マグロやクエといった高級魚などの水産資源を細胞培養でつくる「培養魚肉」が2022年に実用化する予定です。アメリカのスタートアップ、ブルーナルが計画。乱獲と人口増で消費量が増え、持続可能性の危機にある水産資源を補う食料源として期待を集めています。「培養魚肉」は魚の細胞を培養容器で増やします。牛などの細胞をもとにした「培養牛肉」の研究開発が進み、そのノウハウが「培養魚肉」にも広がったというものです。

世界の水産資源の消費量は増えていて、国別では特に中国などが増えていて、今後は東南アジアやインド、アフリカでも消費量が増える見込みです。FAOが2018年に発表した資料によると、世界の水産資源の9割は2015年時点で取り過ぎの乱獲か、持続可能な上限まで漁獲されている状態だということです。

実は「培養魚肉」は廃棄部分がなくすべて食べられるという利点があります。一般的な魚で食べられる部分はおよそ60%にとどまっていて、頭や骨、尾など食べられない部位も多いうえ、漁獲した海域から遠路を運ぶ必要もあります。こうした無駄な部分はタンクで培養する生産施設でのコストがかかっても十分相殺できるとのことで、価格は天然モノと同程度になる見込みです。