第一生命経済研究所の藤代宏一さんに、解説していただきます。

藤代: 最近の日本株上昇についてその背景を分析したいと思います。

J.K. 日経平均株価は昨日、終値で3万円(30008円)まで回復しましたね。

藤代: 突然の出来事でした。820日に今年の最安値、27000円ちょうどくらいまで下げたのですが、そこから一気に3000円上げて、4月以来の3万円回復です。アメリカ、ヨーロッパの景気回復が続く下で、日本では新政権に対する期待が高まり、タイミングよく日本のコロナ感染状況の安定化しましたので、これが株高に繋がった思います。

J.K. 新政権の経済対策、それだけ期待が大きいということですか?

藤代: 正直なところ現時点では「漠然とした期待」という色彩が強いです。総裁選の行方、誰が総裁になるか専門家の予想は分かれていて、しかも「〇〇総裁だと、こんな経済対策が打たれるので、景気に良い!」といったような共通の見方はありません。もちろん、新政権のかじ取りは注目ですが、個人的にはコロナという特殊な環境で、誰が総裁になっても、目の前の景気対策に全力投球する以外の選択肢がないので、あまり差が出ないかなとも思っていますし、そう考える専門家は多いと思います。

J.K. もうひとつは、コロナの感染状況ですね。

藤代: 新規の感染者数、8月下旬には増加が一服、9月に入ってからはっきりと減少していて、国内景気の先行き改善期待を高めていると思います。ワクチン接種も進んでいて、いよいよこの秋には、日本も、欧米のような景気回復が実現するという期待が芽生えつつあります。実際、政府はここへ来て都道府県をまたぐ移動、イベントの収容人数の制限緩和、そして飲食店のお酒の提供を含めての営業緩和の検討を始めています。早ければ、10月からという報道もありますので、これが素直に効いたと考えています。