「コロナ治療の飲み薬が年内にも登場へ」(日本経済新聞)

新型コロナウイルスを治療する飲み薬が年内にも登場する見通しです。アメリカの製薬会社メルクやファイザーが軽症者に使える薬剤の最終段階の臨床試験(治験)を、日本を含む各国で進めています。点滴タイプの既存の治療薬と比べて投与しやすいうえ、量産が簡単なためコストも抑えられます。パンデミックの収束が期待できるとされています。

メルクが開発中の抗ウイルス薬「モルヌピラビル」は全世界で治験をしていて、10月にも治験データを公表するとみられています。今年中にアメリカで緊急使用許可を申請する見通しを明らかにしました。その場合日本では、1~2カ月後に特例承認を申請する可能性があります。

もとはインフルエンザの治療用でしたが、コロナにも効果が見込まれています。アメリカ合衆国保健福祉省(HHS)は170万回分を12億ドル(およそ1300億円)で購入する契約を結びました。すでに今年末まで1000万回分を生産するための量産準備を進めています。

ファイザーも02~03年に重症急性呼吸器症候群(SARS)向けに開発していた当時の抗ウイルス薬を改良、静脈注射タイプと経口タイプの2種類を開発中です。

緊急使用許可はバイオテロなどの非常時に未承認薬などの使用を一時的に許可する制度で、本来は半年から1年かかる審査期間も3週間程度に短縮。仮に2社の治療薬候補への緊急使用許可がすぐにアメリカで出れば、日本でも早ければ21年中、遅くても22年初頭に医療現場で使えるようになる可能性があります。