるメタンを製造する仕組みです。ごみ焼却施設から出た排ガスから、不純物を取り除いたCO2をつくり、それを水素と一緒に触媒が入った配管に送り込み、セ氏200度で反応させることで、都市ガスとして使われるメタンが生成されます。CO2を原料に使えば都市ガスを燃焼しても実質的に排出量としては算出されないことになります。

この方式に加えて、大阪ガスでは生物の力を活用した「バイオメタネーション」の研究を進めています。大阪市などと共同で下水処理施設の汚泥(おでい)の一部を使った実証をスタートさせる予定。汚泥を水素とともに設備に投入すると、細菌がメタンを生成するという仕組みを使います。

日本は、液化天然ガス(LNG)をロシアからおよそ9%相当を輸入してきました。ロシアのウクライナ侵攻による国際情勢の悪化で、エネルギー調達はますます。難しさを増しているのが現状。技術改良によりさまざまなエコ燃料への布石を打つことがエネルギー安全保障上でも重要になっています。