今週は商品ジャーナリストの北村森さんに、「新生活での家電製品の動向」について解説していただきます。

J.K. 新生活で新しく買うというとまずは白物家電ですよね?

北村: 家電量販店では、新生活セットをこの時期、売り出している。

J.K. マストアイテムにはどんな特徴があるのでしょうか?

北村: 量販店のセットを見ると、洗濯機・スティック型掃除機、冷蔵庫、電子レンジ、炊飯器で5万円~6万円というところ。ここにテレビが入っていないのが、今の時代を反映している気がする。スマホとタブレットがあればいいという話。

J.K. 最新の傾向ではどんなものがありますか?

北村: 大前提として、この10年の家電のトレンドをおさらいしたい。ここで挙げたいのは3つのトレンド。まず1つめ。家電製品が大手メーカーのものだけではなくなった。バルミューダをはじめとするベンチャー企業がヒット商品を連発。また、アイリスオーヤマなどから登場した、シンプルだが低価格な家電も定着した。

2つめは、一発芸型家電の相次ぐヒット。例えば、服をハンガーにかけたままシワを簡単に伸ばすための衣類スチーマーがこの7~8年で一気に市場を伸ばしている。これなど新生活で役立ちそう。

そして3つめは、おひとりさま家電の登場。ひとり分のご飯を最短14分で炊けると謳う、サンコーの商品などまさに典型例。

つまり、今に続くトレンドとして断言できるのは「大手メーカーに限らず選択肢は豊富」で、「一発芸型の商品に魅力があり」、さらに、新生活に向く「おひとりさま家電がさまざま選べる」状況だという話。

J.K. この春最も売れそうなものはズバリどんなものでしょうか?

北村: 今挙げた3つのトレンド要素すべてを満たす、アピックスインターナショナルの「レトルト亭」を推したい。

7000円台半ばで、2月の一般発売。昔ながらのトースターのような形の本体で、お湯もレンジも使わずに、レトルトパウチを本体に突っ込むだけで温められるという、ずぼら家電の代表格。

レトルト食品はカレー以外にも幅広いし、一人暮らしでぱぱっと食事をとるにはラクでいい。一般発売前に、レトルトパウチが過熱するというトラブルが起こったが、部品設計にすぐさま手を加えて解決し、ヒットの動きを見せている。