藤代: 中国の不動産市場の悪化と、追い打ちをかける中国の電力不足について

J.K. 恒大集団、エバーグランデという企業の経営不安が話題ですね。

藤代: 巨大不動産グループの資金繰りがいよいよまずいのではないかと話題で、世界的な株価下落を引き起こし、日本でも大きく報道されています。しかし実のところ、経営不安が最初に報じられたのは去年の9月。金融業界では随分前から話題で、株価は既に1/10になっていましたので突然出た話ではありません。支払いが滞る可能性が迫り再びの話題です。

J.K. この事態に関して中国政府はどう対処するのですか?

藤代: 悩ましい問題です。中国政府は不動産市場の過熱と、バブル抑制に対して取り組んできた経緯があります。バブルの崩壊で、後遺症が長引くことは過去の日本の例で明らかで、不動産市場を壊すようなことはしたくない。一方で恒大のように、ある意味、政府の意図に反する形で不動産の投資・投機を拡大してきた会社を救うのは良くない、という思いもあり救いの手を差し伸べない可能性もあります。資金繰り問題はしばらく続きそうなので、注意ですね。とはいえ、全く救済しないとも考えにくいので、日本への直接的な影響は限定的になると期待されます。

J.K. そして電力不足が問題になっているのですね。

藤代: こちらは日本が中国からモノを輸入していますから、中国に工場を持つ日本企業にとって、直接的な打撃がありそうです。まず前提として、中国は大気汚染問題もあり石炭発電を削減しています。そこにコロナ禍でサービスからモノに需要がシフトしたことで工場の稼働率が上昇して電力資料量が増加。一方、中国は自ら外交上の問題でオーストラリアの石炭輸入を停止したので、石炭不足で発電ができないという面もあります。冬場にかけて電力需要が増すと、停電で経済活動が鈍化する可能性もあります。中国の不動産市場と電力問題。北京五輪を控えて、景気後退を避けたい当局は何とか問題の深刻化を避けると期待されますが、日本経済はこれから回復が期待される局面に入ったところなので要注意です。