書き方が煩雑な日本の「カルテ」がコロナ分析を遅らせています

(日本経済新聞)

新型コロナウイルスの感染が拡大する中、治療法検討に不可欠なのが症例分析。病院の「カルテ」による症例データ活用が進まず、今後の対策に不安があります。

国際医療センターは3月以降、新型コロナウイルス感染者のデータ登録を呼びかけましたが、中間報告までに5カ月近くかかり登録数は8月初旬までに4797人分。
中国は2月に7万人分、ニューヨーク市は4月に5700人分の分析を公表、イギリスは死者1万人以上について調べ経済状況や人種などによる死亡リスクを7月に発表。

中国には感染症向けの情報システムが全国で整い迅速に中央に情報を集約し、イギリスでは、国が運営する医療サービスで臨床データを集約する仕組みが整っています。患者が少ないとはいえ、日本は時間がかかりすぎといえます。

原因とみられるのが作業の煩雑さ。項目数は491で、個人情報に配慮しながら慎重に打ち込む必要があり「1つの症例につき、入力が30分~1時間かかる」という関係者の声もあります。

日本で普及が進んだ電子カルテも、症例データ集めに役立ってはいません。
(普及率は2008年の14.2%から17年には46.7%、特に大病院では85.4%)
日本の場合は検査データや病名、治療薬の処方、診療の経過など記入項目が開発メーカーによってバラバラで、さらに大学や病院ごとに独自ルールがあり、より複雑になっています。