ここからは生活経済ジャーナリストの和泉昭子さんに、生活経済の観点から解説していただきます。今朝は10月以降の日本郵便のサービス改正についてお話をうかがいます。

J.K. 普通郵便の土曜日の配達中止や翌日配達のとりやめる一方で、速達料金が値下げとなるということですが、その背景は?

和泉: 郵便物の配達頻度や期限については「郵便法」という法律で定められ、これまでは原則的に決まったルートを「週6日以上」1日1回の個別配達、投函から「3日以内」で配達するように運用されてきました。しかしインターネットの普及で郵便物が減り、1箇所あたりの配達物の数が少なかったり、郵便物がない場所もあります。従来の配達を続けると年間約200億円の赤字になるという試算もあり、人手不足の中、深夜や週末に郵便物の仕分けなどを行っていて、社会的に働き方改革が叫ばれる中、ブラック化しているので、昨年法律が改正されました。

J.K. 土曜日配達がなくなるのは影響も大きそうですね。

和泉: 特に影響を受けるのは、木曜日に投函した普通郵便の場合。17時までに出した翌日配達の地域あての郵便物の場合は、現在は翌日の金曜日に届きましたが、見直し後は月曜日に。そのため、普通郵便を送る際は日数に余裕を持って送るよう気をつけなければならず、急ぐ場合は速達を使う機会が増えるかとか、請求書などのデジタル化が進むでしょう。

J.K. 土日配達はすべてなくなるという訳ではないでしょうね。

和泉: 速達・書留・レターパック、ゆうパックなどの荷物は、従来どおり。利便性に配慮して、速達の料金は10月から1割程度引き下げます。

J.K. そもそも郵便は他の企業で扱えないのでしょうか

和泉: 手紙やはがきは「一般信書便」と分類されているが、2003年の制度改正で民間企業も扱えるようになっていますが、全国各地にポストを設置したり日々集配するといった体制を整えないといけないため、現時点では日本郵便1社だけしか手掛けられていません。郵便は公共インフラである一方、日本郵便という企業は競争が求められる株式上場企業でもあり、矛盾・葛藤が生じています。個人的には今後、山間部や離島への配達のサービスが低下しないか心配ですが、この機会に郵便事業を社会としてどう位置付けるのか考える必要があると思います。