第一生命経済研究所の藤代宏一さんに、解説していただきます。

藤代: 今朝はロシア経済と日本経済についてです

J.K.: ロシアへの経済制裁、世界や日本にどういった影響がありますか?

藤代: ロシアへの経済制裁で直接的な痛みを伴っているのは、経済的な結びつきが強い欧州です。欧州系の石油・エネルギー企業はロシア向け投資を大規模に実施してきた経緯があり、現在それを手放す、売却せざるを得ない状況になっています。こうしたロシア制裁が資源価格の上昇圧力を通じて日本経済を圧迫しているのは周知の事実です。一方で日本企業は、サハリンにおける天然ガスのプロジェクトを除くと、さほど大きな案件はありませんので、良くも悪くも直接的な影響は限定的だと思います。

J.K.: 直近ではロシア国債の利払いが滞るという話がありましたが?

藤代: 国債の利払い・償還を行わない、債務不履行、いわゆるデフォルトです。16日が支払期日だった利払いについては予定通り実施された、との報道で一旦不安は和らいだ形ですが、次の利払いはどうなるかわかりません。ただし、ロシアは過去数年、経済的に孤立してきた経緯があり、国際金融市場が締め出されていました。外国人投資家が保有する外貨建てのロシア国残高はわずか2.4兆円と極めて少額です。デフォルトしたとしても影響は限定的で、ロシア国債に関連した金融商品まで考えると、デフォルトより大きな影響が出る可能性はありますが、それほど心配はないと思います。

J.K.: そうなると、やはり原油価格の上昇が懸念材料ですね

藤代: 原油に約半年遅れて電力・ガス料金が上昇するので、この夏まで光熱費が高止まりすることが確定的な状況で消費者には厳しくなりそうです。ただし、今週に入って原油価格はピークよりは低下していて、ロシアのウクライナ侵攻以前のレベルに一時は戻りました。それでも1年前との比較では大幅に上昇した状態に変わりはないので負担が減るわけではないのですが、パニック的なエネルギー価格上昇が収まりつつあるというのは、一つ明るい兆しだと思います。