リゾート地を抱える東南アジアの国々が外国人観光客に門戸を開き始めました。しかし観光業の再興と感染防止のはざまで、各国はそれぞれ問題を抱えています。

政府が「低リスク国」と判断した国からの観光客のみ、「隔離免除」する方針。

バリ島はインドネシアの観光による外貨収入の4割を占める稼ぎ頭。2019年にバリ島を訪れた外国人観光客は630万人を超え、約9300億円もの外貨を得ましたが、21年の外国人観光客数は1~8月で43人にとどまります。ホテルで5日間の隔離を経てPCR検査を受け、陰性であれば、島内を自由に動き回って観光できるようになりました。

タイ南部のリゾート地プーケットは、7月にワクチン接種者の隔離を免除し、外国人観光客の誘致に取り組んできました。しかし受け入れ再開後の90日間で10万人の受け入れ目標に対して、実際は約4万2千人にとどまっています。

ベトナムで「最後の秘境」とも呼ばれる南部の孤島フーコックでは11月から、ワクチン接種を完了した外国人観光客を対象に隔離なしでの受け入れを計画。しかし9月下旬にはフーコック島で集団感染が発生。その時点でワクチン接種を完了した島民は人口の5%程度にとどまっていました。

一方世界一のカジノ市場を持つマカオは、香港と同じ「一国二制度」で、中国国内で唯一、賭博が合法な地域です。しかしマカオ政府はカジノ6社に与えた運営免許が期限切れを迎える2022年6月を前に、カジノ法を改正する方針を示し新型コロナウイルスの影響以外に中国政府主導の政策でも逆風が吹いています。