植物由来などの人工肉の世界市場は過去10年間で約7割成長しました。2024年は227億ドル(2兆3800億円)で19年に比べ約2割増える見通しです。食肉市場と比較するとまだまだですが、マーケットの拡大は止まりません。

その理由は健康指向と環境問題。人工肉は同じ量の肉と比べ塩分は多いものの、カロリーが低くコレステロールなども比較的少ないので、外出制限などで運動不足になった消費者が増えて着目されたというもの。そして肉牛など牛のげっぷから出るメタンガスは二酸化炭素(CO2)の25倍もの地球温暖化効果があり、環境に配慮したエシカル消費の点からの支持も。

食品大手のネスレは7月から人工肉のパティ「ガーデングルメ センセーショナルバーガー」の販売をヨーロッバで始めました。約1年かけて従来品を改良し、植物由来の成分を独自技術で発酵させるなどしてうまみを高めています。

中国では1億スイスフラン(114億円)で天津市の工場を拡張し、人工肉の生産を年内にも始める見込み。人工肉の先端を行くアメリカでも2017年にビーガン(完全菜食主義者)向け食品メーカーを買収し、販路を押さえています。

一方アメリカでは6月下旬、全国のスーパーにビヨンド・ミートの戦略商品が並びました。バーベキュー最盛期の夏を見据えたハンバーガー用の植物肉パティが10枚入りで売られ、日本円で1枚あたり180円を切る価格となりました。

「牛肉と大差ない価格」で。6月からオランダでの量産にも着手し、ネスレの本拠地でもあるヨーロッパ市場の本格開拓に乗り出します。

競合のインポッシブル・フーズは6月から自社サイトでの直販に乗り出したうえ、現在3000以上ある取扱店舗をさらに増やす予定です。スーパーでは両社の製品が商品棚に並ぶことが増え、消費者の目につく機会が増えます。